なぜメッシは移籍に傾いているのか?バルセロナ、パリSG、アル・ヒラル…破格オファーとスター選手の去就
複数の選択肢が、残されている。
リオネル・メッシの去就に、注目が集まっている。現在、パリ・サンジェルマンでプレーしているメッシだが、契約延長にサインを済ませてはいない。
■パリSGとの契約延長の可能性
メッシは2021年夏にバルセロナを退団。フリートランスファーで、パリSGに加入した。
メッシはパリSGでネイマール、キリアン・エムバペと一緒にプレーしてきた。「MNM」と呼ばれる3トップは破壊力抜群で、フランスと欧州で恐れられる存在になった。
適応の日々を終え、メッシは昨年12月にアルゼンチン代表の一員としてカタール・ワールドカップに臨んだ。激闘に次ぐ激闘を超え、アルゼンチンは優勝を達成。ついに、母国にジュール・リメ杯を持ち帰った。
充実のシーズンを送っていたメッシだが、パリに戻り、苦しい思いをする。チャンピオンズリーグで、決勝トーナメント一回戦でバイエルン・ミュンヘンに敗れて、ベスト16敗退が決定。そのあたりから、メッシとパリSGの契約延長の雲行きが怪しくなったと言われている。
■バルセロナへの復帰は
そのような状況で、動いたのがバルセロナだ。
メッシは12歳でバルセロナのカンテラに入団。ラ・マシア(バルセロナの育成寮)出身選手で、2003年11月に16歳145日という若さでトップデビューを飾っている。
バルセロナでは、アンドレス・イニエスタ、シャビ・エルナンデスらと共に黄金時代を築いた。ジョゼップ・グアルディオラ監督との出会いがあり、ファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)という新しいポジションと戦術で得点能力を開花させた。
先日、バルセロナの第一副会長であるラファ・ジュステはメッシ側との接触を認めていた。バルセロナには、依然としてサラリーキャップの問題がある。年俸4100万ユーロ(約57億円)を受け取っているとされるメッシを、引き入れるのは簡単ではない。しかし、メッシの「ラストダンス」を望む声は絶えない。
■メッシに対する破格のオファー
ただ、メッシのシチュエーションを注視しているのはバルセロナだけではない。サウジアラビアからのビッグオファーが、メッシを誘惑している。
アル・ヒラルは、メッシを獲得するために4億ユーロ(約560億円)を準備しているという。実質的に、サウジアラビア政府がバックについているクラブだ。お金に糸目をつけず、世界最高の選手を手中に収めようとしている。
また、メッシには以前よりメジャーリーグ・サッカー(MLS)からの関心が伝えられている。インテル・マイアミをはじめ、メッシをアメリカでプレーさせるべく、動いているクラブが存在する。
現状、メッシはパリSGの契約延長オファーに対して、首を縦に振っていない。これについては、パリでも意見が分かれている。サポーターの中には、ブーイングで抗議する者もいる。
「パリ・サンジェルマンのホームスタジアムで、メッシに対するブーイングを聞くのは、恥ずかしい。13ゴール13アシストをマークしている選手、世界最高峰の選手に、ブーイングを浴びせることなんてできない」
「メッシはバルセロナに戻るべきだ。フットボールへの愛、彼の退団の仕方を考えるとね。これは情報ではなく、僕の願いだ。だけど、退団した時のメッシの涙を見て、そう思った」
これはバルセロナでメッシのチームメートだったティエリ・アンリの言葉だ。
メッシへのサウジアラビアからの破格のオファーは、世間を賑わせている。
パリSG(カタール)、アル・ヒラル(サウジアラビア)と実質的な国家クラブが、国をあげてメッシを狙う。また、「心のクラブ」であるバルセロナが、メッシの復帰を画策している。「第三の道」というのも否定はできない。いずれにせよ、最後の言葉を持っているのは、メッシのみだ。