YSLもシャネルも参入! メイクアップは〝AIパーソナライズ”の時代に
さまざまな業界でAI(人工知能)やビッグデータの活用が進んでいますが、美容業界でも、これらの技術を導入することで、より個々のニーズに応えようとする動きが盛んになってきています。特に注目したいのはメイクアップです。
スキンケア分野では肌や髪を診断することで、スキンケアやヘアケアをパーソナライズドするサービスが広がってきましたが、そのトレンドがいま、メイクアップへと波及しているからです。
YSLのメイクアップカウンターが自宅に!?
たとえば、ビューティとAIを融合させたメイクガジェットを開発・販売したイヴ・サンローラン・ボーテ(以下、YSL)。自宅にいながらにして、その日の気分やファッションにぴったりのYSLの口紅を数秒で作れるというガジェットを発売しました。
これは、YSLが属しているロレアルグループが、2020年に開発した、オンデマンドで色を作れるメイクガジェット「Perso(パーソ)」に、AIとAR(拡張現実)を活用したバーチャルメイクアプリを搭載したことで実現した“リップデバイス”です。
3パターンある作り方は、いずれも簡単。たとえば、スマホのアプリがユーザーの顔や髪色、洋服をなどとマッチするリップカラーを判断すると、”リップデバイス”が、約1000色(カートリッジ3本装着時)のカラーシェードを作れる〝YSLのリップカラー”のなかから、ぴったりの色を提案して作成。まるで自宅がYSLのメイクアップカウンターになるような、そんな体験を楽しむことができるのです。
この機能はその名も「シェードスタイリスト」。まさに自分専属の“リップスタイリスト”のように、AIがサポートしてくれます。
気になるリップの質感は、YSLを代表する人気リップ、タトワージュ クチュール ベルベットクリーム。従来のリップの3倍の濃度でピグメントが配合されているタイプで、唇と一体化したマットな仕上がりになるカラーです。
現在の機能では他のタイプのリップやグロスを自由自在に作れる、という域までには至っていませんが、百貨店に行かずして、その日のファッションに似合うカラーを楽しめたり、女優やモデルがつけているリップに似せたカラーが作れるなど、使い方次第で可能性が広がるマシンといえるでしょう。
〝シャネルのマスカラ”もパーソナライズ化
続いて紹介するのはシャネルのパーソナライズド マスカラです。こちらは3Dプリンターで制作された10種のブラシと、レギュラー・ウォータープルーフの2種のフォーミュラから、自分だけの組み合わせを見つけることで、理想のまつげを叶えられるというサービスです。
シャネルはこのサービスのために、3Dプリントブラシを10種開発。形状は大きく4タイプに分けられ、まつげにそれぞれ異なるデザインを施してくれます。
両端が細くなっているオーバルタイプ3種は、目の形やまつげの長さを問わない、使いやすくコンパクトな形状。砂時計タイプの2種は隆起した両端が、きわのまつげまでとらえて長さを出しながら、中央のくぼみ部分でしっかりとボリュームアップさせるタイプ。コンパクトな形状で、目の形やまつげの長さをい問わないストレートタイプ。そして、目のカーブに沿い、1本1本をキャッチして、ボリュームとカールアップができるカーブタイプ3種を用意。
しかも、各ブラシで大中小、あるいは大小のサイズなど、計10種が揃うので、2種のフォーミュラとあわせて、合計20種のなかから、自分にぴったりの“マイベストマスカラ”を選べます。
作り方は、希望の仕上がりや好みのフォーミュラなど、6つの質問に答えたのち、ビューティアドバイザーが2種のブラシを提案。その2種のブラシを塗った状態を写真撮影した後、好みの1本を選ぶという流れです。
マスカラはこちらのカウンセリング込みで1本6,930円。こんなスペシャルな体験と、“自分のまつげ史上ベストなシャネルのマスカラ”が、この価格で手に入るならば! と胸が高鳴るサービスです。
次のパーソナライズメイクは、ベースメイクへ
このようにメジャーなブランドがパーソナライズドしたサービスやガジェットを提供しはじめたことは画期的なこと。
このトレンドは間違いなくベースメイクにも広がっていくことでしょう。化粧品の色番号に自分の肌色をあわせるのではなく、自分の肌色や好みにぴったりのカラーをオーダーできる時代はすぐそこにあると言えます。