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田中将大は再び投げることなくヤンキースを去るのか。ALDSの黒星が最後の登板!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)Oct 7, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月7日、ディビジョン・シリーズの第3戦に登板した田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)は、2本のホームランなどで5点を取られ、黒星を喫した。

 田中がヤンキースで投げるのは、これが最後になるかもしれない。

 ここまでのシリーズは、ヤンキースが1勝、タンパベイ・レイズが2勝。ヤンキースが次のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズへ進むには、第4戦の勝利だけでなく、第5戦にも勝つ必要がある。

 一方、田中がヤンキースと交わしている7年1億5500万ドルの契約は、今シーズンまでだ。来シーズンのオプションはついていない。

 ただ、ヤンキースの先発投手陣からは、田中とジェームズ・パクストンに加え、J.A.ハップもFAになるはずだ。来シーズンのローテーションのうち、現時点で確定しているのは、エースのゲリット・コールしかいない。

 FAの3人が退団しても頭数は揃うものの、コンテンダーとして5年連続ポストシーズン進出をめざす、あるいは2009年を最後に遠ざかるワールドシリーズ進出とワールドチャンピオンをめざす(今年そうなれば連覇をめざす)のに、十分な陣容にはなり得ない。

 現在26~28歳の3人、ジョーダン・モンゴメリールイス・セベリーノドミンゴ・ハーマンは、シーズン20先発以上の「実績」を持つ。だが、モンゴメリーとハーマンはそれぞれ1度だけ。セベリーノは2017~18年に2年続けて30先発以上&防御率3.40未満を記録したが、来シーズンはトミー・ジョン手術明けだ。今年2月に手術を受けた。また、ディビジョン・シリーズの第4戦に先発するモンゴメリーは、今シーズン、10先発で防御率5.11に終わった。ハーマンはDVによって出場停止を科され、セベリーノと同じく全休した。

 現時点で25歳以下の4人、クラーク・シュミットデイビー・ガルシアマイク・キングジョナサン・ローアイシガは、いずれもメジャーリーグで10先発以上のシーズンがない。26~28歳の3人を含め、資質はともかく、計算しにくい。来シーズン、この7人のうち2人か3人はローテーションに入りそうだが、4人まではいかないだろう。

 FAの3人中、ハップは38歳の誕生日まで2週間を切っている。どちらも来月で32歳の田中とパクストンは、ここ3シーズンの防御率も4.06と3.97なのでほとんど変わらないが、パクストンは田中よりも故障が多い。

 ヤンキースは、他球団からFAとなった先発投手と契約するか、トレードで先発投手を手に入れることもできる。とはいえ、これまでもローテーションの一員として投げてきた田中は、他の投手よりも計算しやすい。大都市のニューヨークが本拠ということを考えれば、なおさらだ。

 ちなみに、今オフのFAで最高の先発投手は、トレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ)だ。コールとバウアーは、2011年のドラフト全体1位と3位。2009~11年にUCLAでチームメイトだった。彼らが犬猿の仲であるのは、有名な話だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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