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「頂上の気持ちは…」。日本代表・立川理道、カナダ代表戦のゲームキャプテンに。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サンウルブズのゲームキャプテンも務めた立川(右)。身体を張る。(写真:ロイター/アフロ)

4年に1度あるワールドカップの自国大会を2019年に控える日本代表は、6月11日に敵地バンクーバーでカナダ代表と、18、25日にはそれぞれ愛知・豊田スタジアム、東京・味の素スタジアムでスコットランド代表とテストマッチ(国際間の真剣勝負)をおこなう。

日本代表にとって、スコットランド代表は昨秋のワールドカップイングランド大会で唯一敗れた相手。9月23日にグロスター・キングスホルムスタジアムでおこなわれた一戦は、45-10というスコアで終わった。敗れた日本代表は、4日前に過去優勝2回の南アフリカ代表と戦っていた。

今回はサンウルブズのスタッフがジャパンをサポート。なかでもマーク・ハメットヘッドコーチが、代表チームのヘッドコーチ代行を担う。キャプテンを務める堀江翔太は、5日からのバンクーバーツアーに参加しない。カナダ代表戦で船頭役を務めるのは、副キャプテンの立川理道だ。

これまで43キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得してきた立川は、イングランド大会までの代表招集時は五郎丸歩副キャプテン、廣瀬俊朗前キャプテンとともに行動。リーダー陣のミーティングにも顔を出すことがあった。

今季は、国際リーグのスーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズにも在籍。2試合、ゲームキャプテンを務めた。

以下、4日に都内で共同取材に応じた立川の一問一答の一部(編集箇所あり。※は当方質問)。

――スコットランド代表の印象は。

「全体的に組織だったアタック、ディフェンスをしていました。フォワードもセットプレーが強いですし、グレイグ・レイドロー(スクラムハーフでキャプテン)はゲームコントロールが上手い。相手のペースになるとしんどいのはわかっている。相手の特徴を出させないのが大事だと思います」

――「組織だった」。具体的に。

「ワールドカップの時には、ハイパントとそのチェイス(弾道を追う動き)の仕方が組織だっていると感じました。自分たちのやることを徹底していた。セットプレーでのプレッシャーのかけ方は、アイランダー(トンガやサモアなどの環太平洋諸国のチーム)とは違った統一感がありました」

――攻略はできますか。

「セットプレーは、正直、厳しい戦いになるかもしれない。ボールが出た時に自分たちの形に持っていけるようにしたいです。アンストラクチャー(セットプレー以外の起点からのプレー)でいいランナーを走らせて…と」

――スーパーラグビーでの経験を通して得たものは。

「自分自身、フィジカルの部分で通用したところと、もっと向上させなければいけないところが見えました」

――先手、先手でぶつかる分には問題なく戦えているような(※)。

「向こう(スコットランド代表)はスローテンポな試合にしたいと思っているかもしれないですが、こっちはそうさせないようにしたい。さっきも言ったように、相手のセットプレーは強力。それをどうかわしていくか(回数を減らすか)についても、スタッフと話し合いながら決めていきたいです」

――ワールドカップでの対戦時は、4日前に南アフリカ代表と戦っていました。

「きつかったですけど、僕自身は、試合中の点差が離れた時に(疲れが)どっと来た。試合の序盤は身体も動いていました。やっぱり、ワールドカップなどのテストマッチは点差が開くと気持ち的にしんどくなる。そういうところは、気を付けていきたいです」

――ハメットさんは立川選手に、「日本代表の意識、伝統のすべてを教えて欲しい」と言っているようですが。

「ワールドカップを経験している選手がたくさんいるなかで、スタッフには(テストマッチが)初めての人が多い。選手側がリードしながらコミュニケーションを取って欲しいと言われてはいます。君が代をちゃんと歌ってもらうとか、そういう代表のプライドに関することは話していこうかと思いますけど…。何か決まり事みたいなものはないです」

――遡って、カナダ代表戦時はツアーキャプテンを務めます(※)。

「チームがひとつになるために、コミュニケーションを取らないといけない。練習、普段の生活のなかでも、1人ひとりの個性をわかっていく。そうでないと、試合でいいプレーはできないと思います。そういうことの大事さについては、他のリーダー陣に話していきたいです」

――短い間ですが、日本代表のてっぺんに立ちます(※)。

「キャプテンだから頂上にいるという感覚は、いまの僕にはなくて。他のリーダー格の人に助けてもらいながら、失敗を恐れずに色んなことにチャレンジしたいです」

――戦術略はサンウルブズのものがベースになるようですが、サンウルブズ以外の場所から来た選手にどう落とし込みますか。

「きょう(4日)にもミーティングがありますし、明日(5日)も移動する前に練習をします。その間で、落とし込みたい。スタッフからだけではなく、サンウルブズの選手の側から細かいシェイプ(陣形)や動きについて話していきたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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