岡山で発見!とことん麺にこだわるラーメン職人のルーツを迫るとジャマイカに繋がった
突然ですが、私の趣味は“ラーメンの食べ歩き”と“サッカー観戦”、そして“レゲエミュージック”が中心となっています。
そのうちの一つであるレゲエミュージックも楽しみ方は人それぞれでたくさんありますが、私は基本的に”歌い手”よりも”サウンド”(一般的にDJとお伝えした方が伝わりやすいかと思います)と呼ばれる、原曲の歌詞を書き換えたりリズムを変えたりしてオリジナルの音を奏でるレゲエサウンドが好きで、よくイベントなどにも出掛けています。
話が脱線しましたが、実はラーメン業界には、そのサウンド経験者で全国を飛び回っていた方も多くいるのです。
今回ご紹介するお店も、レゲエ業界で10年過ごし、ラーメン屋店主へと転向された人物が切り盛りするお店です。
お店は、ラーメン店や他の飲食店での修業を経て、2021年3月に岡山県総社市に開業された【麺処 おぐら】。無化調・自家製麺のこだわりのラーメンがいただける名店で、関西でもその名前を耳にする機会が増えました。
最寄駅の東総社駅からは1キロほどの距離がありますが、店舗前に駐車スペースが確保されていて、訪れた平日のこの日も行列が出来ていました。
カウンターのみの店内を、ご主人が一人で切り盛りされています。店内にはサウンド時代の名残かターンテーブルも置かれ、レゲエ好き必見の写真やレコードが飾られています。
◆中華そば
まず、同店の注目ポイントは、自家製麺へのこだわりがハンパないこと!
開業から日々ブラッシュアップを重ねた自慢の細麺は、「自分の縁のある場所の食材を使いたい」という想いから、福岡の“チクゴイズミ”や北海道の“みのりのちから”、“キタホナミ”などを仕入れて独自に配合。少し粘り気のあるチクゴイズミの特徴を生かしつつ、少し柔らかめに茹でることでしなやかにスープを纏い、より小麦感を楽しめる感じに仕上げられています。北海道の小麦畑へ何度も足を運び、名だたるラーメン店の先輩方から話を聞き、より美味しい麺へと近付けようとする姿勢が麺に表れています。
そんな麺に合わせるスープですが、鶏と豚骨などの動物系と、羅臼昆布や鯖、煮干しなど数種類の乾物から出汁を取ったスープを別々で炊き合わせられています。
味を纏める醤油にも抜かりがなく、九州に思い入れがあることから九州産の醤油や島根の2種類の醤油、さらには瀬戸内のものも使いたいと小豆島の醤油をブレンド。そのうえ、宍道湖のシジミなどの貝の旨味をたっぷり加えることで、余韻と奥行きのあるスープに仕上がっています。
吊し焼きの炭火の香りのたまらないチャーシューがスープに香りを移し、これも素晴らしい! メンマも絶品出汁が染みて美味しいです。
現在では毎日5種類~6種類ほどの麺をメニューに合わせて作っており、限定メニューなどにも積極的に取り組まれています。
ご主人である小倉さんに、レゲエとの関係について少しお話を伺いました。
レゲエと出会うキッカケとなったのは中学生時代、たまたま友人宅で聞いたBuju Bantonの曲だそうで、最初は意味などわからなかったなかで和訳の歌詞カードを見て歌っている内容に衝撃を受け、その後ボブ・マーリーやTOKなどその時代のブームの曲や深掘りしていったそう。そして、大学で関西へ行き、偶然の出会いからセレクターと呼ばれるイベントなどで曲をかけるDJを経験し、本質がわからないとダメだと思い本場ジャマイカへも渡られています。
その当時の行動力は今も変わらず、思い立って北海道へ出向いたり、行きたい、食べたいラーメン店があるとすぐに行動へ移し、今のラーメンに結びついています。
レゲエのサウンドとラーメン店には似ている点が数多くあり、ラーメンもレゲエも作り手の考え方は自由で、表現の仕方や組合せも自由。意外性のあるチョイスや次への繋げ方など、両方を通じて今のラーメン作りへ繋がっていると語ってくれました。
「レゲエの魅力は、強いメッセージ性のある歌詞と、生きるための歌、恋愛や社会に対する不満などをピュアなワードで表現されていて、もっとも人間らしい音楽だというところ」とのことで、店内ではご主人が好きなレゲエミュージックが随時流れているので、耳を傾けていただきたいです。
ラーメン作りを心から楽しみ、レゲエミュージックの魅力を伝える岡山県の名店へ、一度足を運んでみてください。