相次ぐ大規模停電でコインパーキングも停止 どう対応したのか?スタッフに聞いた!
9月4日、非常に強い勢力で関西地方を直撃した台風21号、そして、6日に北海道を襲った震度7の巨大地震は、その直後から広範囲にわたって長期間の停電をもたらしました。
台風の直後に地震が起こったことから、関西の停電被害についてはあまり報じられませんでしたが、6日後の「日本経済新聞」(2018年9月10日)はその状況をこう報じていました。一部抜粋します。
台風の上陸から11日で1週間を迎えるが、全面復旧にはなお時間がかかる見通しだ。関西電力によると、大規模停電は電柱が強風で倒されたり、電線が飛来物で切断されたりして配電機能が失われたのが原因とみられる。近畿などの2府6県で停電したのは延べ約224万戸。家庭への引き込み線の切断や電柱の変圧器の故障による停電戸数は把握しきれていないという。 10日までに大半が復旧したが、同日午後3時時点でも約1万650戸で電気が途絶えたまま。和歌山県の約7千戸が最多で、京都府も約3千戸に上る。
京都府では2週間たった今もまだ、停電している地域があるそうです。
■停電のコインパーキングからはSOSが続出
私は、6月上旬に自分が住んでいる千葉で地震が相次いだことから、急に停電が心配になり、コインパーキングに関するこんな記事を書きました。
●コインパーキング利用中に停電が起きたらどうなるのか?(2018/6/17配信)
●コインパーキングの ”5大トラブル ” その内容と対処法は?(2018/6/22配信)
このときインタビューに答えてくださったのは、警備会社に所属し、無人コインパーキングの一時対応に当たっている専門スタッフの方でした。実はこの方、大阪勤務で、まさに今回の大規模停電に直面されていたのです。
そこで、台風発生から停電解消までの1週間、現場でいったい何が起こっていたのか? 改めてお話を伺ってみました。
■関西では停電でパーキングから出庫できないクルマが続出!
――前回のインタビューから3カ月後、まさか本当にこれほどの大規模停電が起こるとは思いませんでした。現場はいかがでしたか?
「それはもう、大混乱でしたね。まず、停電になると、車を停めているフラップ板が作動しなくなくなります。そのため『クルマを出庫することができない!』というお客様から、一斉にSOSの連絡がありました。とにかく停電エリアが広範囲でしたので、すべてのトラブルに即対応することは難しく、限られたマンパワーで順番に現場へ駆けつけ、1件1件対応していくしかありませんでした。今回は、1995年に発生した阪神大震災のときより、停電の規模が大きく、その上、復旧までの期間も長かったので、お客様も大変な思いをされたと思います」
――『最悪の事態を想定すれば、フラップ式や立体のパーキングではなく、とりあえずゲート式、つまり、停電でも自力で出られるパーキングに停めることです』前回のインタビューではそんなアドバイスをいただいていました。実は、6月の記事を読んだ読者の方から、「あの記事のアドバイスで救われた」というメッセージも届いているんです。
「そうでしたか。お役に立ててよかったです。フラップ式のコインパーキングに駐車しているときに、今回のような大規模停電に巻き込まれてしまうと、お車をすぐに出すことができません。また、停電はしていなくても、洪水などで冠水した地域では、フラップ板自体が故障してしまって車が出せないというトラブルもかなりありました」
■停電中のコインパーキング、料金はどうなるのか?
――たとえば、いつものように車で駅へ行き、コインパーキングに停めて電車に乗ろうとしたとき、そのパーキングが停電中だったらどうすればよいのでしょうか?
「今回は停電期間が長かったので、そうしたお客様も多く見受けられました。こちらは一応、ロープを張ったり、コーンを置いたりして、パーキングに侵入できないようにはしているのですが、どうしてもお急ぎの方がいらっしゃるのでしょう、それをどけて、無理やり駐車される方も少なくありませんでしたね……。もちろん、停電が広範囲でしたので、ロープを張るなどの措置が遅れてしまうケースもあり、気づかずに停められたお客様もいらしたと思います」
――停電中のコインパーキングに車を停めた場合、駐車料金はどうなるのですか?
「停電中は基本的に課金することができません。入るのも出るのも自由で、駐車料金は無料、ということになりますね。駐車場によっては、停電が解消した時点でフラップ板が上がり、その時点から料金が発生する場合もありますが」
――ということは、停電中に駐車するというのは、やはり悪質な違法行為ということになるのでしょうか。
「駐車場にロープが張ってあったり、コーンが置いてあって、入庫が規制されている場合は、停めないことが基本です。それを破って駐車している車両を見つけたら、運営会社の指示によって、注意の張り紙などをする場合もありますが、法的な効力はありません。特に今回の場合は、自然災害による停電ですし、防犯カメラも停電のときは作動していませんので、その車を追及するということはほとんどしていません。そこはお客様の自己判断で、というしかありません」
■事前精算機も停電でストップ、どうすればいい?
――フラップ板のない、事前精算式(チケット式)のパーキングの場合は、停電のときどうなるのですか?
「駐車券や領収書を発券する精算機も、停電のときは止まってしまいます。そのため、事前精算をすることができません。今回の停電でも、多くのお客様から、「事前精算ができないが、どうすればよいのか?」というご連絡をいただきました。中には、ダッシュボードに「●日の●時から●日間駐車します」といったメモを残される律義な方もおられましたね。ただ、こちらも停電が解消するまでは、精算機が作動しませんので、駐車料金を計算することはできないのです」
■台風予報が出たらコインパーキングからは早めに出庫を!
――地震は突然なので仕方ありませんが、台風や集中豪雨の場合は、数日前からある程被害を予測することができますね。
「おっしゃる通りです。今回のような自然災害の予報が出た場合は、長時間の停電という状況も想定してください。そして、繰り返しになりますが、フラップ式のコインパーキングへの駐車を避けることです。また、すでに駐車中の人は早めに出庫することを心掛けなければなりませんね。今回の台風では、コインパーキングの大きな看板が折れてお客様のお車にぶつかってしまったケース、また、目の前で水位がどんどん上がっていくのに、停電のため駐車場からすぐに出庫することができず、愛車が無残にも水没してしまった方もおられます。これはパーキングに限ったことではありませんが、ぜひ、早め早めの対応をお勧めします」
――ありがとうございました。