オスプレイがエンジン始動時に白煙を出すのは通常運用
V-22オスプレイは垂直離着陸が可能なティルトローター機です。ローター(回転翼)をティルト(傾ける)することで、ヘリコプターのように垂直離着陸しながら水平飛行では固定翼機のように高速で飛べるのが特徴です。
ティルトローター機はその中でも2種類の方法があり、エンジンごと傾ける方式と、エンジン固定でローターだけ傾ける方式があります。
- V-22オスプレイ・・・エンジンごと傾ける。実用化済み。
- AW609・・・エンジンごと傾ける。民間向け実用化間近。
- V-280バロー・・・ローターだけ傾ける。競争試作参加中。
試験機を含めて実機が現在飛行しているティルトローター機の中では以上のような分類になります。どれもベル・ヘリコプター社の技術が関与しています。AW609(旧・BA609)はベルとアグスタウェストランドの共同開発から後にアグスタウェストランド(現・レオナルド)単独になりました。
エンジンごと傾ける方が構造的には簡単なのですが、垂直離着陸モード時に排気の方向が下を向いてしまい地面の芝生などを焦がしてしまう場合があるのと、傾けた後に潤滑油が垂れて来て高温化した排気管に触れて白煙を生じる場合があります。白煙は生じても特に問題はありません。
Osprey Smoke | Air Force Special Operations Command
どのくらい問題が無いかというと、アメリカ軍自身がオスプレイが白煙を吹く様子を堂々と単なるエンジン始動だと公開しているくらいです。これが通常運用なので当事者は隠す必要を何も感じていません。
ティルトローター機ではない普通の飛行機でもエンジン始動時に白煙を吹くのは珍しくないことですし、オスプレイでは構造的に白煙の量が多くなる場合がありますが、白煙それ自体は故障したわけではありません。
異常な量の白煙を出すとか、何時までも白煙を出しっ放しだとか、通常ではない状態でない限りは騒ぐ必要は何もないでしょう。
参考例:F-22戦闘機のエンジンスタート時
※F-22の場合はジェット燃料スターター(JFS)を使用したもの。主エンジン始動用の補助動力装置(APU)で、F-22用の名称は補助動力発生システム(APGS)。450馬力の小型ガスタービンエンジンと空気を圧縮する蓄積エネルギーシステム(SES)で構成。