ムーディーズ、ブラジル石油・ガス大手OGXを格下げ―流動性懸念で
米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日、ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いるEBXグループ傘下の石油・ガス生産会社OGXペトロレオのコーポレート・ファミリー・レーティング(CFR、グループ全体の長期格付け)を「B2」から「Caa2」に引き下げた。また、格付けに対する見通し(アウトルック)も格付けを引き下げ方向で見直すことになる「ネガティブ」とした。
ムーディーズのグレッチェン・フレンチ副社長は、今回の格下げについて、「今回のOGXの格下げは、同社の将来の石油生産とキャッシュフローの見通しが弱く、その結果、同社の無担保優先債に対する資産カバレッジが低下すると判断したもの」と述べている。
また、アウトルックの引き下げも、「2014年までOGXの資金調達能力(liquidity profile)が低く抑えられるため」としている。「Caa2」は流動性不足に対する格付けで、ムーディーズでは「今後12‐18カ月間は、同社の流動性はタイトとなる可能性があり、運転資金と債務返済のために必要となる資金調達で新たな方法を模索する必要がある」としている。
これより先、米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスも先月、OGXの格付けを「CCC」に引き下げている。
英紙デイリー・テレグラフの2日付電子版によると、OGXの株価は1日に一気に過去最高の30ペンス下落し、1日で約3億ドル(約300億円)の株式価値を失っており、米エネルギー調査会社IHSヘロルドのアナリストは、「OGXは破たん寸前の状況にあり債務の再構築の必要性に直面している。破産法の適用を申請して債務の返済ができなくなる可能性がある」と警告している。
OGXは1日、リオデジャネイロ州カンポス堆積盆沖にある3鉱区(トゥバラウン・ティグレとトゥバラウン・ガトー、トゥバラウン・アレイア)は、いずれも現在の掘削技術では経済的に採算が取れる可能性はないとして開発を断念したことを明らかにしている。
また、カンポ・デ・トゥバラウン・アズル鉱区で現在、原油を生産している3つの油井も日量1万‐1万2000バレルの生産量にとどまっており、目標の4万バレルに達しないとして、2004年中に生産を中止する方針も明らかにした。この発表を受けて、同社の株価は1日の取引で、前日比29.11%安の0.56レアルにまで急落したが、その後も値を下げ、3日時点で前日比13%安の0.39レアルとなっている。 (了)