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G大阪・FC東京・名古屋で活躍のオ・ジェソク。今も続くJリーガーたちの絆【現地取材】

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
オ・ジェソク(写真=姜亨起/ピッチコミュニケーションズ)

かつてJリーグのガンバ大阪、FC東京、名古屋グランパスで活躍したオ・ジェソク。2013年から2020年までの8年間で、J1通算148試合に出場した元韓国代表の右サイドバックは現在、Kリーグの仁川(インチョン)ユナイテッドに所属して今も選手生活を続けている。

「Kリーグは日本よりも練習量が多いですし、特に仁川はKリーグのなかでもたくさん走らなければならないサッカーなので、コンディション調整など大変です。それでもまだパフォーマンスは十分発揮できると思っていて、むしろこの年齢でこうしたスタイルのチームでプレーするという経験は、これからに十分活きると思っています」

日本ファンへの感謝のためにユニ200枚にサイン

オ・ジェソクとは彼がまだロンドン五輪代表だった20代前半の頃からの付き合いだが、気が付くと彼も32歳。ベテランに数えられ、醸し出す雰囲気も落ち着いている。ただ、優しく律儀なところは変わらない。

今でも日本のサポーターたちから愛されており、仁川に移籍した2021年には日本からオ・ジェソクのユニホームを求める注文が殺到。オ・ジェソクは感謝の気持ちを込めて、すべてのユニホームに直筆サインを入れたという。

「200枚は超えたかな? その一枚一枚にしっかりサインしました」

8年も日本にいたせいか、今も日本が恋しくなることが多いらしい。「お好み焼き、たこ焼き…それに焼きそばも好きでしたね。韓国でも何回かお店で食べたことはあるのですが、やっぱり本場には敵いませんよ」とも笑う。

韓国から見るJリーグ

もちろん、サッカーに関してもJリーグ時代のクセが出てしまうこともあるらしい。

「ミギ、ヒダリ、キリカエロとか、プレー中に思わず日本語が出てしまう。最近もたまに出ることがあって、外国人選手とコミュニケーションをするときに英語を織り交ぜて話すのですが、そこで日本語の単語が出てしまいます。今日の練習中もオーストラリア出身の選手に“ミギ、ミギ!”って話したりして(笑)。まだJリーグ時代の習慣が残っているみたいです」

ガンバ大阪時代のオ・ジェソク
ガンバ大阪時代のオ・ジェソク写真:森田直樹/アフロスポーツ

そんなことだからJリーグについても気になることが多いようだ。

「こっちではDAZNが映らないので、韓国でライブで見られる試合を探してみています。特によく見るのは名古屋の試合ですね。ガンバも名古屋ももっと高い順位にいなければならないチームだと思っています。今は下位にいますが、今も応援しています」

今でも連絡取り合う同僚たち。その話題は…

選手個々とは今でも連絡を取り合っている。

「名古屋のアベちゃん(阿部浩之)とはたまに連絡を取りますし、相馬勇紀、稲垣祥などは今も連絡を取り合っています。成瀬竣平が岡山に行ったことも知っています。名古屋の選手のことは今も見守っています」

FC東京時代のチームメイトだった小川諒也選手とはインスタグラムでやり取りする仲であるし、「諒也が自分の能力を発揮して海外に行くことになったのを本当に祝福したい。室屋成も今はドイツにいますが、サイドバックとして彼らと一緒に過ごせたことが、僕にとっては今もプライドになっている」

(参考記事:Jリーグで愛されたオ・ジェソクが今こそ語る、 「名古屋移籍」と「韓国復帰」の裏側【一問一答】)

かつての古巣でプレーする韓国人選手から情報を入手することもある。

「(クォン・)ギョンウォンとは今も連絡を取り合っていて、ガンバの状況をよく聞いています。ギョンウォンも韓国ではKリーグトップレベルの選手でしたが、日本に行ってからは“ガンバの選手がかなり上手で衝撃を受けた”、“サッカースタイルもKリーグと全然違う”と話しています。僕が初めてJリーグに来たときに感じたことを、ギョンウォンも同じく感じているようです。ガンバはとても素晴らしいチームですし、韓国人選手に対しても友好的なクラブ。ギョンウォンはヨングォンとも似たプレースタイルなので、上手く適応してくれると思っています」

同じく韓国に戻ってきた元コリアンJリーガーと昔を懐かしむことも多いらしい。

「(元ガンバ大阪の)キム・ヨングォンともよくガンバのことで話しています。ヨングォンは蔚山現代に移籍した後もガンバの話をよくしていて、“今の状況はどうなんだろう”、“今の順位が少し下だね”みたいな話をしています。コロナが落ち着いたらみんなで大阪に行って、スタジアムで直接応援もしたいと思っているので、いつか必ず行ってみたいですね。」

オ・ジェソクと話していると日本での思い出やJリーグへの愛着が尽きないことがわかるのだが、では逆に彼は昨今急増する日本人Kリーガーについてはどのような感想を持っているのだろうか。それはまたの機会に紹介したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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