工藤ホークス2年続けて巨人に3連勝! 一発攻勢だけじゃない「真の強さ」
歓喜のタカファン、怒りのG党
いまや球界の中心はソフトバンクホークスだ、と言わんばかりの圧倒ぶりだった。
セ・パ交流戦の巨人3連戦(6月10日~12日・ヤフオクドーム)は、とにかくソフトバンクの強さばかりが際立っていた。初戦こそ巨人菅野の力投があり2対1と接戦スコアになったが、2戦目は8対3、3戦目は7対5。ソフトバンク打線の本塁打攻勢が光った。
11日は3番柳田悠岐が3打点を挙げれば、4番内川聖一が自身6年ぶりの満塁本塁打を含む2発5打点の大暴れ。12日は「待機中」から「大活躍中」へと進歩を遂げた城所龍磨の2打席連続アーチや松田宣浩の14号2ランが飛び出した。お祭り騒ぎのような試合運びに地元ファンは大喜びだった。
一方のG党。3戦目の3回表、7番ギャレットは1打席目にもかかわらず、打席に入るなり「気合を入れろ、ギャレット」のコール。フラストレーションを象徴するような場面だった。
菅野のスライダーを狙い打ち
力でねじ伏せた3連勝。だが、パッと見では派手さのないところに、ソフトバンクの本当の底力を感じた3連勝でもあった。
まずは初戦だ。1対1の8回裏1アウト満塁で決勝犠飛を放った鶴岡慎也は、試合後にこう振り返った。
「相手投手が防御率0点台の菅野投手だったので、このような試合展開になると予測していました。ボク自身それまでの打席で全くいいところがありませんでした。あの打席は狙い球を絞ってあの打席は臨んでいました。ベンチでコーチ、スコアラー、そして僕の意見が一致。スライダーを狙っていたんです」
工藤公康監督が補足をする。
「序盤からストレートを狙い打っていた。そのため菅野投手は徐々に変化球が多くなっていった」
チーム全員で菅野にボディに何発もジャブを食らわすように、徐々に追い詰めていたのだという。そして「満塁のなり方もね。ボールが浮いてきていたし、あそこから低めにビシビシ決まるのは難しいと思った」と話した。菅野のボールが初見の代打を送るのではなく、そのまま鶴岡に託しての勝ち越し打。チーム力を結集した1勝だった。
巨人バッテリーの選択肢を狭めたソフトバンク打線
第2戦もそうだ。内川のグランドスラムが飛び出すまでのお膳立てが、あまりに素晴らしかった。
この回、先頭の鶴岡が13球粘った。二ゴロに倒れたが、9番牧原大成が8球目で一塁内野安打をもぎとった。
下位打線がこの粘りだ。そして、2巡目となり1番今宮健太は直球をレフト前へ痛烈にはじき返したのが、1つの分岐点となった。
実はソフトバンク打線の1巡目は巨人先発今村信貴の直球に手を焼いていた。130キロ台後半のそれは真っスラしており、とくに右打者は詰まらされて大苦戦。内川も第1打席は甘めの直球を強振するも詰まったショートゴロに打ち取られ、首を傾げながらベンチに戻っていた。
だが、今宮の一打で、2巡目のソフトバンク打線が対応していると察知したのか、巨人今村-小林誠司のバッテリーから大胆さが消えてしまった。1死満塁となって柳田に対して直球が内角に抜け気味となって押し出しフォアボールを与えてしまい、より配球の選択肢が狭まった。内川は、初球のスライダーに反応して、満塁ホームランをかっ飛ばした。
60試合で40勝。勝率.727
ソフトバンクは60試合を戦い終えて、早くも今季40勝(15敗5分)に到達。交流戦2年連続勝率1位はもちろん、パ・リーグでも2位ロッテに8.5差と完全な独り旅状態だ。
戦力豊富で他を圧倒しているからといえば、それまでだが、加えてこれだけの創意工夫をして戦っているのだから、圧倒的に強いに決まっているのである。
2015 (東京ドーム開催)
6月5日 H8-4G 16安打猛攻
6月6日 H3-2G 高谷が勝ち越し2点タイムリー
6月7日 H5-2G 高田がプロ初本塁打
2016 (ヤフオクドーム開催)
6月10日 H2-1G 鶴岡8回に決勝犠飛
6月11日 H8-3G 内川満弾など2発5打点
6月12日 H7-5G 城所2打席2ラン連発