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野村周平が俳優を続けるワケ

中西正男芸能記者
俳優という仕事への思いを語る野村周平

 映画「帝一の國」「ラブ×ドック」など注目作に立て続けに出演している野村周平さん(24)。まさに“今”を形づくる俳優とも言えますが、公開中の映画「純平、考え直せ」では男気溢れる若者を熱演しています。作品ごとに毎回違う顔を見せ、見る者を驚かせる野村さんですが「上には上がいることを思い知らされる日々です。ただ、この世界に一歩入った以上は負けたくない」と思いを口にしました。

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ターニングポイント

今回の作品では主人公が人生の転機を迎えるんですけど、僕にとってのターニングポイントは、やっぱりこの世界に入ったことだと思っています。

僕が15歳の時、父親が勝手に応募して(笑)、オーディションを受けることになったんです。ただ、そんな流れで入っているので、この世界への興味が本当に薄かったというか。細かいことですけど、ドラマって放送中もまだ同時進行で撮影が行われているということを知らなくて。「ドラマって撮りながら、放送してるんだ!」とびっくりしました。それだけの話なんですけど(笑)、それくらい何も知らずに入ったんです。

ただ、今、こうやってありがたいことにお仕事をいただけて、顔も気づいてもらえるようになってきてとても嬉しいです。。もちろん、まだまだやと思っていますけど、そういう意味では良いターニングポイントだったなと。もし、今の仕事をしていなかったら、いったい何をしてるんやろうと。自分でも想像がつかないというか。

マネはアカン

この仕事、全員が向いていると言えば、向いていると思うんです。自分のやり方、スタイルに合うものさえ見つかれば。ただ、それが難しいんだとは思いますけど。

僕自身は影響されやすい人間なので、ご一緒させてもらった先輩から「人間は黙っておいた方がいい」と言われたので「あ、そうなんだ…」と思って、現場でもずっと黙ってたら「あいつはしゃべりもしないし、やりにくい人だ」となって(笑)。それはアカンなと。

僕の色には合わなかったのかもしれません。僕は別のスタイルでやるべき。だからこそ、マネではなく、自分のやり方、スタイルを求める。それしかないんだろうなと思うようになったんです。

負けたくない

あとは、一人でやる仕事ではないので、いろいろな人に出会えますよね。お芝居していて、心底「すごいな…」と痛感する先輩方もたくさんいらっしゃいますし。上には上がいる。それを思い知らされる毎日ですけど、この世界に一歩入ったからには負けたくない。それは思いますよね。

入ってみて思ったのは、俳優さんはみんな言うと思うんですけど、役の上でいろいろなことが出来ていろいろな人になれる。何人もの人生を生きることができる。そして、ある意味、そんな異常なことを日常として続けていける。これは俳優ならではの面白みだと思います。

もちろん、大変なこともあります。ただ、芝居をするだけではなく、それを人に伝えないといけないので、例えば、今どこからカメラを撮られていて、照明とか、アングルとかを考えないといけない。いくら良い芝居をしていても、結果、それが映像として“良い芝居に見える”ということがなかったらアカン。そこは今でもいろいろ考えますし、だからこそ、それはそれで面白いなとも思います。

人を見る

実際、僕がお会いして特にすごいと思ったのは妻夫木(聡)さん。何がすごいって、感覚的なことなんですけど、役に入った時の包容力。これがすごいなと。もう完全にその人なんです。役の当人なんです。ま、そういう芝居の力関係なく、僕が言わせてもらうのはおこがましいですけど、親分肌ですし、人間として素晴らしい。とても尊敬しています。

人を見るというのは、僕にとってとても大切なことで、台本をもらった時に、たとえば「今回の役は、友達の〇〇みたいな感じかな」とか、そういうことを考えるんです。そのためにも、今を生きているリアルな人、いろいろな仕事をしている友達を普段からよく見ておく。友達でなくても、街ですれ違う人でも、よく見ておく。そういったところから得るものが本当に多い。だから、友達の中には「今回の周平の作品、オレっぽくない?」と気づいている友達もいるかもしれませんけどね(笑)。

日本以外でも

今後の夢でいうと、俳優として、この先まだまだやれることもあるし、楽しいこともあるだろうし、いろいろ考えると日本だけでもないとも思っていますし。まだ若いし、日本以外のところでも挑戦できたらいいな。

それくらい、リミットを定めずにやりたいなと思うんです。海外で挑戦するというのも、その中の一つとしてあることだし。そうすればまた新たな夢が抱ける気がします。

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(撮影・中西正男)

■野村周平(のむら・しゅうへい)

1993年11月14日生まれ。兵庫県出身。2010年MBS・TBS系ドラマ「新撰組PEACE MAKER」で俳優デビュー。12年、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」に出演し注目を集める。映画「ちはやふる」シリーズ(16、18年)、「帝一の國」(17年)、「ラブ×ドック」(18年)などの話題作に立て続けに出演する。「純平、考え直せ」は直木賞作家・奥田英朗氏の同名人気小説の映画化。新宿・歌舞伎町のチンピラ・坂本純平(野村)と会社員・山本加奈(柳ゆり菜)を軸に描く疾走感溢れる青春物語。新宿シネマカリテ、シネ・リーブル池袋ほかで全国順次公開中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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