ニューヨークのレストランで日本のワクチンパスポートは使える?NY、ハワイ、フランスへ渡航時の注意点
アメリカのニューヨーク市では9月13日より店内で飲食する際に、新型コロナウイルスのワクチン接種の証明書提示が義務化され、証明書を提示しなければレストランの店内飲食が認められず、証明書を提示することができなければ、外のテラス席もしくはテイクアウトに限定される運用を開始した。
ニューヨークではPCR検査などの陰性証明書でも店内飲食が不可。国によってルールが大きく異なる
特にニューヨークにおいては、ワクチン接種者のみ飲食が可能で、仮に直近のPCR検査や抗原検査の陰性証明書を提示しても、 店内での飲食が認められない強い措置に踏み切った。
日本でも自治体でワクチンパスポート(新型コロナウイルス感染症予防接種証明書)の発行が開始され、7月の導入当初は主に入国時にPCR検査の陰性証明書に代わり、ワクチン接種が済んでいれば出発前のPCR検査なしに入国が認められている国の一部で活用され、現在、イタリア、フランス、ドイツなどに入国する際にはワクチンパスポートを持っていれば、日本出発前のPCR検査が不要となっている。
最近になって、レストランなど屋内施設を利用する際にワクチン接種証明を求める国・地域が増えており、今回義務化したニューヨーク以外にも、ハワイやフランスなどでもワクチン接種証明を提示しなければ室内での飲食は原則認められない。ただハワイやフランスについては、ワクチンを接種していない場合やワクチン接種証明書を提示できない場合でも、現地で検査した直近のPCR検査もしくは抗原検査の陰性証明書でも認められる運用となっている。
そこで今回、日本から出張や留学、旅行や親族・友人・恋人などへの訪問も含め、日本など海外からの渡航者に対しても、ワクチン接種証明を飲食時などに求められる主な国・地域の中からニューヨーク、ハワイ、そしてフランスへ渡航して、レストランなどで食事をする場合の注意点についてまとめてみた。
※この情報は記事執筆の9月15日現在のものであり、頻繁にルールが変わることから、最新の情報は訪問する国の日本大使館もしくは領事館のホームページや日本にある各国の大使館のホームページを確認していただきたい。
ニューヨークは日本のワクチンパスポートも原則有効。最終的な判断はお店が決める
アメリカのニューヨークについては、9月13日からレストランやスポーツジム、映画館や美術館などの屋内娯楽施設も含めて12歳以上の人は全てワクチン接種証明の提示が義務化されることになるが、アメリカ国内でワクチン接種をした場合にはCDC(アメリカ疾病対策予防センター)発行のワクチン接種証明の提示などでレストランなどで食事をすることが可能である。
そして日本を含む海外で接種した場合については、公的な接種記録であれば認められることになっている。ニューヨークにある在ニューヨーク日本国総領事館のホームページに掲載されているが、日本政府が発行するワクチンパスポートについて、関係当局への問い合わせで日本の証明書は有効であるとのことだ。ただ最終的な受け入れの判断については各施設の事業主にあることから、見慣れない日本のワクチンパスポートで入れないケースも少なからず出てくることも考えられるという点は留意する必要がある。
ただ、 ニューヨークの場合は他の国や地域と異なり、PCR検査や抗原検査の陰性証明ではレストランの店内で食事することさえ認められないので、ワクチン接種を終えている場合には、必ず日本を出発する前にワクチンパスポートを取得しておく必要があるだろう。
ハワイもレストラン店内での食事にワクチンパスポートが使える。持っていない場合は現地取得の陰性証明書でOK
同様にハワイ州でも、9月13日よりレストランやバー、ジムなどの施設を利用する際には「セーフアクセスオアフ」プログラムとして、最終接種後15日間経過しているワクチン接種証明書及び身分証明書の提示が義務付けられるようになった。
日本のワクチンパスポートも証明書として認められることになったが、ニューヨーク同様に最終的には各施設の事業主が判断することから、入店できない可能性があることについてもハワイ州の発表でも言及している。ただハワイでは、ワクチン接種証明書を取得していない場合やワクチン未接種の場合は、過去48時間以内に現地の指定機関で新型コロナウイルスのPCR検査もしくは抗原検査の陰性証明書を取得することで、レストランの中で食事することは可能となっている。
ハワイでは、パスポートなどの身分証明書提示も必要なので注意
ここはニューヨークとの大きな違いになっているが、ハワイの場合には加えて、身分証明書の提示も義務づけられることから、屋内の施設を利用する際には基本的にはパスポートを常に持参する必要がある。また、日本で接種したワクチンにおいては、ファイザーやモデルナのワクチンは「セーフアクセスオアフ」の対象となるが、最近日本国内での接種が開始されたアストラゼネカのワクチンについては、アメリカ国内で正式承認されていないことから、接種している場合でも認められないルールになっている。 現時点では9月13日から約60日間は少なくとも実施されることになっている。
ただハワイ州のイゲ知事は8月23日に、ハワイ州における新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、ハワイ州外からのハワイ旅行を10月末まで延期する旅行自粛を要請している。
フランスは8月9日より「衛生パス」が義務化。食事だけでなく、国内の長距離列車や国内線でも提示が義務に
またフランスでは、レストランだけでなく百貨店やショッピングセンター、さらには長距離移動の鉄道や国内線、スポーツのスタジアム、映画館・劇場・美術館など広範囲にわたって「衛生パス」と呼ばれる証明書の提示が8月9日から義務化されている。
日本のワクチンパスポートで出発前に衛生パスの取得が可能だが、取得までに時間を要している
この衛生パスは、QRコードが付いているデジタル証明書(アプリ)もしくはQRコードが付いている紙の証明書のどちらかで適用可能であるが、日本ではワクチンを接種した場合は、EU外の外国人向けの特設サイトから8月27日よりオンラインで事前申請することで、日本出発前に衛生パスのQRコードを取得することが可能となっている。申請の条件は、18歳以上でファイザー、モデルナ、アストラゼネカの2回目接種後7日以上経過している場合に申請が可能となっており、オンライン申請の手続きにはスキャンしたパスポート、ワクチンパスポート(ワクチン接種証明書)、フランス入国時の交通チケット(航空券)の3点が必要となる。
オンラインで申請してから、QRコードが発行されるまで平均で12日~14日程度の時間を要しているとホームページ上に記載されている。QRコードが発行されれば、印刷することでそのまま利用できるほか、フランス政府のスマートフォンアプリ「TousAntiCovid」にQRコードを読み込むことでデジタル証明書となる。
もし衛生パスを事前に取得できない場合や未接種者は72時間ごとに抗原検査を受ける必要がある
出発までにQRコードの発行が間に合わなかったり、ワクチン接種をしていない場合は、フランスの到着空港や街中にある検査センターで72時間有効の抗原検査をした上で、QRコード付きの陰性証明書を取得することでレストランや長距離列車・国内線の利用が可能となる。抗原検査であれば30分程度で結果がでるところが多いとのことだが、72時間しか有効でないことから、3日間以上滞在する場合には、72時間ごとに抗原検査を受けなければならない。
ルールは頻繁に変わることから最新情報を常に確認する必要がある。海外渡航予定がある人はワクチンパスポートの取得は早めに
今回の記事では、ニューヨーク、ハワイ、フランスについて取りあげたが、今後、ワクチン接種証明をレストランでの食事の時などに義務化する国が更に増えることも考えられる。そういった意味でも海外渡航を計画している人で、ワクチン2回接種を日本国内で終えた人はワクチンパスポートを早めに取得するのが得策と言える。ワクチンパスポートは住民票のある自治体に申請して発行されることになっている。
また日本帰国時にも、帰国便出発の72時間前以内に検査したPCR検査(日本政府が認めている検査方法)の陰性証明書取得が日本入国者全員に義務付けられている。これはワクチンパスポートを持っていても現状、現地でPCR検査を受けなければ、日本行きの飛行機に搭乗することさえもできない。
入国時のルール及び各国滞在中のワクチン接種証明書の必要有無についても頻繁に変更されることから、海外渡航を計画している人については、最新の情報を常に調べておくことが必要だ。