【全文】BIGBANGカムバ 直前配布の”韓国語リリース”を入手 制作側が伝えたい「ここ聴いて! 」
4日の0時、BIGBANGがデジタルシングル「春夏秋冬(Still Life)」によって4年ぶりのカムバックを果たした。早くも韓国国内最大の音源サイトMelonのトップ100チャートなどで1位を獲得しているのだという。
その直前に、だ。
韓国メディア向けにYGからプレスリリースが配布されていた。これ、確固たる一次資料。「何かを知りたいな~」と物事を調べるときに必ず当たるべきものだ。
そこには制作者側の意図が記されている。「ここ、聴いてほしい」と(本稿ではそれを公式MV上にてピンポイントで示します。詳しくは続きを)。
楽曲を聞いて感じるところは、本来聴き手が自由に思い、そして語り合えばいいもの。正解などない。
しかし韓国では結構、作った側が”言う”。今回のYGのみらず、多くの事務所が「こう聞いてほしい」と踏み込んだ内容を綴る。そしてこのプレスリリースは、音楽番組出演時の歌い出しのところで各局が適宜編集して曲の特徴を伝えることにも使われる。
本題に入る前にひとつだけ、この”K-POPプレスリリース”にまつわる韓国文化の話を。ここでの踏み込んだ内容、韓国の伝統観念と繋がっているな、とも感じさせる。京都大学小倉紀蔵教授の「韓国の行動原理」(2021年)という本にはこう記されている。
「儒教的道徳といえば利益を排除するものと考えられがちだが、それはまったくの誤解であるということだ。義と利の双方を全うするのが、儒の本来の理想なのである」
確かに韓国の人たちは礼儀正しく優しい人たち(義)と思いきや、時に「めっちゃガツガツしている」(利)。そう見える時はないだろうか。その印象は正しい。音楽シーンでは「聴いてもらわなくてはならない。そして売れなきゃ」と”語り”に入る。利(利益)を追求すること、それまた正義なのだ。
何はともあれ、せっかく”一次資料”があるのだから、その内容のご紹介を。
彼らは何を語っているのか。
(以下本文)
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BIGBANG, 今夜12:00に新曲「春夏秋冬(Still Life)」をリリース!
BIGBANGのデジタルシングル「春夏秋冬(Still Life)」の音源&ミュージックビデオが、いよいよ今夜12:00 p.m.(4月5日12:00 p.m)にリリースされる。
世界中の音楽ファンは、BIGBANGの新曲であり「花が咲くころ再び会おう」と約束したK-POPの”ラスボス”復活に注目している。
BIGBANGの「春夏秋冬(Still Life)」は、温かいバンドのサウンドをベースにした楽曲。YGは、導入部の軽快なギターリフと、後半に続くエモーショナルなコード進行が美しいと紹介する。
BIGBANGは「春夏秋冬(Still Life)」を通じ、季節の流れや変化だけでなく、やるせなく咲いて散るこの世の循環を歌う。そのなかで過ぎ去った日々への偏った思い、未来への希望と過去の困難を隠喩的に表現した。
実際に「来年散る頃 花咲く春」*「雨が止んだ後には悲哀のかわりにa happy end」**「美しい僕らの春夏秋冬」***などの歌詞により、BIGBANGのより成熟した音楽観、そして自らが哲学的たる理由を垣間見せた。
筆者注
*이듬해 질 녘 꽃 피는 봄 한여름 밤의 꿈
(イドゥメ チル ニョク コッ ピヌン ポム ハンヨルム パメ クム)
=冒頭のパート。SOLが歌う。以下、クリックすると該当部分が聴けます(以下同)
**비 갠 뒤에 비애(悲哀) 대신 a happy end
(ピ ケン トゥイエ ピエ テシン)
=0分35秒あたりから始まるG-DRAGONのパート。
***아름다울 우리의 봄 여름 가을 겨울
(アルムダウン ウリエ ポム ヨルム カウル キョウル)
=2分5秒あたりから始まるD-LITEのパート。
(本文に戻る)
BIGBANGは(今回)とことん音楽の本質に焦点を当てた。細部にこだわり、リアリティにしっかりと踏んだデジタルシングルにより音楽ファンたちとのより深い交感に取り組む。
誰もが耳を傾けられる時間に、自分たちの声をはっきりと聞かせられる歌をまずファンに伝えたい。BIGBANGのメンバーの意思が反映されたものだ
YGはこの日、公式ブログにBIGBANGのデジタルシングル「Still Life」のカバー画像とともにリリースカウンターを立ち上げ、カムバックが間近に迫っていると発表した。
生き生きとしている春に同化したテヤン(SOL)、暑い夏のオーラに湧き出るG-DRAGON、秋の寂しさを抱いたデソン(D-LITE)、雪の降る静かで寂しい夜、強力な視線のT.O.Pがカバーイメージに込められている。
”四人四色”に染まったBIGBANGの「春夏秋冬(Still Life)」はある点を予想させる。壮麗であるからこそ、傷つくことも多い青春。いつのまにか4つの季節が過ぎ、再び始まるBIGBANGのシーズンを期待させるのだ。
(了)
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季節の流れを愛で、苦しみの存在も認める。歌詞の中のそういった描写を、作り手側は「より成熟した音楽観」そして「哲学的である証」としているのだ。
考察の一助となりましたら。