「コロナ」がぶり返し、再び「厳戒態勢」に入ったソウル
韓国では収束の方向にあった新型コロナウイルスの感染が首都圏を中心に急速に拡大しており、秋冬を待たず早くも大流行が懸念されている。
韓国中央防疫対策本部によると、昨日(15日)の韓国の新規感染者は前日から279人増えた。このうち244人が首都圏。内訳はソウル146人、京畿度98人となっている。
ソウル市や京畿道では教会のほかファッションタウンの商店街、ハンバーガーチェーン店、投資専門企業、事務室、学校などいたる所で感染が拡大している。韓国でも感染経路不明の感染者が急増し、市中感染が広がっているようだ。
韓国の感染者は8月12日までは平均20人台から40人台で推移していた。どんなに多くても56人が最多だった。ところが、ここ数日間は急増し、13日に三桁(103人)に跳ね上がった途端、14日はさらに増え、166人となった。韓国では2日連続で100人超えになったのは3月以来の出来事であった。
新規感染者が166人となった一昨日、韓国政府は緊急会議を開き、ソウル市と京畿道を対象に感染拡大防止に向けた「ソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)」のレベルを第2段階に引き上げることを決定した。
本日0時から施行された第2段階では集団感染のリスクが高い施設の運営が禁止されるほか、スポーツ試合は無観客で開催するなどの制限が課せられる。ちなみに日本のプロ野球よりも1か月半早く開幕した韓国のプロ野球が観客を入れたのは7月26日。慎重を期して日本より約2週間遅れて観客を入れたが、僅か20日で再び無観客試合に戻ることになった。
ところが、「ソーシャルディスタンス」を第2段階への引き上げを決定した翌日(15日)に何と279人と、さらに約100人も増え、3月8日(366人)以来、最多を記録してしまった。
韓国では第2段階から第3段階への移行基準は▲一日の感染者が200人以上▲1週間内に2回以上一日の新規感染者が倍増した場合となっているが、このままでは第3段階への移行も時間の問題となっている。
深刻なのは首都・ソウルで8月1日から10までの新規感染者は5人、5人、9人、6人、9人、9人、17人、13人、6人、15人程度だったのが、11日からは26人、28人(12日)、32人(13日)、74人(14日)、146人(15日)と増加の一途を辿っている。
「韓国防疫の英雄」と称されている新型コロナウイルス対策の責任者である韓国中央防疫対策本部の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長は「ソーシャルディスタンス」を第2段階に引き上げた日に「今、首都圏は集団感染が大流行となりかねない重大な状況にある」と危機感を露わにしていたが、その理由について「無症状患者・軽症患者が散発的に発生し、教会や小規模会合を通じてクラスターが起り、こうした感染が学校、幼稚園や保育園、職場、市場に拡散していることにある」と述べていた。
ソウル市は本日(16日)から31日までの間、遊興施設、カラオケ店、ネットカフェなどでの集合を制限する一方、防疫規則の順守を徹底させることにしている。私的、公的に限らず室内では50人以上、室外では100人以上のすべての集いの自粛と市民の他道(県)への移動自粛も呼び掛けている。今後状況が悪化した場合は、感染リスクの高い施設に対しては運営中断措置を取ることにしている。
それでもソウル市の感染者は16日午前10時現在、1987人、死亡者は13人で、東京(感染者1万7454人、死亡者338人)に比べればはるかにましである。
なお、韓国の全体の感染者は日本(5万5120人)よりも約4万人少ない1万5318人。死亡者は日本(1093人)の約3分の1の305人となっている。