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天才・藤井聡太二冠(18)史上2位の年少記録で最優秀棋士に 渡辺明現名人(36)との激闘は名局賞受賞

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月1日。将棋大賞が発表されました。2020年度に最も活躍した最優秀棋士には藤井聡太二冠(18歳)が選ばれました。

 藤井二冠は年度末の時点で18歳8か月。羽生善治五段(1988年度当時)の18歳6か月に次ぐ年少記録での受賞となりました。

 羽生五段は初受賞の翌年度(平成元年度)に初タイトルの竜王位を獲得。平成はそのまま、輝ける羽生時代となりました。最優秀棋士賞には22回選出。文字通りケタ違いの、途方もない大記録です。

 藤井二冠もこの先、羽生九段のように一時代を築くのでしょうか。

 改めて藤井二冠の2020年度の主な実績をたどってみると・・・。

・棋聖戦五番勝負に登場しタイトル挑戦&獲得(史上最年少17歳)

・王位・棋聖の二冠達成(史上最年少18歳)

・タイトル2期で八段昇段(史上最年少)

・銀河戦優勝(史上最年少)

・朝日杯優勝(4回参加で3回目)

・公式戦成績44勝8敗、勝率0.846=歴代4位(タイトルホルダーとしては1位)

・4年連続勝率1位(羽生善治九段と並んで1位タイ)

・4年連続勝率8割(史上初)

・最多勝(永瀬拓矢王座と並んで44勝)

・実質最多連勝(17連勝を達成するも年度最終戦も勝ったため受賞対象外)

・竜王戦3組優勝(史上初ランキング戦4期連続優勝)

・竜王戦2組決勝進出、5期連続で本戦進出

・竜王ランキング戦デビュー以来23連勝(史上最高)

・順位戦B級1組昇級

・順位戦21連勝継続中(史上2位タイ)

・順位戦通算39勝1敗、勝率0.975(B級1組到達時点での史上最高勝率)

 エトセトラ、エトセトラ。まだありそうですが、ともかくも、すさまじいほどの勢いで勝ち続け、いくつもの信じがたい記録が生まれました。

 最優秀棋士賞の投票では、藤井二冠8票、渡辺明名人5票だったそうです。

 渡辺名人も初の名人位を獲得し、棋王、王将と防衛。現将棋界の第一人者にふさわしい実績を残しました。しかし今年度はやはり、藤井二冠の活躍が目立ったということでしょう。

 渡辺棋聖と藤井七段(肩書はいずれも当時)が戦った棋聖戦五番勝負第1局は年度を代表する「名局賞」に選ばれています。

 また名手を表彰する「升田幸三賞特別賞」には、棋聖戦第2局で藤井挑戦者が指して大変話題になった△3一銀が選ばれています。

 また年度末におこなわれた藤井二冠-松尾歩八段戦は「名局賞特別賞」に選ばれました。

 今年度の将棋大賞選考は最優秀棋士賞、名局賞なども含めて、大方の予想通りといった感もあります。皆さまの予想はいかがだったでしょうか?

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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