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王位戦第2局は30・31日に。挑戦者木村一基九段の戦型選択は如何に?

遠山雄亮将棋プロ棋士 六段
注目の一戦は矢倉か?(筆者撮影)

 豊島将之王位(名人)(29)に木村一基九段(46)が挑戦する王位戦七番勝負第2局が、7月30・31日に北海道札幌市で行われる。

 第1局は7月3・4日に行われ、豊島王位が快勝した。

シリーズを占う一戦

 先日、筆者は木村九段についての記事を書いた。

 記事の中で王位戦七番勝負のポイントとして記したのは、「タイトル戦慣れ」と「序盤戦術」だ。

 大勝負が続く豊島王位はタイトル戦を主戦場としているが、木村九段は久しぶりのタイトル戦なので場の雰囲気に慣れるまでもう少し時間を要するだろう。

 豊島王位としては木村九段がタイトル戦に慣れる前にシリーズの流れを自分のものとしたい。

 一方、木村九段はタイトル戦に慣れるまでに星を離されずにいきたい。

 木村九段が第2局をとれば、シリーズの流れを五分に戻せる。タイトル戦の雰囲気にも慣れて、この後さらに力を発揮していくだろう。

 もし逆の結果になればシリーズの流れは豊島王位のほうに大きく傾き、一方的にシリーズが終わることもあり得る。

 木村九段が悲願の初戴冠を狙うのに、この第2局は絶対に落とせない。

戦型は矢倉か

 戦型はズバリ矢倉戦法を予想する。

 (※ここでの矢倉戦法は初手から、▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀、の出だしを指す)

 矢倉戦法は木村九段が長年相棒としてきた戦法だ。この大一番では頼りになる相棒を登場させるのではないか。

 また豊島王位はここ最近、後手番で矢倉戦法を相手に2連敗中だ。

  • 棋聖戦五番勝負第3局(6月29日 対渡辺明二冠(当時))
  • 王座戦挑戦者決定戦(7月25日 対永瀬拓矢叡王)

 どちらも序盤戦術に長けた豊島王位にしては珍しく序盤からリードを許す展開だった。

 木村九段としては、矢倉戦法で豊島王位の序盤戦術を封じ込めたいところだ。

 豊島王位としては作戦がうまくいかなかった前2局を踏まえた修正が必須だろう。

各メディアで中継

 王位戦第2局は各メディアで中継がある。

 なお筆者は7月30日(1日目)にAbemaTV将棋チャンネルで解説を担当する。

 注目の一戦、各メディアでご覧いただければ幸いだ。

将棋プロ棋士 六段

1979年東京都生まれ。将棋のプロ棋士。棋士会副会長。2005年、四段(プロ入り)。2018年、六段。2021年竜王戦で2組に昇級するなど、現役のプロ棋士として活躍。普及にも熱心で、ABEMAでのわかりやすい解説も好評だ。2022年9月に初段を目指す級位者向けの上達書「イチから学ぶ将棋のロジック」を上梓。他にも「ゼロからはじめる 大人のための将棋入門」「将棋・ひと目の歩の手筋」「将棋・ひと目の詰み」など著書多数。文春オンラインでも「将棋棋士・遠山雄亮の眼」連載中。2019年3月まで『モバイル編集長』として、将棋連盟のアプリ・AI・Web・ITの運営にも携わっていた。

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