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【英会話】typical of Japanese って言ったら、首を振られた。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 仕事で英語を話して20年ほどになりますが、この組み合わせ、ちょっとおかしいな? と思いながら、思い切って言ってしまって失敗することがまだまだあります。イメージから英語を作ってはいるんですが、もう一歩踏み込みが甘いんですねぇ。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと ~の特徴だね を上手くあらわせるお得なエッセイです。

それは、日本語の特徴だね

 このエッセイによく登場してもらうEnglish man で友人のRichとはもう15、6年の付き合いになります。ほかにも同じように長い付き合いになっているNative English Speakerの友人はいますが、付き合いといってもそのほとんどがネットを介しての付き合いで、彼らはEnglandやUS、AustraliaやPortugalなんかに居たりして、日本にいない。その点、Richはずっと日本に居まして、まぁリアルに一緒に吞んだり仕事したりするめずらしい付き合いです。

 そうやってずっと日本にいるRichなんですが、私と話すときは必ず英語です。まぁ、その方が話が通じやすいんで、それで通しているわけですが、日常生活だとそうはいかない。街で英語が通じないな と思ったら、日本語をちょっとは話すんだそうです。
 で、このあいだのこと、ふと思いついたようにアイのことについて訊(き)かれた。愛のことではありません。私なんかにそんな深遠なこと聞かれても困ります。アルファベットの" I " 。一人称単数のアイです。

 Richが訊いてきたのは、なんで、日本語には自分のことを言うときに、いろんな言い方をするのか? ということ。街で日本語を話すときは、おれは を使ってるんだけど、他の言い方があるのは知っていて、長年の疑問だったんだそうです。

 それを聞いて私はニヤリ。いい質問だねぇ と言って続けてこういう。

That's typical of Japanese. (それは日本語の特徴だね)

 言った瞬間、ん? ちょっとおかしな組み合わせだなとは思ったんですが、Richの疑問に答えたいんで、こだわらずに先に進める。で、
日本語は相手との関係性をまず知りたがる言語なんだよ。わたし を使えば、対等・距離のある関係だし、おれ を使えば、カジュアルな関係、自分 ならちょっと公的な場なんだよ 
などと一席ぶった。
 Richは感心して聞いてくれて、
なるほどねぇ~、英語が誰がや意志、数字をまず知りたがるみたいなもんか、主語と動詞を前に持ってくるし、another と言えばその一言でそこに3つ以上のなにかがあるって、想像できるからな 
ときちんと情報のエクスチェンジ。さすが、フェアであることが大切なEnglish man です。
 そこに気を配れれば、より自然な日本語になるよ と言って話を締めたんですが、待ってましたと、今度はRichがニヤリと首を振る。Japanese は具体的なモノってわけじゃないよね~ と追撃。

 ああ、やっぱりおかしな組み合わせを使っていたみたいです、わたし。
 みなさん、私の使ったThat's typical of Japanese. のどこが不自然か気づかれるでしょうか?

 Richのフリでお気づきかと思いますが、問題はtypical of が対象にするものとして、Japanese が適切でないという点です。実は、typical of って、うしろに人・モノ・グループといった具体性が高いものが来ないといけないんです(from Oxford learner's dictionaries)。Japanese では、ちょっと具体性が低いんですね。

 ああ、やっぱり違ったかと私が首をかしげるとRichが具体的にっていつものアシスト。

 了解と言って、ちょっと考えて、

That's typical when speaking Japanese.

 出来るだけ具体的ということで、日本語を話すとき にしたので、of も使いませんでした。大丈夫かな? と思いましたが、Richは、サムズアップ。自然な英語になったと褒められました。変かなと思ったら、具体的に丁寧にですね。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 ちなみに、typical of ~ は、ひとの悪い特徴を皮肉るときにも使います(from Cambridge Dictionary)。

A: He was late to work yesterday. (あいつ、昨日仕事に遅れたんだよ)
B: That’s typical of him. He's always late. (そりゃ、あいつの特徴だよ。いつも遅れるんだ)

 こういう感じです。参考にしてください。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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