今夏の青春18きっぷポスターに採用! 土讃線 西佐川駅(高知県高岡郡佐川町)
毎回、日本全国の駅が採用され、旅情を掻き立ててくれる青春18きっぷのポスター。令和5(2023)年夏季のポスターに採用されたのは土讃線の西佐川駅だ。
キャッチコピーは「夏の雲、草木の美しさ。急いでいたら見えなかったもの。」
西佐川駅は植物学者・牧野富太郎博士の出身地である高知県高岡郡佐川町にある駅だ。「西佐川」という駅名ではあるものの、佐川駅や佐川町の中心部から見ると北の方角にある。大正13(1924)年3月30日開業で、来年で開業百周年を迎える。駅舎は開業時のものだが、JRへの移行後に改装されているので、そこまで古さは感じさせない。
築90年以上が経過して老朽化していることから、JRは駅舎の解体を計画していたが、地元・佐川町の要望により平成28(2016)年10月17日に譲渡されて所有者がJRから町に替わった。譲渡後、町の手で耐震補強が行われ、駅舎内に「仁淀ブルー観光協議会」事務所が設置された。佐川町の積極的な姿勢からは町の玄関口は自分たちの手で守ろうという気概が感じられる。
構内は2面3線。幹線である土讃線の駅だけあって広々としている。立派な構内には松山から越知、佐川を経て高知に至る幻の鉄道の分岐駅として計画されていたという事情も影響しているだろう。四国を短絡するこの鉄道は険しい地形から実現できず、代わりにJRバスがこのルートで松山と高知を結んでいる。
長い歴史を持つ幹線の駅らしくホーム同士を結ぶのも木造の跨線橋だ。平成9(1997)年冬季の青春18きっぷポスターに登場した時は、この跨線橋の入口柱に女性が凭れかかっている写真が「どうして旅をするのかな・・・」のキャッチコピーと共に採用された。
ホーム上の待合室も年代物だ。駅舎と違ってあまり手が加えられていないため、国鉄時代の駅の姿を色濃く残している。こんな待合室でボーっと列車を待つのもまたいいかもしれない。
7月20日から使用可能期間が始まる青春18きっぷ。駅を巡るにはうってつけの切符だ。行き先を決めかねている方は土讃線の普通列車に揺られて西佐川駅に行ってみるのもいいだろう。西佐川駅のある区間は土讃線の中でも比較的本数が多く、列車は一時間に一本ほどだ。