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里見香奈女流五冠、ここから大逆転合格なるか? 10月13日、棋士編入試験第3局で狩山幹生四段と対戦

松本博文将棋ライター

 10月13日。大阪・関西将棋会館において棋士編入試験五番勝負第3局▲狩山幹生四段(20歳)-△里見香奈女流五冠(30歳)戦がおこなわれます。

 里見女流五冠はここまで徳田拳士四段、岡部怜央四段に敗れて2連敗。もし3敗目を喫すると、今回のチャレンジは終了となります。

 狩山幹生(かりやま・みきお)四段は2001年11月12日生まれ。昨年2021年10月付で四段となりました。現在はまだ20歳で、現役では5番目に若い棋士です。

 狩山四段は岡山県倉敷市出身です。

 狩山四段にとって大山康晴15世名人は同郷の先人にあたります。

 狩山四段の師匠は井上慶太九段。稲葉陽八段、菅井竜也八段、船江恒平六段、出口若武六段、横山友紀四段、藤本渚四段は同門です。

 兄弟子の菅井八段は、編入試験第2局で解説を務めていました。その際に、狩山四段について次のように語っています。

菅井「いまの若い棋士に比べると、序盤は若干へたくそに見えます。ただその分、中終盤でどうにかしようっていう将棋なんで、自分はもう、すごい好きな将棋ですね」「すぐに同じ棋士でも気がつかないような受けが第一感で指せるんですよ」「受けさすとめちゃくちゃ上手いです。なんか王様一枚で受けていくような」

 狩山四段は棋士になってから1年と少し。通算成績は17勝12敗(勝率0.586)です。

 里見女流五冠と狩山四段は昨年12月、竜王戦6組1回戦で対戦。里見女流五冠が中飛車で攻め、狩山四段は受け続けてしのぎます。二転三転の大熱戦の末に、最後は193手で狩山四段が勝ちました。

 ここまで数々の強敵を破ってきた里見女流五冠。編入試験の星取りは追い込まれていますが、もちろん合格の可能性がなくなったわけではありません。ここから巻き返すことはできるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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