Yahoo!ニュース

AIスピーカー、アマゾンが7割とダントツのシェア 「Echo」の世界展開も加速

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:つのだよしお/アフロ)

 米国の市場調査会社CIRPによると、米国におけるAIスピーカー(スマートスピーカー)の利用台数は、今年(2018年)9月末時点で5300万台となった。

アマゾン70%、グーグル25%、アップル5%

 この台数は3カ月前、5000万台だった。これまで、市場は急成長を続けてきたが、ここに来て若干減速が見られるようになったとCIRPは指摘している。

 メーカー別利用台数シェアは、米アマゾン・ドットコムの「Echo」シリーズが70%、米グーグルの「Google Home」シリーズが25%、米アップルの「HomePod」が5%

 この市場では、アマゾンとグーグルが相次いで新製品を投入するなどし、競争が激化している。

AIスピーカーはスマートホーム市場の成長に寄与

 一方で、AIスピーカーは、スマートホーム(ホームオートメーション)機器の普及に寄与していると同社は指摘する。

 例えば、Google Home所有者の7割、アマゾンEcho所有者の6割が何らかのスマートホーム機器を所有している。

 このうち、Google Home所有者の49%、Echo所有者の36%は、スマートロック(電子錠)、スマートドアチャイム、ネットワークカメラといったホームセキュリティ関連の機器を利用している。

 またGoogle Home、Echoともに所有者の3割が、スマート電球、スマートプラグ(コンセント)を購入している。

 スマート電球、スマートプラグ所有者の75%は、AIスピーカー購入後に、これらAIアシスタント対応製品を購入した。AIスピーカーは、スマートホーム市場の成長に大きく寄与しているという。

アマゾン、販売国拡大も、対応言語の数で後塵を拝す

 なお、AIスピーカー市場で圧倒的なシェアを持つアマゾンは最近、急速に世界展開を進めている。同社は11月7日、Echoシリーズとスマートプラグをメキシコで発売すると発表した

 アマゾンがEchoの初代機を米国で発売したのは2014年11月。その2年後には英国とドイツで販売を開始。2017年11月には、日本、インド、カナダで販売を始めた。また、今年は販売国に、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イタリア、スペインを加えた。

 アマゾンは、これ以外の国でもEchoを販売している。米ベンチャービートによると昨年12月、アマゾンはEchoの販売国に80カ国以上を加えた。

 ただ、アマゾンのAIアシスタント「Alexa」が現在対応している言語は、英語、ドイツ語、日本語、フランス語、イタリア語、スペイン語の6カ国語のみだ。

 一方、グーグルは、「Google Assistant」を、年末までに30カ国語以上に対応させると発表している。またアップルの「Siri」は現在、20カ国語に対応している。

  • (このコラムは「JBpress」2018年11月9日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

小久保重信の最近の記事