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BIGBANG“再結集”のその日まで彼らに待ち受けるもの。逃れられない運命とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

韓国はもちろん、日本でも絶大な支持を集めているスーパーグループBIGBANG。

今月24日まで日本で行われたドームツアーでは、約69万6000人の観客を動員。2013年からの5年間で、累計420万5500人を集めたという。5年連続でドームツアーを行ったのは、海外アーティストとしてはBIGBANGが史上初めてである。

まさに空前絶後の人気を誇るスーパーグループだが、近頃は活動そのものよりも、彼らの兵役問題が話題に上ることが多い。

周知の通り、韓国では成人男子に約2年間の兵役義務があるが、来年に入隊を控えるメンバーがいるからだ。

東方神起のようになるべく早い再結集を狙う!?

そのメンバーとは、SOL(テヤン)とG-DRAGON。

現行の韓国兵役法では満18歳から満29歳までの間に兵役に就く必要があり、1988年生まれの二人は、来年が入隊のタイムリミットとなる。兵役免除の条件にも該当していないため、入隊は避けられない状態なのだ。

(参考記事:「えっ、そんな理由で?」兵役を免除された20人の韓国芸能人を一挙紹介!!

韓国メディアの情報を総合すると、女優ミン・ヒョリンと来年2月に結婚することを発表したSOLは、式を挙げた直後の入隊が有力。8月生まれのG-DRAGONも、上半期中に入隊すると見られている。

また、1989年生まれのD-LITE(テソン)と1990年生まれのV.I(スンリ)も、タイムリミットギリギリまで入隊時期を延ばさず、近いうちに入隊を決断するだろうとの見方が強い。

その背景には兵役の入隊・除隊の時期の足並みをできるだけ揃え、グループの空白期間を最小化にしてふたたび“再結集”する日を一日でも早めたい思いがあるからだろう。

今年、ユンホとチャンミンが除隊し、再集結直後から衰えぬ人気を見せている東方神起のように、BIGBANGもグループ内で兵役期間のズレをできる限りなくしたいのだろう。

実際、昨年12月にはSOLが韓国メディアとのインタビューで「メンバー全員が再び集結するまでの時間が長引かないように相談している。最大限、5人が再集結するまでの時間を短縮する方がいいと思う」と語っている。

韓国のアイドル業界は人気の移り変わりが激しく、EXOや防弾少年団だけではなく最近は今年の流行語まで生み出したWanna Oneなど新グループも続々と登場している。そんな中、それぞれの入隊時期が異なれば、グループとしての空白期間は長くなり、人気やポジションを失ってしまうことにもなりかねない。

それよりもメンバーの入隊除隊時期にギャップを作らず、できるだけ近くすることで除隊後の芸能活動を揃って再開させたい。メンバーたちが次々と入隊して芸能活動を中断することはファンにとっては寂しいことだが、兵役後にふたたび揃って活動を再開するための次善策でもあるのだ。

T.O.Pの大麻吸引事件と「義務警察」制度廃止の影響

もっとも、韓国のメディアや大衆たちが注視しているのは、彼らが“いつ”兵役に行くかだけではなく、“いかにして”もしくは“どんな”兵役生活を送っていくか、にもあるのかもしれない。

というのも、メンバー最年長で今年2月にトップバッターで兵役に就いたT.O.Pが大麻吸引事件を起こしたからだ。T.O.Pの大麻吸引は入隊前の昨年10月の出来事だったとはいえ、事件は大きな波紋を呼んだ。

数年前にソウルでT.O.Pをロングインタビューをしたことがあるが、華やかなスポットライトの影で抱いているという孤独感についても率直に語ってくれる好青年だっただけに、筆者としても残念でならない事件だった。

(参考記事:【回想インタビュー】BIGBANGのT.O.P(チェ・スンヒョン)が語った情熱と野心)

この事件の余波は大きく、今年7月にはT.O.Pが入隊していた義務警察が2023年度までに廃止されることも決まった。

義務警察とは、警察の組織に身を置くことでそれが兵役となる軍代替制度のようなもので、RAINやSE7VENの不祥事などで“芸能兵”が廃止になって以降、近年は芸能人たちの“兵役受け皿”にもなっていた。T.O.Pの大麻吸引事件が制度廃止の一つの引き金になったことは間違いないだろう。

(参考記事:韓流スターやK-POPアイドルたちの兵役受け皿だった「義務警察」が廃止される背景

T.O.Pは懲役10カ月、執行猶予2年の判決が下され、現在は「社会服務要員」として兵役を続けているが、あの事件があった分、メディアや世間がほかのメンバーたちの“兵役生活”に対しても目を光らせることは容易に想像がつく。

兵役は国民の義務である以上、スターであっても特別扱いも許されない。ほかのアイドルたちの兵役生活とも比較されるだろうし、ミスや落ち度があろうものなら鋭く指摘もされるだろう。つまり、BIGBANGメンバーたちは兵役に就いたあとも軍隊生活が何かと注目される運命から逃れられないのではないだろうか。

いずれにしても、差し当たってSOLとG-DRAGONの入隊タイムリミットが迫っているのは事実だ。現時点では二人が社会服務要員や義務警察、予備役などの特殊兵を希望しているとの情報はなく、二人は現役兵として入隊すると予想されている。

今月30、31日にはソウル・高尺スカイドームで開催される公演がグループの今年最後の活動となるが、果たしてメンバーたちの口から兵役の開始時期や入隊先についての具体的な言及はあるだろうか。

2017年の最後の最後までBIGBANGからは目が離せそうにない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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