Yahoo!ニュース

中日ファンとお父さんの前で大暴れ!森越選手《5/21 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
森越選手は古巣・中日との初対決。3連戦で3安打5打点と“恩返し”しました。

きのう21日、ルーキー・横山雄哉投手がついに1軍デビューを果たしました!場所は阪神甲子園球場、相手は巨人とお披露目には申し分のない舞台。そこで、さすがドラフト1位という輝きを放ってくれましたね。打線の援護がもう少し早かったら…と悔やまれる展開だったけれど、チームが追いついた時や勝ち越した時、そして勝利が決まった瞬間のあの笑顔!なんだかウイニングボールを手にお立ち台へ上がってもいいくらいだったでしょう?

ナイターの方がボールは速く感じる、という話を聞いたことがあります。昨夜の横山投手の真っすぐは、鳴尾浜で見るそれよりも一層速く、腕の振りは強くてしなやかで、打ち取った時の雄叫びが誇らしかったこと!プロ初登板初先発だった巨人戦での初勝利は叶わなかったけれど、私たちにとって忘れられない試合になりました。次の登板も楽しみです。その先も、ずっとずっと先も横山投手から目が離せませんね。

ナゴヤ最終日は打ち合い

さて、その数時間前のナゴヤ球場ではウエスタンの中日-阪神戦が行われ、横山投手と同じく昨秋の『21Uワールドカップ』代表メンバーだった中日の野村亮介投手が先発しました。そのドラフト1位ルーキーの立ち上がりを阪神打線が捉え、森越選手が古巣のナゴヤ球場で今季1号ソロ、緒方選手も今季1号を放つなど4回までに6点。終盤にも長打4本で追加点を挙げ、12安打9得点です。

《ウエスタン公式戦》5月21日

中日-阪神 11戦 (ナゴヤ)

阪神 311 100 102 = 9

中日 000 103 000 = 4 

◆バッテリー

【阪神】鶴-○藤原(1勝)-歳内-筒井-加藤-二神 / 小宮山

【中日】●野村(1勝1敗)(4回)-濱田達(1回)-浜田智(4回) / 桂-加藤(6回~)

◆本塁打 森越1号ソロ(野村)、緒方1号ソロ(野村)

◆三塁打 野本、森越

◆二塁打 堂上、柴田、北條、松井佑、三ツ俣、小宮山2、中谷

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:柴田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .351

〃打指:原口 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .205

2]左:緒方  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .205

〃打一:黒瀬 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .200

3]三遊:北條 (3-1-1 / 0-2 / 0 / 0) .241

4]中:江越  (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .282

5]一左:中谷 (4-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .312

6]二:森越  (3-2-3 / 0-2 / 0 / 0) .273

7]右:横田  (4-2-3 / 1-1 / 0 / 0) .181

8]捕:小宮山 (5-2-1 / 2-0 / 0 / 0) .263

9]遊:植田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .191

〃三:西田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .218

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

鶴   3回 43球 (4-1-2 / 0-0 / 3.65) 140

藤原  2回 30球 (3-1-0 / 1-1 / 2.77) 137

歳内 0.3回 19球 (3-0-2 / 3-3 /17.28)140

筒井  2回 27球 (0-1-1 / 0-0 / 3.86) 143

加藤  1回 16球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 139

二神  1回 15球 (1-1-0 / 0-0 / 1.55) 141

経過1 出るわ出るわの長打

阪神打線は1回2死から北條が四球、江越は中前打、中谷も四球で満塁となり、森越が押し出しの四球でまず1点先制。続く横田が右前タイムリーで2人を還し、この回3点が入ります。2回には1死から柴田が右翼線二塁打を放ち、2死後に北條が左翼フェンス直撃の」タイムリー二塁打。3回は1死から森越がレフトへソロホームラン!4回は2死から緒方がレフトへソロホームラン!4回で降板した先発の野村から6安打で6点を奪いました。

ついで中日は濱田達が復帰登板。中谷のファースト内野安打、森越の四球、横田の左前打で1死満塁と攻めるも、小宮山と植田は連続三振を喫して無得点。6回からは浜田智に代わり、2死を取られたあと北條が四球を選んだだけで得点なし。7回も簡単に2死となりましたが、四球を選んだ横田を次の小宮山が左翼線二塁打で還して1点追加!8回は唯一の三者凡退です。

そして9回、1死から中谷が中越え二塁打を放ち、森越の中越え三塁打で生還!その森越は横田の二ゴロで還って、ここも2点が入りました。続く小宮山は2打席連続の二塁打を今度は右翼線に放ちますが、途中出場の西田は空振り三振で攻撃を終えています。

経過2 四死球絡みの失点

投手陣は、まず先発の鶴が1回に2番・堂上の左中間二塁打を浴びるなど2死二塁の場面で、4番・和田の中前打でホームを狙った堂上をセンター江越が補殺!1週間前の14日、ソフトバンク戦(鳴尾浜)で見せたレーザービームがまた出たようですね。これに救われた鶴は2回を7球で三者凡退。3回は三ツ俣の左前打、桂への死球、森野の中前打(桂は二塁タッチアウト)で1死一、三塁、2死後に友永を歩かせて満塁としますが和田を遊ゴロに打ち取って無失点でした。

ついで藤原が登板。4回は松井佑の左越え二塁打などで2死三塁となり、三ツ俣の左翼線タイムリー二塁打で1点を失います。5回は1死から堂上をセカンド森越の送球エラーで出し、続く友永は二ゴロ併殺…と思ったら二塁封殺のあとショート植田が一塁へ悪送球。二塁へ進んだ友永は和田の中前打でホームへ。ここでまた江越がバックホーム!小宮山のナイスブロックもあって生還を阻止しました。江越、2つ目の補殺です。

6回の歳内は先頭の野本に左越え三塁打、松井佑の四球で無死一、三塁として井領の中前タイムリー。さらに三ツ俣への死球で無死満塁となって9番・加藤に中前タイムリーを許し、無死満塁で降板しました。代わった筒井は代打・赤坂を右飛、堂上から空振り三振を奪って2死としますが、友永には四球を与えて押し出し。ようやく9人目の打者・和田を三飛に仕留め、3点を返されて6回が終わりました。

7回は筒井が三者凡退に斬って取り、8回は加藤が前日に続いての登板。下位からの攻撃でしたがキッチリ三者凡退です。9回はいつものように二神で、堂上から空振り三振を奪ったあと友永に左前打。しかし最後は和田を三ゴロ併殺打で試合終了です。

藤原が4年ぶりの勝ち

結局、両チーム合わせて本塁打2本(阪神2)、三塁打2本(阪神1)、二塁打8本(阪神5)と長打だらけの試合。こちらの投手陣も11安打されています。かなりの強風だったそうですが、それだけではないでしょうね。しかし初戦の19日が12安打で8点、20日は4安打で1点、そして21日が12安打で9点…。出入りの激しい3連戦でした。

先発した鶴投手は味方が初回から得点してくれて、自身も無失点ながら3イニングで交代したため、勝ちは2番目に投げ2イニング1失点の藤原投手についています。藤原投手の白星は、2011年3月26日のオリックス戦(鳴尾浜)以来4年ぶり!メッセンジャー投手が先発して5イニングを投げ(この時点では0対0だったんでしょうね)、ついで江草投手が1イニング、藤原投手が1イニング、最後の1イニングを投げた若竹投手にセーブ。この時が初勝利だったので、今回が2勝目の藤原投手ですが、1軍では2010年7月20日の広島戦で1つ勝っています。

「しっかりスイングできた」

この試合も現地で取材はできていませんので、今季1号を放った2人のコメントを少しだけ紹介します。

名古屋球場で今季1号が出た緒方選手。写真は別の日の物です。
名古屋球場で今季1号が出た緒方選手。写真は別の日の物です。

緒方選手は「打ったのは真っすぐ。感触はよかったですね。入ったのは風のおかげだと思いますけど、しっかりスイングできました」と言っています。レフト方向へのホームランってありましたか?と聞くと「去年、鳴尾浜で川上憲伸投手から打っています」とすぐに返事が。そうそう、昨年8月30日の中日戦(鳴尾浜)。1対1の8回に勝ち越しの第3号ソロ!ところが9回に小嶋投手が古本選手にソロを打たれて2対2で引き分けた、ヒーローになり損ねた試合でしたね。

緒方選手のホームラン自体も、それ以来です。二塁打や三塁打は打っていますが「2本か3本、風のせいで入らなかったのもあるので、まだチャラではないですね(笑)」とのこと。決してホームランを狙っているわけではなく、それでも風に負けてフライになるのは悔しかったのか「入るようにウエートトレーニングしてきます!」なんて冗談めかして言っていましたっけ。

中日3連戦で5打点!

復帰して間もない森越選手ですが、22打数6安打7打点。この中日3連戦では初日が犠飛、次がタイムリー三塁打、きのうは押し出し四球と今季1号、さらにタイムリー三塁打の計5打点です。入団会見で「(戦力外となった)中日を後悔させたい」と言っていた森越選手。本当はナゴヤドームの1軍戦で大暴れしたかったところですが、まずはナゴヤ球場からですね。気合いの入り方も違っていたと思います。

今季1号は「風に助けられました!」と笑顔で、周りには「長打ばっかりやん」と冷やかされていたそうです。そうそう、気合いが入っていたといえば森越選手のお父さんも。「21日は仕事で来れん」とおっしゃっていたのに、きっと頑張って都合をつけられたんでしょう。3試合とも観戦されました。そのおかげで見られたホームランに大喜びだったとか。「振れている」と渋い感想も述べていらっしゃいます。親孝行しましたね。次は1軍で、もっともっと大きな“恩返し”を期待しています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事