日本代表6月シリーズの大注目ポイントか!”森保ジャパン”の3バックで輝くシックスメン
森保一監督が率いる日本代表はアウェーでミャンマーと、広島でシリアと対戦します。
すでに二次予選の突破が決まっているにもかかわらず、国内候補合宿をのぞけば、A代表初招集の鈴木唯人(ブレンビー)など、フレッシュな選手が限定的になった理由として、今回のシリーズは9月からスタートする最終予選に向けた最後のテストになること。もう1つの理由として、これまで”第二次・森保ジャパン”で本格導入していなかった3バックをテストする可能性が高まっています。
今回の26人のメンバーで、3バックによって輝きを放ち、最終予選に向けて大きくアピールしそうな6人を代表記者の目線で選びました。
旗手怜央(セルティック)
4ー2ー3ー1では左サイドハーフ、左ボランチ、トップ下の3ポジション、4ー3ー3なら一番スペシャルなポジションである左インサイドハーフに加えて、左ウイングも候補になる。そんな旗手は3ー4ー2ー1だと、左シャドーは適正ポジションだろう。
実際に東京五輪の代表チームでも本大会の少し前まで固定的に使っていて、準優勝に躍進したトゥーロン国際(現在のモーリス・レベロ国際トーナメント)でも同ポジションで輝いた。旗手自身も「オリンピックの時に、森保さんの元で3バックはやってるんですけど。より戦術的な部分が増えてくると思うので、そこはしっかりと自分の中で頭を整理して、チームに落とし込んでいければいい」と語る。
静岡学園や順天堂大、川崎フロンターレで磨いたボール技術に、セルティックで引き上げた戦術眼、ゴールへの意識など、2シャドーから旗手のゴールに絡むスペシャリティが大いに発揮されそうだ。
川村拓夢(サンフレッチェ広島)
ボランチのポジションは3ー4ー2ー1でも、4ー2ー3ー1とならびこそ変わらないが、やはり広島で慣れ親しんだシステムであり、川村も「普段からやってはいる形ではあるので、そこは得意かなと思います」と語る。
アカデミー時代も森保監督の頃から観てきた3バックで、水を得た魚のように躍動する期待も。代表合流が磐田戦から2日しか経っていなかったために、強度の高い初日のシステム練習には不参加でしたが、川村も「やっと、たくさんの方のおかげでできたスタジアム」と言うピースウイングで、猛アピールに期待したいところだ。
相馬勇紀(カーザ・ピア)
初日のシステム練習では4ー4ー2の右サイドバックと3ー4ー2ー1のミグウイングバックをこなした。左右のサイドバックから得意の推進力を発揮する姿も楽しみだが、やはり名古屋グランパスで存在感を放ってきたウイングバックは代表でも相馬の飛躍に大きくつながる可能性が高い。
所属クラブでは2トップでも結果を残した相馬。4バックにも言えるが、相馬は左右のサイドハーフやウイングとサイドバック、3バックなら左右のウイングバックと2シャドーと非常にポリバレントな性能を発揮できるので、複数ポジションを使い分けて、アジアの強豪と渡り合うことが予想される最終予選に向けて、大きなアピールのチャンスになりうる。
鈴木唯人(ブレンビー)
久保建英と同じく、パリ五輪の参加が難しいという状況も鑑みての招集となったが、逆に言えばA代表で一気に定着していくビッグチャンスでもあり、デンマークの強豪で大飛躍を遂げた3ー4ー2ー1のシャドーというポジションは鈴木の突破力、決定力、周囲との細かいコンビネーションを織り交ぜるセンスを示すにはうってつけのポジションだ。
もちろん4ー2ー3ー1のトップ下も鈴木の能力を活かしやすいが、初日のゲーム形式の練習でも組んだ、久保との2シャドーは近い将来を考えても、日本代表のアイコンになって行く可能性を秘めている。
橋岡大樹(ルートン・タウン)
「自分のポジションがセンターバックなのか、サイドバックなのか、左のサイドバックなのかって、いろんなところやっておる中で、どんなところで出れてもそこで求められていることをやりたい」
プレミアリーグでの激闘を終えてきた橋岡はそう語り「チームでもやってますし、問題ない」という3バックの適応にも強い意識を示している。初日の練習では長友佑都が別メニューだった影響もあってか、4バックだと左サイドバック、3バックは右ワイドで中央の板倉滉、左の伊藤洋輝とスムーズな連携を見せた。
3バック右は橋岡の人に対する強さと非凡な運動能力を生かした攻撃参加の両面で、スペシャリティを出しやすいポジションだけに、A代表での序列を上げる大きなチャンスになることは間違いない。
久保建英(レアル・ソシエダ)
これまで4ー2ー3ー1や4ー3ー3の右サイドで左利きの特性を発揮してきたが、よりゴールに直結するプレーが期待されるのが、3ー4ー2ー1の右シャドーというポジションだ。インサイドが主戦場で、それでいて左シャドーの選手と相手のプレッシャーを分散できる。
また守備面でも前からのプレスがメインの仕事になり、右サイドほど戻りながらの守備を求められないことで、攻撃にパワーを割ける。東京五輪のチームに参加していた期間は少なく、本番は4バックがベースだったことから、代表レベルではそれほどやってきたシステムではないが、新境地を開拓するきっかけになりうる。それと同時に、2シャドーを組む相棒とのコンビネーションにも期待がかかる。