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「マズローの欲求5段階説」と「シックス・ヒューマン・ニーズ」との違いを心理カウンセラーが解説します。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、現役プロ心理カウンセラーである私が、「マズローの欲求5段階説」と「シックス・ヒューマン・ニーズ」との違いを解説したいと思います。

マズローの欲求5段階説とは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と、心理学者アブラハム・マズローが仮定し、人間の欲求を5段階に理論化したものです。マズローは、「人間には5段階の『欲求』があり、1つ下(たとえば第1段階)の欲求が満たされると次の段階(たとえば第2段階)の欲求を満たそうとする」と提唱しました。

もういっぽうのシックス・ヒューマン・ニーズとは、「人が潜在的に持つ6つのニーズ(欲求)」のことです。世界No1コーチと呼ばれているアンソニーロビンズが理論を確立し、提唱したものです。私たちは、シックス・ヒューマン・ニーズを理解することによって、人間の根本的欲求を理解することができます。

ー マズローの欲求5段階説 ー

第1段階は、生理的欲求です。
生きていくために必要な、基本的・本能的な欲求を指します。
「食欲」「睡眠欲」などが、これに当てはまり、これらが満たされなければ生命の維持が不可能です。一般的な動物がこのレベルを超えることはほとんどありませんが、人間がこの欲求階層にとどまることは、一般的ではありません。
第2段階は、安全欲求です。
心や安全な暮らしへの欲求を指します。
病気や不慮の事故などに対するセーフティ・ネットも、これを満たす要因になります。一般的に、幼児にはこの欲求が顕著に見えますが、大人になると反応を抑制することを覚え、自然と次の段階への欲求が昇華していきます。
第3段階は、社会的欲求です。
友人や家庭や会社から受け入れられたい…という欲求を指します。
集団への帰属や愛情を求める欲求であり、「愛と所属の欲求」あるいは「群居欲求」と表現されることもあります。この欲求が満たされない状態が続くと、孤独感や社会的不安を感じやすく、時にはうつ状態に陥ることがあります。
第4段階は、承認欲求です。
他者から尊敬されたい認められたい…と願う欲求を指します。
名声や地位を求める「出世欲」もこの欲求の1つにあてはまり、外的部分を満たしたい第3段階までとは異なり、内的な心を満たしたい欲求へと変わります。また、こちらは第3段階における「帰属」の欲求が前提となっており、他人からの賞賛を求める欲求は、その後の自然な行為とみなします。この第4段階の欲求が妨害されると、劣等感や無力感などの感情が生じます。
第5段階は、自己実現欲求です。
自分の世界観・人生観に基づいて、あるべき自分になりたい…と願う欲求を指します。
潜在的な自分の可能性の探求や自己啓発行動や創造性の発揮などを含み、自己実現の欲求に突き動かされている状態のことです。また、第5段階だけは、これまでの欲求とは質的に異なっているとされています。
マズローは、第1段階から第4段階までを「欠乏欲求」と言い、第5段階を「存在欲求」と言っています。そして、自己実現を達成できた人は数少ないと言っています。

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ちなみに私(竹内成彦)は、マズローの欲求5段階説を、あまり支持していません。何故なら人は、社会的欲求や承認欲求を満たしたいがために、時に命を投げ出すこともあるからです。人は、第1段階や第2段階の欲求が満たされていなくても、第3段階や第4段階の欲求を満たしたいと考える生き物でないか? と、私は思っています。

ー シックス・ヒューマン・ニーズ ー


1.「安定・安心したい」というニーズ

「今日も明日も、昨日や一昨日と同じような、変化のない、平凡で安定した日でありたい」と願う欲求です。「毎月、しっかり、安定したお給料をもらいたい」という欲求、「福利厚生のしっかりした、大きな会社に入りたい」という欲求です。「今年も来年も再来年も、食べる物に困らない生活をしたい」という欲求です。「安全な場に身を置きたい」という欲求です。毎日、満員電車に乗って、頑張って通勤している人は、このニーズをしっかり持っているということです。
2.「刺激・変化が欲しい」というニーズ
「毎日が、ワクワク・ドキドキした、変化に富んだ1日でありたい」という欲求です。「何かしら、新しいことをしてみたい」という欲求です。「知的好奇心を満たしたい」という欲求です。「怖いもの見たさ」です。「冒険したい、探求したい」という欲求です。「自分がこれからどうなるかわからない、不安定な世界に飛び込みたい」という欲求です。脱サラして独立起業しようとする人は、このニーズが強いと言えます。
3.「価値ある存在でありたいという」ニーズ
「自分は生きる価値のある重要な人間でありたい」という欲求です。「自分は有能で力のある人間でありたい」という欲求です。「自己重要感」「自尊感情」「自己肯定感」「自信」と言い変えてもいいのではないでしょうか。←左記の4つは、意味合いが微妙に違いますが、概ね合っていると思います。私(竹内成彦)は、人間という生きものは、このニーズが1番大きく、人間以外の他の動物には見られない、大変に興味深い欲求だと思っています。
4.「愛し愛されたい、仲間になりたい」というニーズ
「人や物や行為を愛したい」という欲求です。「人や動物や自然や現象から愛されたい」という欲求です。何かのグループ・団体・コミュニティに属したいと欲求です。「友だちが欲しい」「仲間が欲しい」「お喋りしたい」「群れたい」という欲求です。しみじみ人は、人を求める社会的動物なんだなぁ…と思います。
5.「成長したい」というニーズ
「成長したい」という欲求です。一昨日より上手になりたい。昨日より、より上手く出来るようになりたい。「強くなりたい、賢くなりたい。日々、自分の成長を感じたい。より高みに登りたい」という欲求です。向上心が強い人は、このニーズが強い人と言えます。この「成長したい」というニーズを満たすことが出来れば、人は同時に、3番目の「価値ある存在でありたい」というニーズも満たすことが出来ます。
6.「社会に貢献したい」というニーズ
「人様の役に立ちたい」「社会貢献したい」「ボランティア活動に精を出したい」「人を笑顔にさせたい」「人のお世話をしたい」という欲求です。人は、お世話されるのも好きだけれど、人をお世話するのも好きなのです。困っている人を助けたくなるのは、このニーズがあるからです。この「社会に貢献したい」というニーズを満たすことが出来れば、人は同時に、3番目の「価値ある存在でありたい」というニーズも満たすことが出来ます。

上記の6つ。人によって、強い弱いがあります。そう、「安定・安心したい」というニーズが強く、「刺激・変化が欲しい」というニーズが弱い…という人もいるということです。


「どのニーズが強いか弱いか?」で、その人の性格がかなり理解できるようになります。
そう、世の中には、「安定・安心したい」タイプの人と「刺激・変化が欲しい」タイプの人がいる…ということで、両者の価値観はかなり違います。
どのニーズも満たすことが出来ていれば、人は幸せを感じながら生きていられます。逆に言うと、どれかひとつでもニーズを満たしていないと、人は、毎日が何となくつまらなく感じてしまいます。

そして、ここからが重要なのですが、
人から好かれるためには、人から愛されるためには、その人のニーズを満たしてあげることが重要です。あなたが隣人の6つのニーズをしっかり満たすことが出来れば、あなたは隣人にとって、なくてはならない大切な人になることが出来ます。世の中には、「人たらし」と言われる、人に好かれることに長けている人がいますが、そういう人は、人の6つのニーズを満たすことが得意な人と言えるでしょう。

あなたは、如何ですか?
あなたは、自分の「シックス・ヒューマン・ニーズ」を満たしていますか?
そして、あなたは、隣人の「シックス・ヒューマン・ニーズ」を満たしていますか?
あなたの隣人は、如何ですか?
あなたの隣人は、自分の「シックス・ヒューマン・ニーズ」を満たしていますか?
そして、あなたの隣人は、あなたの「シックス・ヒューマン・ニーズ」を満たしてくれますか?

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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