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【NIKE AACレポート】取り組む姿勢が向上し、バスケットボールスキル向上にも強い意欲を示した横地

青木崇Basketball Writer
昨年と違って我慢強くキャンプに取り組んだ横地 (C)Takashi Aoki

「去年は中3で知らない人が多かったし、日本人も先輩ばかりであまり仲良くなかったので、消極的な部分もあったし、プレイでもハングリーさが全然なかった」

中学3年生として参加した昨年のNIKE ALL-ASIA CAMP、横地聖真は自身が希望するポイントガードでプレイできないまま時間だけが過ぎる。フラストレーションを感じていたのは明らかといえ、その姿勢を問題視したのが、ワシントン・ウィザーズのアシスタントコーチであるデビッド・アドキンス。モントロス・クリスチャン高で教えた松井啓十郎や伊藤大司と大きな違いを感じ、キャンプが終わると通訳を介して横地を叱った。中学生ならの未熟さがあったにしても、アドキンスは取り組む姿勢に我慢できなかったのである。

アドキンスからアドバイスを受ける横地 (C)Takashi Aoki
アドキンスからアドバイスを受ける横地 (C)Takashi Aoki

あれから1年。福岡大附大濠に進学した横地に、キャンプへ参加するチャンスが再びやってきた。「今回は去年を経験していることもあって、日本だと空いている人にパスするのですが、ここでそれをしたら自分も目立たない。何をやっているんだと思われるので、行けるところは行って、無理だと思ったら空いている人にパスするのを心がけた」と語ったように、ゲームでは積極的に取り組むことを実践。キャンプ中盤で行われた中国とアジア・オセアニアに振り分けた試合のメンバーに選ばれた横地は、なかなかボールがもらえない状況であっても、オフボールで正しい動きをし続けた結果、オフェンス・リバウンドからの流れで3Pシュートを成功。このゲームで決めたシュートはこの1本だけだったが、精神面での成長を感じられるシーンだった。

キャンプ序盤の横地はシューティングガードのドリルに参加していたが、アドキンスに声をかけられてスモールフォワードに変更。そこで行われたボールハンドリングで苦労するシーンもあったが、我慢強くやり続けていくうちに、アドキンスから"Good job(いいぞ)"と言われるようになっていた。「本当はポイントガードのスキルをやりたかったですし、大濠の先生にも将来ポイントガードをやりたいと言っていますけど、今はフォワードの練習をしている。ここでもフォワードの練習をしていて、ドライブからも多いですけど、展開してきた時のミートからの1対1、ユーロステップといったことをもっともっと向上していって、止められてもすぐに切り返しできるようなプレイをしたいです。止められた時にユーロステップで点を取るとか、もっと強く行ってアグレッシブに点を取る方法を知ることができてよかったです」と、2回目のキャンプで得たものをこう語る。アドキンスに教えてもらったドリルは、日本でも練習し続けたいという意欲も口にした。

ジャンプシュートの精度を上げることも今後の課題になるが、得意とするドライブでの仕掛けにより磨きをかけることは、自身の存在をよりアピールする点で大きなプラス。「デビッドさんから“お前の名前を広まって評価も上がっているから、もっと向上して評価されるように続けて行け”と言われたので、もっと自分をアピールできるように頑張ります」と、うまくなりたいという気持は明らかに強くなっている。デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)とバディー・ヒールド(サクラメント・キングス)によるビデオ解説を見て、NBA選手も自信を持ってシュートを打つこと、キャッチからリリースをより速くするといったことを大事していることを認識。インターハイやウィンターカップでは、キャンプで得たものを発揮するシーンが随所に見られることを期待したい。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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