台風16号 こわい暖気と冷気の衝突による雨雲の活発化
関東沖を指向中
まずタイトル画像による雲の様子をご覧下さい。昨夜27日(月)午後9時、台風16号の東に新たな熱帯低気圧が発生しました。ただこの熱帯低気圧は今後、台風に変わったとしても日本付近への直接の影響はありません。
一方、大型で非常に強い台風16号は、きょう28日(火)午前9時現在、中心気圧935hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートルの勢力で、北へゆっくりと進んでいます。
きのうの予想では、この時間に猛烈な台風へ復活するとみられていましたが、今のところ、予想したような再発達はみられません。
台風16号は今後も同じような勢力を維持したまま北上し、10月1日(金)午前9時には、伊豆諸島の八丈島の南海上に達する予想です。その後も北東方向へ進み、1日(金)日中から夜にかけて、関東の沖合をやや離れて通過する見込みです。
北寄りのコースをとれば房総半島をかすめるような予報円ですが、アンサンブル予報や諸外国の予想をみると、そのような可能性はかなり低いのではないかと思われます。
伊豆諸島南部は台風の暴風域に入る可能性が高く、接近次第では記録的な暴風が吹くおそれがあります。また後述しますが、関東などでも暖気と冷気の衝突により活発な雨雲が発生し、大雨となるおそれがあるため、警戒が必要です。
1日(金)に日付が変わるとともに大荒れ
上図は台風16号に伴う雨や風の予想です。(台風の予報円とこちらの計算結果には多少のズレがありますので、ご注意下さい。)
10月1日(金)に日付が変わるとともに、八丈島や青ヶ島などの伊豆諸島南部では、激しい雨や暴風が吹き荒れる大荒れの天気となるでしょう。大島など伊豆諸島北部でも次第に大荒れとなりそうです。
また関東の沿岸部でも本降りの雨とともに風が強まってくる予想です。
伊豆諸島は記録的な暴風のおそれ、関東も油断ならず
1日(金)の日中にかけて伊豆諸島では大荒れの天気が続くでしょう。
台風16号の勢力や接近次第では、瞬間的に50メートルを上回るような記録的な暴風のおそれがあり、また台風本体の活発な雨雲がかかるため、非常に激しい雨や猛烈な雨を伴い、数百ミリの大雨となるおそれもあります。
一方、台風16号がやや離れて通る関東でも、台風の強風域に入るため、横殴りの雨となり、沿岸部では暴風となるおそれもあります。
そしてこわいのが台風周辺の暖気と関東平野の冷気の衝突による雨雲の活発化です。
こわい暖気と冷気の衝突
上図は上空1500メートル付近の気温の予想で、赤い所が平年より高い所を示しています。10月1日(金)の日本付近は全体的に平年より高く、暖かい空気に覆われていることが分かります。
そんな中、関東や東北の太平洋側だけはこの時期らしい冷たい空気が滞留しており、この冷たい空気と南から北上してくる台風16号周辺の暖かな空気が激しく衝突すれば、局地的な前線が発生し、よりいっそう活発な雨雲が発生してもおかしくない状況となります。
冷気と暖気の差が一段と大きくなったり、台風周辺の暖湿気が強まったりするなど、気象条件が悪化した場合には、線状に連なるような活発な雨雲が発生し、数時間で100ミリから200ミリというような集中的な大雨に見舞われることも考えられます。
過去にはこのような冷気と暖気の衝突により、前線の活動が局地的に活発化した結果、記録的な豪雨に見舞われた例も少なからずありますので、台風が離れて通るからと言っても、通り過ぎるまでは決して油断しないでいただきたいと思います。