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【FIBAWCレポート】ブチェビッチが牽引したモンテネグロがグループリーグ突破に大きく前進

青木崇Basketball Writer
27点、10リバウンドで勝利の原動力となったブチェビッチ (C)FIBA

 モール・オブ・アジア・アリーナでの開幕戦は、モンテネグロのNBA選手であるニコラ・ブチェビッチ(シカゴ・ブルズ)が、インサイドで強烈な存在感を見せつけ、メキシコを破る原動力になった。

 モンテネグロにとって最初のオフェンス、ブチェビッチはインサイドでポストアップしてボールをもらうと、フットワークを駆使してゴールへアタック。メキシコのセンター、ジョシュア・イバーラからファウルを奪うと、フリースローを着実に2本成功させる。ブチェビッチは次のオフェンスでもインサイドでボールをもらうと、イバーラとの1対1からレイアップを決めた。

「いい準備をして試合をスタートさせることが重要だった。これまで試合のスタートに問題があり、いい準備ができていたとは言えなかった。チームの流れを作るきっかけになるよう努力してきたし、今日はインサイドでいいポジションを確保できた。チームメイトがいい形で私にボールを供給してくれたから、アグレッシブに攻め続けようと心掛けた」

 試合序盤についてこう語ったブチェビッチは、ティップオフからわずか3分6秒間で8点をマーク。メキシコからしてみれば、イバーラが試合序盤で2ファウルでベンチに下がってしまったことで、インサイドの攻防で明らかに不利になった。モンテネグロの帰化選手であるポイントガードのケンドリック・ペリーが、「どの試合も重要となるワールドカップで、いいスタートを切れることはすごく大事だ」と振り返ったように、ブチェビッチのプレーがモンテネグロのチーム全体に大きな自信をもたらしたのは間違いない。

 メキシコはブチェビッチへのプレッシャーを強めようと試みたが、ディフェンスのローテーションが間に合わなくなってシューターがオープンのショットを打たれるシーンが増え、前後半で7本ずつ、トータル14本の3Pを決められてしまう。試合のテンポを上げることで、メキシコは4Q序盤で3Qでの19点差を7点差まで詰め寄る粘りを見せたが、そんな流れに歯止めをかけたのがブチェビッチだった。

 ドライブから左手のレイアップを決めて9点差にすると、その後はゲームメイクに徹していたペリーがキックアウトのアシスト、ドライブからのレイアップ、3Pショットを決めるなど、4Qだけで9点を奪う。最後の2分で11-0のチャージで引き離したモンテネグロは91対71のスコアでメキシコを撃破。30分34秒間で27点(FG15本中11本成功、3Pは3本すべて成功)、10リバウンドのダブルダブルと期待に応える活躍を見せたブチェビッチは、試合を次のように振り返った。

「メキシコは非常に速くてハイテンポなプレーをするが、我々はしっかり反応していた。ここ数日間、チームとしてミーティングや練習で話し合ったことのすべてが、本当にうまく遂行できたと思う。コーチングスタッフがスカウティングに関して素晴らしい仕事をしてくれたから、我々は彼らによってメキシコがやろうとすることをわかることができた。今日の我々は彼らが得意とする部分のいくつかを使えないようにするなど、いい仕事をしたと思う。とてもいい勝利だった」

 4年前に初めてワールドカップの舞台を踏んだモンテネグロは、グループ戦の3試合で全敗、唯一の勝利が順位決定リーグの日本戦(80対65)だった。次のエジプト戦に勝てば、2次ラウンド進出がほぼ確実。「(この勝利は)自信につながった」と話したブチェビッチは、モンテネグロの新たな歴史を作るつもりだ。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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