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夏加入限定!J1リーグ終盤戦の”救世主”イレブン

河治良幸スポーツジャーナリスト

現在、海外クラブとの国際親善試合を含む2週間半のブレイク期間に入っているJ1リーグ。8月7日に再開される残りシーズンのリーグ戦に向けて、積極的な補強が目立っています。

今回は夏場から終盤戦で”救世主”になりうる新加入選手イレブンを筆者の視点で、順位が二桁のクラブから選びました。

夏加入の”救世主”イレブン

GKは圍謙太朗(京都サンガ)です。J2の秋田で24試合にフル出場していましたが、ラブコールに応えて京都に途中加入。ブレイク前の磐田戦でベンチ入りしました。ハイスケールなシュートセーブと正確なロングフィードが持ち味。ク・ソンユンという正GKはいますが、良い意味で脅かす存在になれば、どちらが出るにしてもパフォーマンスは引き上がるでしょう。

ディフェンスラインはルーカス・オリヴェイラ(京都サンガ)、セサル・アイダル(川崎フロンターレ)、パク・ミンギュ(北海道コンサドーレ札幌)の3バックに。京都と川崎はディフェンスラインの選手層に不安を抱え、しばしばギリギリのやりくりを余儀なくされていた状況で、非常に効果的な夏の補強と言えます。

大柄でスピードもある京都のルーカス・オリヴェイラ、基本スキルが高く、センターバックが本職ながらサイドバックの起用も選択肢となる川崎のセサル・アイダル。どちらも個人としてもポテンシャルは十分にありそうですが、1つのミスが失点に直結してしまうポジションで、どれだけ早くチームの連携にフィットできるかが鍵でしょう。

パク・ミンギュは韓国代表に選ばれたこともある左利きのタレント。ディフェンスの選手とすては特に大柄ではないですが、球際に強いファイターで、マンツーマンをベースとする札幌にマッチしています。兵役時代も金泉尚武で主力として活躍しており、いきなり札幌の左サイドでスタメンを奪ってもおかしくないポテンシャルはあるはず。左ならセンターバックもウイングバックもこなせるので、菅大輝や中村桐耶にも良い刺激になることは間違いないでしょう。

アウトサイドはジョルディ・クルークス(ジュビロ磐田)と橋本健人(アルビレックス新潟)に。クルークスは左足のキック力に自信を持つ”逆足”の右サイドアタッカーです。磐田は4ー2ー3ー1がベースなので、右サイドハーフが主戦場になりますが、カットインからのミドルシュートや左足から上げる独特なクロスで現在13得点のFWジャーメイン良やヘンディグを得意とするマテウス・ペイショット、一瞬でマークを外せる新加入の渡邉りょうの得点をアシストする期待があります。またセットプレーの左足キッカーとしても期待ですが、最大の強みとして自負するのは絶対に諦めないメンタリティ。まさしく磐田の”救世主”になり得る選手です。

橋本健人は高い左足のスキルとサッカーIQを備えるレフトバックで、多彩なビルドアップや周りの選手をうまく生かしながらの攻め上がりが魅力です。J1レベルでの守備強度や単独での突破力に課題はありますが、ボールを保持しながら押し込む新潟のスタイルにさらなるクオリティを加える存在になりそうです。

中盤はすでに新天地の主軸として獅子奮迅の働きを見せる大崎玲央(北海道コンサドーレ札幌)とJ2の藤枝から個人昇格してきた西矢健人(サガン鳥栖)のコンビ。大崎は正確なサイドチェンジなどで攻撃をベースアップさせながら、高度な危機察知能力で危険の芽を摘むなど、まさしく札幌に足りなかった要素を多く備えています。チームに勝負の厳しさを伝える意味でも重要な存在と言えます。西矢はJFL時代のFC大阪からJ3、J2、そしてJ1とステップアップ。ボールを奪っての配給能力に優れており、長い距離のシュートも備えています。

2シャドーには二度目の欧州挑戦から帰ってきた西村拓真(横浜F・マリノス)と菊地泰智(サガン鳥栖)を並べました。日本代表経験もある西村に関してはあまり説明の必要がないかもしれませんが、マリノスに本来の躍動感をもたらせる存在で、3トップにやや頼りがちな得点の部分でも大きなプラスをもたらすことができるはず。ACLファイナル前後に失速してしまったリーグ戦の巻き返しはもちろん、ACLエリートでの活躍も期待されます。

菊地は技術、機動力、戦術眼の三拍子揃った超万能型のレフティで、左のアウトサイドから中盤、二列目にいたるまで、幅広くハイレベルのプレーができるのは大きな強みです。新天地の名古屋では左ウイングバックあるいは左シャドー、あるいは左利きを右側から生かせる右シャドーなども考えられますが、攻撃を活性化する役割が求められるはずです

FWは新外国人も含めて、何人か候補がいる中で垣田裕暉(柏レイソル)を選びました。鹿島から来た大型FWは加入2試合目となる川崎戦で、木下康介と”ツインタワー”を形成。山田雄士のクロスにヘッドで合わせる名刺代わりのゴールを記録しました。試合は2−3で敗れましたが、ターゲットマンとしても、ストライカーとしても、柏の新たな牽引力となる期待が感じられます。

まだ移籍のマーケットは閉じておらず、ここから駆け込みで補強するクラブもあるかもしれませんが、今回選んだ11人はもちろん、入れられなかった新加入選手にもチームを浮上させる活躍を期待したいところです。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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