『スッキリ』サブMCのオファーはドッキリだと思った ハリセンボン春菜がバカ殿様との初共演で涙したワケ
昨年3月末で日本テレビ系情報番組スッキリのサブMCを卒業し、新たなスタートをきってもうすぐ1年のお笑いコンビ・ハリセンボン近藤春菜さん。今でもバラエティ番組等で13本のレギュラー、準レギュラーを持つ売れっ子芸人に変わりはない。多忙を極める春菜さんの働く価値観から夢の掴み方、未来志向までその熱い想いを聞いた。
コロナ禍だから踏み出せた一歩
――コロナ禍での活動は如何でしたか。
「新型コロナウイルスの感染拡大が始まったころ、私はスッキリをやらせて頂いていたので、毎日、お仕事はあり、少し気持ち的には安定していた部分はあったと思います。ただお笑い芸人としては、バラエティ番組の収録やロケがなくなってしまい、人と絡むことやお笑い芸人としての発信が止まってしまったように感じて、正直どうやって消化して良いのか、戸惑っていた部分がありましたね。
Instagramを自分で運用することに挑戦してみたんです。そしたら、インスタライブなどで直接ファンの方と触れ合えて、自分の居場所を再確認できたように感じました。
正直SNSは怖さもあったのですが、こういった状況でなければInstagramを始めていなかったと思いますし、皆さんのコメントの暖かさなどを体感できてたことは本当に良かったと思います。不測の事態で立ち止まるのではなく、一歩踏み出すことで今まで見てこなかった世界があるんだと、私自身、気付くことができました」
踏み出した一歩が新たな道に繋がった
――SNSを始めてお仕事に影響を出せたことは。
「テレビなどを観てくださった感想がSNSにダイレクトに言葉として届くので本当に新鮮ですね。コメントもほとんど目を通していますし、自分からの一方的な発信にならないよう、様々な意見を受け止めるようにしています。わざわざコメントを書いてくださっているので、どんな意見でも感謝していますし、それをモチベーションにして、自分の成長に繋げていければと思っています。
それに、SNSを通じて異なるジャンルの方と繋がることができて、仕事においての繋がりも少し広げることもできました。印象深いのは、星野源さんがInstagram上でうちで踊ろうを発表された時に、私と友近さん扮する徳男と徳子ですぐにパロディ作品として発信できたことですね」
スッキリサブMCのオファーはドッキリだと思った
――特にコロナ禍で芸人として情報番組で話すことに抵抗はあったのか。
「そうですね。卒業する日まで日々葛藤していました。そもそも、スッキリのオファーを頂いた時、当時のマネージャーさんから大事な話があると喫茶店の個室に呼ばれて、行ってみたら観葉植物が角に4つもあったので、カメラがあるのでは?と、ドッキリだと疑ったほどなんです。それ程、自分には縁遠い番組だと思っていました。でも正式にオファーを頂いて、最初は、私が毎朝おはようございます!と情報番組で言っているイメージがコントのようで面白かったので、少し軽い気持ちで受けてしまった部分はあったんですが、いざ始まると全然違って、、、。お笑い芸人の仕事と情報発信する重要性のバランスが難しく、5年間、日々勉強でしたね」
自分がやりたいという強い気持ちを持てたことが自信になった
――春菜さんの芸人になるまでのストーリーは?
「実は、学生時代に描いていた未来とあんまりズレがないんです。中学生の時から芸人になりたいと思っていて、でも、どんな世界かも分からない、売れるか分からないっていう不安もあったので、芸人になりたいっていうのを周りの人に言えない時期もありました。
でもそんな不安な気持ちよりもお笑いが好き、この世界に入りたいっていう想いが強くて、その気持ちが自分に自信をくれて、後押ししてくれて、この世界に挑戦することができたんだと思います」
未来がイメージ出来ていれば、それは実現できる
――自信を真っすぐに進み、貫けたのは。
「当時の私の中にあった未来に芸人以外のイメージが持てなかったので、むしろやるしかないと思っていたと思います。だから、今の若い方々も一歩踏み出すのが怖いとか誰かに何か言われたら嫌だという気持ちは分かるけど、もし未来がイメージできているのであれば挑戦しないのは本当にもったいない!と伝えたいです」
――今、未来にイメージできていることは。
「周りの人が何というかはおいておいて、最近はお芝居に真剣にチャレンジしたいという気持ちがあるんです。そのイメージも持てているので、中学生の頃のようにまず、自分に自信をもってチャレンジしていきたいと思っています」
志村けんさんを見て泣きそうになった過去
――芸人になることを貫けたモチベーションは。
「私は基本的にとってもミーハーなので、仕事で安室奈美恵さんに会いたい!会えるんだ!と何の根拠もなく考えていました(笑)。でも、それがひとつのモチベーションになっていたと思います。実際にお笑い芸人になって、安室奈美恵さんにお会いすることができて、子供の時からテレビで観ていた志村けんさんとも共演することができました。子供の頃に夢見ていたことが現実になって、志村さんとバカ殿様で共演した時は、目の前で憧れの方とお笑いをしていることに、お笑いコントなのに泣きそうになってしまいました。それくらい貴重な体験をお笑い芸人になったことでできている。それは本当に幸せなことですよね」
まだ会えてないけど、これから会えると信じるあの人
――この先、会いたい、会えると思っている人はいますか。
「え~と、宇多田ヒカルさんですね。アーティストさんばっかりですね!(笑)」
やらない後悔をするくらいならやって後悔したい
――今の若い人達に「イメージがあれば信じて進んで」と伝えたいですか。
「はい、私の学生時代と今の若い方々の時代ではいろいろなことの価値観が異なることは理解していますが、いつの時代でもやらないで後悔をするならやって後悔した方が良いということは変わらないと思います。もしも今、自分の未来へのイメージがあるのなら突き進んで欲しい。まだイメージがなければ、無理せずイメージができる為の素材集めを一生懸命するのが良いかなと思いますし、焦る必要はないと思います!」
初めてコンビを組んで挫折したことが分岐点に
――これまでの分岐点を教えてください。
「高校生の時に初めて友達から誘われてコンビを組んだんです。でも、ネタをどう作れば良いのか?どこで披露すれば良いのか?オーディションはどうやって受けたらいいのか何も分からず、そもそも勇気もなくて、コンビを組んでも何もしてこなかったんですね。それで、しびれを切らしたその相方が自分には何も言わずに、他の人とコンビを組んでオーディションを受けて合格をして、それでデビューまでしたんです。その時に、他の人は一歩踏み出しているのに、自分はわからない、わからないと言って言い訳をして、全然何もしていないと気づかされて、初めて焦りました。
だから当時、夢を叶えたかったらどんな形でも一歩踏み出さないといけない、そのままだと何も始まらないということを学びましたし、その時のショックと焦りが、当時の私の本気の想いを刺激してくれて、次への行動に導いてくれたんだと思います。その時の相方には、今でもすごく感謝していますね」
働いている感覚はなく、芸に向き合っている
――春菜さんにとっての「はたらく」とは。
「難しいですね。自分が楽しいことも大事にしたいし、他人に楽しんで欲しいという感覚も大事です。働くという意識はあまりなく、どうすれば人に寄り添えるか、笑ってもらえるかを常に追求していると思います。お笑い芸人を目指した中学生の感覚のままなので(笑)。社会の為にということをホントは考えなければいけないのですが、正直そこまで辿り着いてなくて。お客様に笑ってもらえることや自分の芸を評価してくれることにただ真っすぐに向き合う。それが結果的に、私にとってははたらくという時間になっているのだと思います」
新しい自分を発見できる場所(コラボ)、守っていくべき場所(コンビ)
――今、友近さんとのコラボで全国ツアーをしていますが。
「コラボはめちゃくちゃ楽しくて、純粋に友近さんが何を投げてくるのか?自分が何を投げようか?お互いを笑わせたいという部分に真っすぐになれて、お客様も巻き込んで笑ってもらえるので本当に楽しくやらせてもらっています。特にコラボは自分自身の新しい発見があって、コンビの時よりも自由度が高いように思います。コンビの方が実は責任感が出てくるんですよね。お互いを支え合っているハリセンボンという看板を背負っているので、その看板への緊張感はあると思います」
「そんな中で、コンビとしては年々味わいが出てきているように感じていて、若手の頃はどこか気を張っていて、尖っていて(笑)。コンビ仲も今の方が良いと思います。当時はどうにか掴まなきゃいけないという想いからお互いギスギス尖らせていて、ハングリーさが強かったかもしれません。今は、歳を重ねてマイルドになって良い関係だと思います。これから先もさらに深みが出ると思うので、その時その時で自分達が面白い、楽しいなということをずっとやっていけたらと思いますね」
――全国ツアーも後半戦ですが何を感じるのか。
「とにかく楽しめています。何よりお客様がいるということに熱くなります。実際、コントライブをしているとお客様も生でエンタメを見ることを待っててくれたんだということが伝わってくるんです。
開演前からの手拍子だったり、マスク着用などのルールをしっかり守ってくれていて、お客様からもライブを一緒に成功させるぞという想いをすごく感じますし、マスクしながら笑ってくれている笑い声がリモートと違って何のラグもなく届くので嬉しいです。あの雰囲気は何にも代えられないですし、辛いこともある世界ですが夢見て入って来た世界に来られたと幸せを感じます」
改めて自分の「想い」と向き合うきっかけに
今回、多忙を極める春菜さんのスケジュールの合間を縫ってお話をさせて頂きましたが、スッキリを卒業されてもなお、多方面から引っ張りだこになる理由が分かった気がする。初対面の人への気遣いや当たり前の挨拶や感謝、相手の話を聞く姿勢などビジネスマンのお手本のようだった。気付くと、どこか人生相談でもしてくれそうな空気感も独特で一度でもしっかり話をしてみると彼女のファンになってしまうのだろう。それが故に、様々な業界の人達と交流があるのだと思う。
世の中はまだまだ新型コロナウイルスの影響で未来はクリアではない。そして、若者市場は混沌としていて、本格化した23卒向け就活は引き続きハイブリッド就活。本来大事にしたいことを忘れて活動をしてしまっている学生が多い。今回の春菜さんの話を聞いて、自分の想いを改めて確認する機会にして頂ければ幸いです。
そして、引き続き春菜さんのメディアでの活躍に期待したい。
全国で話題となっている徳男と徳子 オレだよ、アタシだよ 2022は27日に千秋楽を迎えるが、また友近さんと新たなコラボを創出してくれることにも期待したい。
はたらくを楽しもう。
【芸人|ハリセンボン近藤春菜】
2003年に相方の箕輪はるかとハリセンボンを結成し2004年にデビュー。
M1グランプリで2007年と2009年に決勝進出を果たす。
2016年3月から2021年3月まで日本テレビ系情報番組スッキリのサブMCを務めた。
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