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【台風10号】接近前から雨/強い勢力で上陸か…なぜ東に曲がる?土日にやるべきことは?:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
24日9時の予想天気図(気象庁HPより)。台風10号付近の暖湿気が本州付近に流入

台風10号は日本の南の温かい海で発達を続けていて、来週28日(水)未明~朝には本州付近に上陸する可能性が高くなってきました。
27・28日については、すでにJRが東海道・山陽新幹線が計画運休の可能性を発表しています。

台風周辺の暖かく湿った空気が流れ込むために、接近前から雨の量が多くなるおそれがあるほか、本州を縦断するように進んで広範囲で長時間、影響を及ぼすおそれもあります。

なぜこのような進路になるのか、そして土日のうちに備えておきたいことを気象予報士がまとめて解説します。

台風10号は「強い」勢力で本州付近に上陸・縦断へ…なぜ東に曲がる?

台風10号の予報円(気象庁HPより)。
台風10号の予報円(気象庁HPより)。

台風10号は今後、一時「非常に強い」勢力にまで発達し、本州付近に接近するときには発達のピークは過ぎているものの、「強い」勢力で近づく見通しです。
「強い」勢力の台風の中心付近では、走行中のトラックが横転するような風が吹きます。

28日(水)未明~朝には西日本~東海に上陸する可能性が高く、今のところ28日朝の時点で中心気圧が955hPaと予想されています。これは、2018年に関空連絡橋にタンカーが衝突して大きな被害が発生した台風21号(俗に「関空台風」)が、神戸に上陸した際と同じくらいの気圧です。

台風と高気圧の縁辺流(気象庁HPを元に作成)。
台風と高気圧の縁辺流(気象庁HPを元に作成)。

今回、本州付近に接近した時点でまるで右折するように東へ曲がる予想になっていますが、これには高気圧の位置が関係しています。

台風はそもそも自分自身では動けず、周りの風に流されて動きますが、今回その「周りの風」にあたるのが、日本の東の海上にある高気圧の縁を回るように吹く時計回りの風です。

この高気圧の輪郭に沿うように進む(台風は低気圧の仲間なので高気圧の内部に入れず、高気圧の縁に沿うしかない)ため、東へ曲がらざるを得ないということになります。

24日も雷雨に注意を

24日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
24日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

前述の「高気圧周辺の時計回りの風」は、台風を運ぶだけでなく、台風周辺の暖かく湿った空気を日本列島へ送り込む役割も果たしています。

そのため、台風接近前から雨が降りやすく、24日も各地で激しい雷雨になるおそれがあります。
すでに早朝から日本海側を就寝に雷が発生していますが、このあとも東北~九州で発雷確率が高くなっています。

特に夜になるほど雨の範囲が広くなるため、雨が降っていないうちに少しずつ台風への備えを進めてください。

土日のうちにやるべきことは

台風に備えるタイムライン。
台風に備えるタイムライン。

台風は地震と異なり、タイムラインに沿って計画的に備えることが可能です。
今回の場合は、たとえ上陸が28日(水)でも27日(火)夜にはかなり影響が大きくなりそうなので、今日24日(土)がおおむね3日前にあたります。
そのため、上図の黄色で示された部分を24日に、赤い部分を25日(日)に済ませておきましょう。

なお、在宅避難に備えて食べ物を用意する場合は、食べたことのない典型的な非常食よりも、食べたことがあって自分が「おいしい」と感じる食べ物を優先してください。
いわゆる「非常食」でなくとも、レトルトカレー(非常時は加熱せず食べられる)、魚肉ソーセージ、焼き鳥の缶詰、お菓子など、常温で保存できるものは意外とたくさんあります。

また、災害時に水は1人1日3リットル必要とされていますが、このうち飲用には純粋な水だけでなく、お茶や野菜ジュースも加えておくのがおすすめです。

来週前半にかけて雨が長引く

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

今回、接近前から雨が降り、また台風が列島を縦断するように進み、さらに最終的に北海道付近に近づく頃には温帯低気圧に変わりながら前線が伸びる可能性もあるため、全体として雨の期間が長引きそうです。

台風による大雨や暴風に備えるのはもちろんですが、長雨によって仕事や家事に大きな影響が出る人も、早めに備えをしておきましょう。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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