プロペラ機に車いす客はどう乗るの?HAC・北海道エアシステムの場合
体が不自由な利用客が飛行機を利用する時、大きな飛行機や空港ならば、ターミナルと飛行機を結ぶ設備(ボーディングブリッジ)を使い、車いすで移動が可能。しかしボーディングブリッジを使えない小さい飛行機の場合、体が不自由な利用客がいたらどの様に搭乗するのでしょうか?
特に北海道を拠点に運航のHACのプロペラ機、雪が降る時は大変です。
2023年10月16日「搭乗待合室にPC机・コンセント・EVがあるローカル空港!札幌・丘珠空港」を書き、後半に札幌丘珠空港での体が不自由な利用客乗降方法について簡単に触れています。再び札幌丘珠空港へ行き、更に情報を得る事が出来たので、掘り下げてみました。
なお使用する写真は全て、筆者が展望デッキか搭乗待合室から撮影しています。
一般客は飛行機の階段利用!
HAC・北海道エアシステム(外部リンク)は48人乗りプロペラ機・ATR42-600を4機運航中。空港にボーディングブリッジがあっても使用出来ず(函館、釧路、中標津、三沢、秋田)、就航空港で搭乗客は必ず外に出てしまう事に。一般客の乗降は飛行機にある階段を使います。
階段からの利用は国会議員などのVIPでも変わりません。
でもこれでは体・特に足が不自由な利用客は利用出来ません。まずHACの場合を確認する前に他社の事例を紹介しましょう。日本でHACより先にATR42-600を運航した同じJAL系列のJAC・日本エアーコミューターの場合です。
JACは一般客もスロープ使用!
JAC・日本エアーコミューター(外部リンク)は、鹿児島空港を本拠地に、南は那覇、鹿児島県内の離島空港、北は大阪伊丹、但馬(兵庫県)、出雲や隠岐(島根県)、松山(愛媛県)、そして福岡空港に就航しています。
JACはどのように搭乗客の乗降を行っているかといえば、最初から一般客もスロープを使用。
飛行機から階段付きの乗降口は降ろすけど、専用のスロープを接続します。体が不自由な利用客も一般客も便利。
しかしHACでは専用スロープを使用していません。
HACでは専用昇降機!
HACではスロープを使わず、予約や出発空港で申告があった利用客に専用の昇降機を使用します。足が不自由な利用客の搭乗を撮影出来ました。
この利用客はなんとか歩けるけど、階段は無理な方の様でした。
地上係員が一人同乗し、横で別の係員が注意深く運転して上昇します。
飛行機の搭乗口まで上昇が終わって、
飛行機に昇降機が接続されました。地上係員が利用客を誘導しています。
飛行機に利用客が乗り終えたら昇降機は撤収。
牽引車(トーイングカー)で移動。
後日HACの社員に、JACの様なスロープを使用しない理由を聞いてみました。回答は、
1.積雪・凍結時にスロープを使用すると危険。
2.丘珠空港はスロープを収納する場所が狭い。
という事でした。2は関係者しか判りませんが、1については北海道に住む、住んだ事がある人にとっては納得出来る理由だと思います。
更に札幌丘珠空港以外の空港に昇降機があるか質問。
答えは「就航空港に全てある」。
利用検討中の人が判る発表を!
執筆前にHACのホームページ(外部リンク)や機内誌、Facebook(外部リンク)で可能な範囲で調査。しかし体が不自由な利用客向けの搭乗方法についての発表・投稿はありませんでした。
判っているのはHACの社員と就航空港の担当者、利用した事がある人と家族だけでしょう。これから利用中の人には不便です。HACのほか、発表がない他の航空会社も判りやすい形で告知して欲しいですし、必要ならば国土交通省も動くべきだと考えます。
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