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「ワクチン接種も完了」侍ジャパンの宿敵・野球韓国代表の東京五輪の準備状況はどうなっている?

金明昱スポーツライター
東京五輪出場に向けて準備を進めている野球韓国代表(写真:ロイター/アフロ)

 約2カ月後に迫る東京五輪。日本は新型コロナウイルスの「第4波」に見舞われるなか、東京五輪の野球競技の参加を辞退したのが、野球強豪国の台湾代表。

 理由は「自国の選手たちの健康と安全を守るための判断」とのことだが、すでに中国代表も最終予選の参加を辞退している。

 そうした状況を冷静に見つめているのが、韓国代表だ。

 結論から言えば、韓国代表は東京五輪が予定通りに開催すると想定して、着々と準備を進めている。

 東京五輪の韓国代表予備エントリーに選出された選手たちは、5月24日にソウル市内で新型コロナワクチンの2回目の接種(1回目は5月3日)を終えた。副作用を考慮して翌日の韓国プロ野球(KBO)リーグの全試合を中止し、26日も一部の選手は休養をとったという。

 また、韓国代表のキム・ギョンムン監督は29日にアメリカへ出発し、31日(日本時間6月1日)から始まる東京五輪米大陸予選を観戦する。

 同予選には米国、キューバ、ベネズエラ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、カナダ、コロンビア、ニカラグアの8カ国・地域が参加し、1位が五輪出場権を得る。2位と3位は、5カ国・地域が参加する最終予選(6月22~26日、メキシコ・プエブラ州)に回り、最後の1枠を争う。

侍ジャパンの壁となってきた韓国

 すでに2019年WBSCプレミア12で準優勝して、東京五輪出場権を勝ち取っている韓国。

 キム監督は米大陸予選に出場する強豪国の米国やキューバなど、東京五輪でライバルになるチームの戦力分析のために渡米したわけだが、金メダル獲得への準備は抜かりがなさそうだ。

 韓国は近年の国際大会で頭角を現し、何度も侍ジャパンの前に立ちはだかってきた。

 2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本が優勝したが、大会では3度対戦し韓国が2勝している。当時イチローが大会開催直前に語った「(韓国、台湾などには)向こう30年、日本にはちょっと手を出せないなみたいな、そんな感じで勝ちたいなと思っています」というコメントが、韓国代表に火をつけたという話は有名だ。

 そこから韓国は2008年北京五輪の準決勝で日本を下し、決勝戦ではキューバに勝利して金メダルを獲得。2015年の世界野球プレミア12でも準決勝で日本、決勝でアメリカを下して優勝。2019年同大会の決勝戦で、韓国は日本に敗れたが、今や強豪国へと成長した。

 やはり野球に関しては、日本の宿敵となる韓国がいないと盛り上がりに欠けるのは間違いない。

1次リーグで日本と韓国は別組か

 そんななか、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が東京五輪の野球競技1次リーグのグループ分けの方法を発表。

 1次リーグは6チームを世界ランキングで比較し、A組とB組に分けて行う。A組は世界ランキング最高位国と4番目、5番目。B組は2番目、3番目、6番目のチームが入る。

 ちなみに昨年3月に発表されたWBSC世界ランキングで韓国は3位で日本が1位。現時点で日本と韓国は組が分かれる予定だが、東京五輪で“日韓戦”を見たいという野球ファンもきっと多いはず。

 コロナ禍での五輪開催は未だに“予定”とされているが、日本と韓国の熱い戦いがこの目で見られるのだろうか――。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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