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新記録はまず間違いなし!? このチームは1試合2本以上のホームランを……打たれている

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダン・ストレイリー/左奥はクリス・デービス May 22, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズンのニューヨーク・ヤンキースは、チーム本塁打のシーズン記録を塗り替えた。267本のホームランを打ち、1997年のシアトル・マリナーズを3本上回った。

 今シーズンのボルティモア・オリオールズは、さらにハイペースだ。と言っても、こちらは打っているのではなく、打たれている。シーズン48試合目の5月21日、被本塁打は100本に達した。

 チーム被本塁打のシーズン記録は258本だ。2016年にシンシナティ・レッズが樹立した。この年のレッズは、1試合平均1.59本のホームランを打たれた。それに対し、今シーズンのオリオールズは2.08本。このままいけば、シーズン300本を優に超える。

筆者作成
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 過去2シーズンも、オリオールズの被本塁打は多かった。2017年の242本と2018年の234本は、それぞれ歴代3位タイと11位タイに位置する。オリオールズが本拠地とするカムデンヤーズは、ホームランの出やすい球場だ。また、今シーズンの歴史的なハイペースは、オリオールズにとどまらない。次いで多いシアトル・マリナーズ(88本)も、1試合平均1.73本だ。

 それにしても、オリオールズの被本塁打はあまりにも多い。その要因は、対戦チームの打線よりも、オリオールズの投手陣にある。オリオールズと同じア・リーグ東地区の4チーム中、最も多くのホームランを打っているヤンキースでも、両リーグ7位の73本にとどまる(5月21日時点)。ちなみに、オリオールズは19位の56本だ。

 オリオールズには、被本塁打9本以上の投手が5人もいる。12.1イニングで9本のアレックス・カッブは、腰を痛めて故障者リストに入り、復帰の目途は立っていないが、デビッド・ヘスは順調(?)に打たれ続け、被本塁打は両リーグ最多の17本を数える。

 シーズン初先発(2登板目)の4月1日に、ヘスはトロント・ブルージェイズを完璧に抑えた。7回裏に先頭打者を討ち取ったところで、被安打ゼロのまま降板した。だが、今にして思うと、これはエイプリル・フールだったのか。9先発中3試合でヤンキースを相手に投げ、グレイバー・トーレスゲリー・サンチェスクリント・フレイジャーの3人に、ホームランを3本ずつ打たれている。

 5月22日、オリオールズはヤンキースと対戦し、ホームランを2本打ったが、5本打たれた。そのうちの4本を喫したダン・ストレイリーは、シーズン被本塁打を14本とし、ヘスに次ぐ2位タイに浮上(?)した。ヘスの45.1イニングに対し、ストレイリーは34.2イニング。被本塁打のペースは、ストレイリーの方が速い。

 3年前、ストレイリーは31本のホームランを打たれた。これは、そのシーズンのナ・リーグ最多タイ。当時、ストレイリーが在籍していたのは、チーム被本塁打の新記録を作ったレッズだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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