南半球史上最強のサイクロン、フィジーを直撃。風速84.9mを記録。
まるで去年のサイクロン・パムの惨劇を見ているかのようである。2015年3月、バヌアツを猛烈なサイクロンが襲い、街は跡かたもなく壊滅した。
今回、フィジーを直撃したサイクロン・ウィンストンも、フィジー史上最強の嵐であった。これまでのところ29人が死亡し、国家史上最大の人的被害を出す結果となった。今後被害の全貌が明らかになるにつれ、死者数がさらに増大する恐れがある。
ウィンストンは、南半球で史上最も強いサイクロン
米軍合同台風警報センターによると、ウィンストンの推定最大風速は83メートルもあり、これは南半球でかつて発生したサイクロンの中で最も強いと言う。(この値は1分間の最大風速で、日本の気象庁が用いている10分間平均だと、およそ73メートルとなる)また風速だけで見ると、過去陸地を直撃した熱帯擾乱の中で、2013年の台風ハイエンに次ぐ2位の記録だという。
日本でも起きていた風速85メートルの世界
フィジー気象局によると、84.9メートルの最大瞬間風速が観測されたが、実は、同じような強風が日本でも吹いたことがある。それは、1966年の「第二宮古島台風」で吹いた85.3メートルである。
この時、島の半数以上の家屋が損壊、野菜や果樹も全滅、またさとうきびの70%が収穫不能になるほどの被害が出た。しかし、1959年の宮古島台風の教訓もあったせいか、幸いにも一人も死者が出なかった。
今後のサイクロンの動き
現在進路を南向きに変え、比較的冷たい海域に向かうため勢力が弱まる見込みである。海外ニュースでは、ウィンストンを“モンスターサイクロン“などと呼んでいるが、ヨーロッパ中期予報センターによると、週末はニュージーランドに直撃する可能性もあり、まだ油断できない。
さらに心配なのは、現在ジカ熱が流行しているトンガである。トンガでは、サイクロンの直撃こそ免れたが、洪水の発生によって、今後蚊の大量発生が憂慮され、感染がさらに拡大する恐れがある。