2016年、プログレッシヴ・ロックの秋が到来。10月にヤン・アッカーマンが来日
2016年の秋、海外プログレッシヴ・ロック/ユーロ・ロックのアーティストの日本公演が相次いでいる。
10月には元ホークウィンドのニック・ターナーがニュー・スペイス・リチュアルを率いて来日。さらに“ザ・ベスト・オブ・イタリアン・ロック”シリーズのVol.3 としてラッテ・エ・ミエーレ、Vol.4 としてゴブリンが公演を行う。ゴブリンといえばイタリア産ホラー映画のサウンドトラックを多く手がけたことで知られているが、今回の来日は『サスペリア』を全編上映、それと同時に演奏を行うシンクロ・ライヴというレアな趣向だ。
11月に入るとフランシス・ダナリーが古巣イット・バイツ時代の曲をプレイするスペシャル・ライヴを行う。なんと彼は27年ぶりの来日ということで、往年の名曲の数々がどのように変化しているかも楽しみだ。
11月は“プログレの秋”の天王山というべき、イエスのジャパン・ツアーが予定されている。2015年6月27日にオリジナル・メンバーのクリス・スクワイアが亡くなったが、バンドとして活動を続けることを決意しての来日。今回は『海洋地形学の物語』と『イエスソングス』(共に1973)からのセレクションを演奏することが発表されていたが、さらに『ドラマ』(1980)からも数曲プレイされることが決定。2016年夏のツアーではドラマーのアラン・ホワイトが腰の手術で欠場となったが、無事回復。日本公演には参加する予定だ。
いずれも実力と人気を兼ね備えたアーティスト。さらにプログレッシヴ・ロックのファンといえば、お気に入りのアーティストが複数公演を行う場合、“全部行く”のがデフォルトだったりするので、かなりの出費を強いられることになる(強いられているわけではないのだが、ファンからすると“全部行かねばならない”のである)。最近では別料金でミート&グリートを行うアーティストもおり、それが数万円に上ることも少なくない。ファンにとってはまさに嬉しい悲鳴が出てしまう秋だ。ちなみにフランシス・ダナリーのミート&グリートが3千円というのは、かなりお得だったりする。
そんな状況下ながら、ぜひ見ておきたいのが10月下旬、ヤン・アッカーマンの来日公演だ。
1969年にオランダでキーボード/フルート奏者のタイス・ファン・レアと共にフォーカスを結成。ジャズ/フュージョンやクラシックをロック的解釈でプレイしたサウンドで知られ、「悪魔の呪文(ホーカス・ポーカス)」「シルヴィア」などの名曲で人気を博した彼らは1974年・1975年と連続で来日。ヤンの情感あふれるギターが日本人の心の琴線に触れることになった。
ヤンは1976年にフォーカスを脱退、ソロ活動に入り、1992年の『ハウステンボス・ジャズ・フェスティバル』で来日。2006年にはソロ・バンドを率いての公演を行っている。
今回の来日は、ヤン(ギター)、コーエン・モレナール(キーボード)、デヴィッド・デ・マレース・オイエンス(ベース)、マリィン・ファン・デン・ベルフ(ドラムス)という編成で行われる。
2016年12月に70歳を迎えるヤンはこれまで数多くの作品を発表してきたが、近年ではフォーカス時代のナンバーや本格ソロ・キャリア第1弾となった『ヤン・アッカーマン』(1977)からの楽曲、さらにフォーカス以前のブレインボックスの曲も披露するなど(オランダ公演でヴォーカルを取ったのは元ヴァンデンバーグのバート・ヒーリンクだった)、自らのキャリアを振り返るステージでオールド・ファンを感涙させている。
近作ではジャズやブルースなど、自らの音楽的ルーツに接近したアプローチも取られており、そのギター・スタイルの真髄を堪能することが出来るショーになるだろう。
日本のステージで、ヤンの愛器であるブランディンのJAシグネチャー・モデル(レスポールに似たシェイプ)からどんな曲が弾き出されるか? ジャンルを超えたエモーショナルなギターが、日本の秋を彩る。
<公演日程>
●2016/10/26日(水) ビルボードライブ大阪
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
●2016年10/28日(金) ビルボードライブ東京
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30