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外国人観光客が殺到。名古屋「オアシス21」人気の秘密

大竹敏之名古屋ネタライター
宇宙船のようなデザインでフォトジェニックな観光地として人気急上昇中のオアシス21

世界が認めた(?)日本屈指のフォトジェニック観光地!

世界最大の旅行サイト、トリップアドバイザーの「外国人旅行者が選ぶ夏のフォトジェニック観光スポット」ランキングで、名古屋のオアシス21が何と2位に選ばれました。1位は北海道の洞爺湖、3位は新横浜ラーメン博物館、4位には東京の下町・谷中、京都の最上位は金閣寺でも清水寺でもなく6位に南禅寺がランクイン。ちょっと意外性のあるラインナップとなっていますが、中でもあまり観光地のイメージがないオアシス21が並み居る全国の名所を押さえて2位に入っているのはかなりのサプライズです。

■参照:トリップアドバイザー 「夏のフォトジェニック観光スポット」(外国人旅行者編)

地下街と直結した都心のランドマーク

実際、国内の人はオアシス21と聞いてもピンと来ない人の方が多いはず。まずはどんなスポットかを紹介しましょう。

水を張った透明の屋根(「水の宇宙船」と名付けられた展望広場)があるので地下にも陽光が注ぎ、全天候型でありながら開放感もある。氷のないスケートリンクは冬の定番企画
水を張った透明の屋根(「水の宇宙船」と名付けられた展望広場)があるので地下にも陽光が注ぎ、全天候型でありながら開放感もある。氷のないスケートリンクは冬の定番企画
地階の「銀河の広場」には観光案内所があり、現在「名古屋めし飲食店ガイドMAP」を無料配布中。英語・中国語(繁体&簡体字)・韓国語版もあり、外国人旅行者にお薦め
地階の「銀河の広場」には観光案内所があり、現在「名古屋めし飲食店ガイドMAP」を無料配布中。英語・中国語(繁体&簡体字)・韓国語版もあり、外国人旅行者にお薦め

オアシス21は名古屋の中心的繁華街、栄の中心部にある複合型施設。楕円形の4層吹き抜け構造となっていて、地下街と直結する「銀河の広場」は飲食店やショップが並ぶ他、イベントの会場にもなり、現在は期間限定のスケートリンクが営業しています。続いてバスターミナル、芝生が広がる「緑の大地」と続き、屋上が「水の宇宙船」。ガラス張りで中央に池があるスケルトンの展望広場です。

「銀河の広場」にはベンチも配され、待ち合わせや休憩スポットとしても便利
「銀河の広場」にはベンチも配され、待ち合わせや休憩スポットとしても便利

周囲には名古屋テレビ塔や愛知県美術館があり、栄の地下街とつながっていてアクセスも抜群。地元の人にとっては、お出かけの目的地とするスポットというより、栄に買い物などに出かけた際にちょっと立ち寄ったり、意識はしてなくても目には入って来るランドマークといった位置づけです。

YOUは何しにオアシス21に? 外国人観光客にインタビュー

そんなオアシス21に本当に外国人観光客はたくさんいるのか? いるなら何を求めてやって来るのか? 現地でインタビューすることにしました。

取材は土曜日の午後。ちょっと寒いですが心地よい秋晴れです。「水の宇宙船」へ上がると、確かに自撮りなど記念撮影する人たちの姿が。半数近くは外国人という印象です。インタビューに応じてくれた外国人観光客は20組。内訳は以下の通りです。

【出身国】

ベトナム、アメリカ、オーストラリア各3組、台湾、ドイツ、フィリピン各2組、中国、タイ、イギリス、ブラジル、ウズベキスタン各1組

【構成】

カップル4組、家族3組、男性(1人またはグループ)7組、女性(1人またはグループ)3組、男女グループ3組

カップルやファミリー、友人同士のグループ、シングルと訪れる外国人観光客の構成は様々
カップルやファミリー、友人同士のグループ、シングルと訪れる外国人観光客の構成は様々

「一カ月休暇をとって旅行してるんだ。ここは友人に写真を見せてもらって知ったんだ。きれいに整備されていて、すごく美しいね」(マイクさん/アメリカ)

「日本は35年前から毎年来ている。名古屋は5回目。私は写真が趣味なんだが、後ろにあるテレビ塔が水面に映って、被写体としてとてもいいね」(ケンさん/アメリカ)

「インターネットで紹介されていて知った。テレビ塔、水を張った池、そしてサンセットとのコントラストがきれいだね」(アンキースさん、ジャスティンさん、ジェイムスさん/イギリス)

「名古屋城へ行って、矢場とんで味噌かつ食べて、大須でセーラー服のコスプレしてプリクラ撮って、その後にここでサンセットをバックに自撮り。名古屋、超楽しい!」(ディアスさん/フィリピン)

「名古屋は3回目。ここは昼もいいけど、写真を撮るなら夜はもっときれい。2人でたくさん撮ったよ」(サンさん&エムさん/ベトナム)

「以前、写真を見たことがあって、夜景の写真を撮りに来ました。未来的なモダンアーキテクチャーだね」(デヴィッドさん/ドイツ)

「トヨタに研修でやってきて、今日は休日なので通訳の人に連れてきてもらった。すごくきれいだね。みんなで写真をたくさん撮ったよ」(ケットさん/タイ)

展望フロアの「水の宇宙船」に上ってパチリ。外国人観光客にとっては、ここが最も“名古屋らしい風景”なのかも(?)
展望フロアの「水の宇宙船」に上ってパチリ。外国人観光客にとっては、ここが最も“名古屋らしい風景”なのかも(?)

情報源はインターネット。目的は自撮り

「インターネットでお薦めスポットとして紹介されているのを見て」。訪れたきっかけの大半はネット情報とのことでした。そしてここに来てすることはズバリ、写真を撮ること。「水の宇宙船」まで上った人はほぼもれなく自撮りをしていて、そうでない人はいかにも写真好きという感じで、熱心に風景写真を撮っていました。

日が暮れるとご覧の通り混雑度がアップ。透明なフロア全体が夜空に浮かび上がり、いっそうフォトジェニックになる。
日が暮れるとご覧の通り混雑度がアップ。透明なフロア全体が夜空に浮かび上がり、いっそうフォトジェニックになる。

また、夜になるほど観光客が増えていたのも印象的でした。ライトアップされる床面が効果的な照明となり、フラッシュ無しでも顔が暗くならず、雰囲気のある写真が撮れるのです。まさしくフォトジェニックで“インスタ映え”することが、人気の理由というわけです。

サンセットに夜景など、時間によって景観の表情が変わることも魅力。夜景はとりわけインスタ映えしそう
サンセットに夜景など、時間によって景観の表情が変わることも魅力。夜景はとりわけインスタ映えしそう

トリップアドバイザーでは「夏のフォトジェニック観光スポット」として評価されたオアシス21ですが、夜のライトアップされた幻想的なムードは冬のデートにもうってつけ。外国人がその魅力に気づいた、名古屋の新たな名所としてこれからますます人気を集めそうです。

(取材協力/(公財)名古屋観光コンベンションビューロー)

名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

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