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DARPAのグレムリン無人機が空中回収実験に初めて成功

JSF軍事/生き物ライター
DARPAより回収器に差し込む直前のX-61Aグレムリン:2021年10月29日

 アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)とダイネティクス社が研究開発している空中発進・空中回収ドローン「X-61Aグレムリン」が初めて空中回収実験に成功しました。

 C-130輸送機の後部貨物ドアから回収器を降ろしてドローンに差し込んでから巻き上げて、回収アームを迫り出して掴み貨物室内に引き入れています。

Gremlins Program Demonstrates Airborne Recovery - DARPA

 先月10月29日に行われたこの実験は2機のグレムリンを用いて4回行い、1機は事故で失われてしまいましたが、空中回収実験の初成功を含む貴重なデータが得られたとしています。

 なお1年前の2020年10月28日に試みられた空中回収実験は9回とも全て失敗し、機体はパラシュート降下で回収されていました。

 X-61Aグレムリンは初期レベルの研究を目的とした計画です。ドローン(無人機)の空中発進・空中回収の実用化はまだまだ時間が掛かりそうですが、完成すれば新たな戦術が編み出されることになるでしょう。

DARPAよりX-61AグレムリンとC-130輸送機の回収システム(2020年10月28日)
DARPAよりX-61AグレムリンとC-130輸送機の回収システム(2020年10月28日)

 回収アームから回収器をワイヤーで伸ばし、回収器がドローンとドッキングしたら巻き上げる方式です。回収器には4枚のグリッドフィン(格子状の翼)が装着されています。

DARPAよりX-61Aグレムリンと回収器(2021年10月29日)
DARPAよりX-61Aグレムリンと回収器(2021年10月29日)

 X-61Aグレムリンのジェットエンジン空気吸入口の位置は腹下で、形状はNACAダクトになります。

Dynetics社よりX-61Aグレムリン。空気吸入口は腹下のNACAダクト
Dynetics社よりX-61Aグレムリン。空気吸入口は腹下のNACAダクト

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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