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鳴尾浜で紅白戦、また横山投手らがフリー打撃に登板《3/10 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
三塁線を破る長打を放った一二三選手!次打席での頭部死球も問題ありませんでした。

きょう11日の阪神タイガースは、1軍オープン戦もファーム教育リーグも試合が組まれていません。1軍は練習で、ファームはお休み…ではなく自主練習日でした。そのためファームは、あす12日から9連勤ということになりますね。12日と13日は鳴尾浜でソフトバンク戦があり、これで教育リーグは終了。来週15日にウエスタン・リーグが開幕し、中日とオリックス相手に6連戦が鳴尾浜で行われます。

きのう10日の鳴尾浜では、前日の教育リーグ・オリックス戦が雨天中止となったこともあり、シートバッティングの段取りが紅白戦に変更されました。よって、このシートバッティングで登板予定だった山本投手と岩本投手は午前のフリーバッティングで投げています。また岩貞投手と横山投手も、故障後初のフリーバッティング登板となりました。

準備OK! 山本、岩本、岩貞、横山

ことし初めて打者に向かって投げた横山投手。昨年は安芸キャンプの最後にフリーバッティングで投げ、3月8日がゲーム初登板だったと言うと「お、ちょっと遅れていますねえ」と言っていましたが、昨年11月24日に『第5中足骨骨折』の手術をしてから、しっかりとリハビリを重ねてきての復帰です。きのうはブルペンで35球、そのあとフリーバッティングで一二三選手、森越選手、陽川選手に対し74球を投げています。

「久しぶりでした。バッター相手は。かなり久々です」。そうですね、昨年10月10日のフェニックス・リーグ(レギュラー陣ずらりのヤクルト戦!)以来かと。「軽く投げた最初はいい球がいっていたんですが、だんだんシュート回転したり、というのもありました。そうは言っても投げられたことは収穫で、課題も明確になった。しっかり調整していきたい」とのことでした。

一歩ずつと着実に進んできた横山投手。写真は安芸キャンプのブルペンです。
一歩ずつと着実に進んできた横山投手。写真は安芸キャンプのブルペンです。

久保投手コーチは「ホップ、ステップと順調に回復してきています。あとはゲームでしょうね。バッターに投げたら肩とかも張るので、その状態をみてになるけどね。ブルペンではいい感じで投げていましたよ」と話しています。また「岩貞が一番、荒れ気味だったかな。山本、岩本はフリーといってもシートバッティングのようなものだし。きょうの4人が進むとしたら、もうゲームしかないでしょう」と準備万端という感じです。

岩貞投手は「順調というか、調子はいいですね。ブルペンでもうバリバリ投げていたんで」と言います。この日はブルペンで25球、フリーバッティングで50球を投げました。「もともと違和感はなく、筋疲労。投げて疲れが溜まりやすくなっていただけなので。状態もよかったから、あとは全力でアピールします!」とのこと。次はもうゲームでの登板になるかもしれませんね。

また山本投手も「本当はきょうシートバッティングで投げる予定だったので。もうまったく問題なく投げられます!」と笑顔。すぐにゲームでもいけそうな?「はい!」と大きくうなずきました。みんな一気に戻ってきますよ。今月前半、1軍オープン戦との兼ね合いもありピッチャーが足りないと言っていたのが嘘のようです。投手陣のサバイバルも目が離せなくなってきました。

鳴尾浜では今季初の紅白戦

さて紅白戦ですが、足りないんじゃないかと思っていた人数はギリギリ8人ずつでいけましたね。もちろんキャッチャーがファーストを守るのはお馴染みで、この日は鶴岡選手の珍プレーも!それと一二三選手が左側頭部にデッドボールを受けて退場したので心配された方が多かったでしょう。でも試合中に病院へ行き、検査を受けた結果は「まったく問題ありません」と山下トレーナー。よかったですね。投げていた石崎投手も安心したと思います。

陽川選手がことし初の鳴尾浜で、坂選手や森越選手もきのうは鳴尾浜でした。練習後に荷物を持って帰った鶴岡選手俊介選手が1軍合流のようです。1軍のオープン戦は12日と13日が甲子園で、そのあと千葉、神宮、ナゴヤと遠征して残りは京セラドームで3試合。まだ確定していませんが、そろそろ“見極め”の時期に来たようですね。

《紅白戦》3月10日 (鳴尾浜)

紅組 000 00 = 0

白組 000 03 = 3 ※5回まで

◆バッテリー

【紅組】守屋-桑原-トラヴィス / 鶴岡‐原口(3回~)

【白組】田面-石崎 / 清水-小豆畑(4回~)

◆三塁打 紅組:一二三

◆打撃(打-安-点/振-球/盗塁/失策)

【先攻・紅組】打者8人

1]中:江越   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

2]右:俊介   (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

3]二:坂    (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

4]一捕:原口  (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

5]三:西田   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 1)

6]捕一:鶴岡  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 1)

〃臨時代走:西田<4回表>

7]左:一二三  (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

〃臨時代走:鶴岡<4回表>

〃臨時守備:平野コーチ<4回表>

8]遊:植田   (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

【後攻・白組】打者8人 

1]二中:荒木  (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]右左二:板山 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]中右左:柴田 (3-1-1 / 0-0 / 1 / 0)

4]三:陽川   (3-1-0 / 1-0 / 1 / 0)

5]左中右:中谷 (3-0-0 / 0-0 / 1 / 0)

6]遊:森越   (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

7]捕一:清水  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]一捕:小豆畑 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)

【紅組】

守屋 2回 22球 (2-0-0 / 0-0)

桑原 2回 36球 (1-0-1 / 0-0)

トラ 1回 34球 (3-1-0 / 3-2)

【白組】

田面 3回 46球 (1-2-2 / 0-0)

石崎 2回 29球 (2-1-1 / 0-0)

試合経過 先攻・紅組

まず紅組の攻撃です。白組の先発・田面に対し、1回は三者凡退で終了しました、2回は先頭の原口が四球を選ぶも、西田の二ゴロ併殺打など3人で片づけられます。3回は先頭の一二三が真っすぐを打って三塁線を破る初ヒット!これを、この回からレフトに回った板山が捕球できず、一二三は三塁へ。記録は二塁打&エラーかと思ったのですが、どうやら板山はボールに触れていないとのことで「三塁打」にしました。無死三塁のチャンスを作りながら植田と江越が連続三振、俊介は四球を選んだものの坂が遊直で得点なし。

4回の紅組攻撃中、一二三選手の頭に向かってくるボール…
4回の紅組攻撃中、一二三選手の頭に向かってくるボール…
トレーナーとコーチが、立ち上がろうとするのを制しています。
トレーナーとコーチが、立ち上がろうとするのを制しています。

ついで登板した石崎(キャッチャーは小豆畑)から、4回は先頭の原口が145キロの真っすぐを打って左前打を放ちますが、またまた西田の併殺打(この回からファーストの清水が好捕して二塁へ、そして一塁への転送をカバーに入った石崎が捕球。3-6-1)で2死でランナーがなくなりました。しかし鶴岡が右前打し、続く一二三は2ストライクからの4球目を頭に受けます。132キロの変化球が抜けたのでしょうか。

避けながらしゃがんだ、そのヘルメットの左耳あたりに見えたのですが、ガン!という音とともに座り込む一二三。コーチ、トレーナーが駆け寄りました。スタンドから見た限りでは、言葉も交わしていたようだし倒れてはいなかったので、念のため急に立ち上がるのを制していたと思われます。やがてベンチへ下がり、しばらくしてから病院へ向かったもよう。最初にも書きましたが、検査を受けた結果はまったく問題なしとのことです。

ここで一二三の代走に西田が送られ…と思ったら、二塁に進んだ鶴岡が一塁へ戻り、その鶴岡の代わりに西田が二塁へ行きました。2死一、二塁でゲーム再開となったのですが、植田は空振り三振で無得点。5回は石崎に三者凡退に切って取られて攻撃を終えています。

試合経過 後攻・白組

変わって白組の攻撃。紅組の先発は守屋で、1回は先頭の荒木が左前打、板山が中前打と連打で無死一、二塁と攻めながら柴田は遊ゴロ併殺打、陽川は二ゴロでチャンスを生かせません。2回はすべて内野ゴロで三者凡退。ついで桑原が投げ(キャッチャーは原口)、3回は三者凡退。4回は1死後、陽川の打席で高く上がった一塁へのファウルフライを、この回からファーストに回った鶴岡が落球。そのあと右前打されました。

自分が捕ると声を出していたのに行き過ぎたみたいで…平謝りしつつも笑いを抑えきれない鶴岡。グラウンドもベンチもスタンドも大爆笑です。ベンチへ戻って来る時も何やら言い訳?をしていて再び笑いが起きたのは言うまでもありません。あ、話を戻しましょう。右前打した陽川は2死後に盗塁を決め、森越は四球で2死一、二塁としますが清水は遊ゴロで無得点。なお死球で退場した一二三に代わって、この回から平野守備走塁コーチがレフトを守っています。

5回に登板したトラヴィスから先頭の小豆畑が右前打、荒木は中前打で無死一、二塁。板山の一ゴロで1死二、三塁として、続く柴田への2球目が暴投となり小豆畑が生還。荒木も三塁へ進み、柴田は中前タイムリー!2点目が入りました。さらに柴田の盗塁で1死二塁。陽川は空振り三振で2死となったあと、中谷の三ゴロを西田がトンネル…。二塁から柴田が還って3点目です。中谷が盗塁を決め2死二塁とするも、最後は森越の右飛で終了。

アメリカンノックの中谷、江越

レフトの芝生に仲良く置かれた帽子2つ。持ち主は―
レフトの芝生に仲良く置かれた帽子2つ。持ち主は―
アメリカンノック中の中谷選手(左)と江越選手でした。かなりキツそう…
アメリカンノック中の中谷選手(左)と江越選手でした。かなりキツそう…

試合後の練習では、中谷選手と江越選手が外野へ移動して『アメリカンノック』を行いました。ずっと見ていたわけではないけど、1人ずつではなく2人同時に走っていたような。そういうシステムだったんでしょうか。息も絶え絶えという状況の中、平野守備走塁コーチのノック打球が外野へ届かなかったり、はたまた楽々と外野ネットに当たってしまったりで、ツッコミながら笑う同級生コンビ。それが癒しですね。

終わったあとで江越選手に話を聞きました。「足はプルプル?」と尋ねたら「いえ全然」と涼しい顔。ではバッティングの話です。5回にセンターフライを打った時、掛布監督から声をかけられていたのは「タイミングはよくなかったんですが、形的にはいいと言われた」のだそうです。

ファームに来てからの取り組みとして「素振りで意識してやることが一番。ピッチャーをイメージしながら。あとは打席に入る前の準備というか、しっかりタイミングを合わせて入ること。これは金本監督からも言われているので、意識していきたい」と言います。もちろん開幕1軍を目指して?「そこがすべてじゃないですけど、自分のやるべきことをしっかりやって、あとは自分がアピールするだけなので集中してやります!」

江越選手は、最後の京セラで“見極め”の機会を得るため、ここで結果を!
江越選手は、最後の京セラで“見極め”の機会を得るため、ここで結果を!

掛布監督は「江越はすごくよくなってきた。形がしっかりしてきてる「と話していました」。チャンスボールを仕留められなかったのも「そこは捉えられなかったが、いま足の位置とかいろいろやっているから」とのこと。そして「オープン戦最後の京セラドームでもう一回見てもらえるように。ウエスタンの開幕はこっちにいるだろうから、結果が出ないと推薦できないのでね」と“使命”を与えています。

また、この日からファームに来た陽川選手に「そんなに悪くない。トップの位置が少し動くかな。そこが止まればもっと良くなるんじゃない?」と掛布監督。本人も「また頑張ります!」と奮起を誓いました。あの豪快なホームランを、ことしはきっと1軍で見せてくれるでしょう。

原口は志願の送球練習

山田コーチが投げ、受ける原口選手。打席には藤本コーチです。
山田コーチが投げ、受ける原口選手。打席には藤本コーチです。

同級生コンビのアメリカンノックに気を取られていた頃から、ブルペンではずっとミットの音が響いていました。ピッチャーが投げているのかなと思ったら、その位置に立っていたのは山田バッテリーコーチ。反対側に目をやると原口選手が受けています。キャッチング練習というよりは、捕ってから投げるスローイングの方ですね。そういえば紅白戦で4回に陽川選手、5回に柴田選手と中谷選手に盗塁を決められました。すべて送球をしてセーフになったもの。

捕って二塁へ送球する練習は延々と続きました。
捕って二塁へ送球する練習は延々と続きました。

やがてブルペンから外に出て、三塁側ベンチの前へ。今度はバッター役として藤本守備走塁コーチに立ってもらい、二塁位置への送球を繰り返します。結構な時間を費やしていましたね。戻ってきた原口選手に確認すると、自ら志願しての“特守”だったそうです。鶴岡選手が昇格するため、このあとはファームでの試合出場になるでしょうけど、アピールはまだまだ終わりません。

その鶴岡選手は練習を終え引き揚げて来る時、ベンチに置いてあった荷物を全部抱えながら「いよいよ1軍ですか?」との問いに「ううん、持ってきただけ」と笑います。しばらくして今度はロッカールームにあった荷物を次から次へと玄関に運び、それでも「たまには荷物の整理をせんとアカンから持って帰るだけ」とニヤニヤ。どう考えても鳴尾浜を去るとしか思えませんけど。

これは別の日の写真ですが、鶴岡選手は“居場所”へ戻っていきます。ちょっと寂しい…
これは別の日の写真ですが、鶴岡選手は“居場所”へ戻っていきます。ちょっと寂しい…

「これはキャンプの」とか「これは自主トレの時の」とか、どんどん出てくる荷物。スーツケース2つにスポーツバッグ複数、段ボール箱も。これって、その都度で片づければ…と言いかけたら「その通り!」と大笑い。それにしてもすごい量!まさにお引越しですね。すると通りかかった藤本コーチに「お、トレードか。頑張れよ」と言われていました(笑)。これを車に積むのがまた一苦労で、トランクや後部座席に出したり入れたり。

満を持しての合流、そして1軍に必要な存在ですが、安芸キャンプからずっと見ていた鶴岡選手だけに寂しさはあります。投手や野手に限らず、若い選手にアドバイスも送ってくれていたし。でも最後に紅白戦で盛り上げてくれましたね。いや本人は盛り上げるつもりじゃなかったかもしれません。とはいえファーストを守っている間中、何だか楽しそうに見えたベテランキャッチャー。感想は「緊張したあ~!」で、やっぱり白い歯が全開でした。

悪いと気づいた時の修正を

投手陣はトラヴィス投手と、守屋投手のひとことしかコメントがなくて、すみません。まず2イニングを投げて2安打無失点だった守屋投手は、先頭から連打された1回を「うまく打たれましたねえ」と、まあ“味方”なので苦笑いといった感じです。そのあとの併殺、そして2回は低めに集めて内野ゴロ3つと狙い通り。次の登板が楽しみな様子に見えました。

トラヴィス投手は、真っすぐとフォークのみだった2日前の近畿大学戦と違って、紅白戦では変化球中心のピッチング。「いろんな球種を試せたのはよかった」と振り返ります。ただ、この日は四球がなかったものの3安打と暴投で3点を失いました。「きょうは体重がうまく乗せられなくて…。胸の張りが、前はできていたのに今回はできなかった。それで球に力が伝わらなかったと思います」

紅白戦ゆえに試したこともあり、さらに課題も。とトラヴィス投手。
紅白戦ゆえに試したこともあり、さらに課題も。とトラヴィス投手。

次は試合中に修正できるといいですね。こんな日もあるでしょうし。「はい。でも僕の場合は毎回アピールしていかないといけないので」。そうですね、こんな日もあるなんて言っちゃダメでした。ことしも故障なく開幕を迎えられることが何よりで、どうか1試合でも1回でも1球でも多く投げられるように祈っています。トラちゃん、ファイト!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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