HYBE v.s ADOR内紛 "運命の17日"の答えは「保留」 パン氏初発言も飛び出す「大乱戦」に
本日10時25分からソウル市内の裁判所で行われた「ADORによるHYBE議決権停止仮処分申請」に関する審問。
つまり、ミン・ヒジン氏が裁判所に対して「HYBEが自分を株主間契約を勝手に解任しようとしているが、それを仮処分でいいからやめさせてください」と申請したものだった。
本来はミン・ヒジン氏のHYBE解任の可否がこの日に決まるはずだった。しかし、答えは「保留」に。
24日に審問が再度行われることとなった。
韓国メディアでもこの日に運命が決まるという報道が多かった。「TYN」「スポーツソウル」「イーデイリー」といった媒体が「分水嶺」「運命の日」という見出しで報じてきた。筆者自身も5月31日に予定されているADORの株主会議より、17日がより重要という主旨を記してきた。
16日の「イーデイリー」などは「株主間契約に基づいて議決権が妥当かを話し合う」と記していた。論点が整理されていたため、早期の結論も十分に予想できた。「会議室にてプレゼンテーションを行う」という形式まで展望されていたため、双方が要点を端的に伝え早期の結論も予想された。実際に4月30日に行われた今回の内紛の別件での審問(ADORの理事会の開催是非)は30分の討論で「5月10日までに開催する」という結論が導かれていた。
しかし、期日が延びた。なぜか。
話し合いが紛糾したからだ。17日の午前から丹念に韓国メディアの報道を追っていたが、午前中の時点でミン氏側が「ILLITのコピー疑惑」を主張しているという話が報じられた。要は「最初から話が巻き戻されて」、双方入り乱れての大乱戦となったようだ。「NEWS1」は審問時間が80分だったと報じたが、当日での結論が出なかったのだ。
この会議中に「ミン・ヒジン氏がADORの買収を売り込むべくNAVER(国内最大のポータルサイト運営会社)などに会っていた」というスクープ(リーク?)も飛び出すほどの異常なまでの世論戦(消耗戦?)となったこの日の審問。
HYBE側はこの日、プレゼンテーションに使用したある資料を公開した。「嘆願書」に含まれていた、パン・シヒョク氏の発言内容だ。
今回の騒動ではミン氏側が会見を開くなど多様な表情とともにその考えを伝える機会を持っているが、パン氏が「口を開く」のは初めてのことだ。
「任期5年間の保障」などを盾に解任権行使の不当性を主張するミン氏に対し、妥当性を主張した。こういった内容を伝えている。
マルチレーベル(子会社化したレーベルを複数抱える制度)の問題点について
「ミン・ヒジン氏の行動によってマルチレーベルの問題点が明らかになったと見る意見もあることは存じている」
「いかに精巧なシステムでも、徹底した契約でも、人間の悪意を完全に防ぐことはできない」
「一人の悪意による行動が、多くの人々が長い間作り上げてきたシステムを毀損することがあってはならない」
「そして、個人の悪意と悪行が社会の制度と秩序を崩さないようにするのが我が社会のシステムの底力だ」
経営権紛争に関して
「本件(内紛)をより良い創作環境とシステム構築という企業家的使命に加え、K-POP産業全体の正しいルール制定とその前例を確立する、という壮大で切実な観点から捉えている」
「産業のリーダーとして信念を持ち、全力を尽くして事態の是正に努めている」
「楽しみを届けなければならないエンターテインメント会社で、我が社会の様々な構成員と大衆の皆様にご心配をおかけしたことを大変申し訳なく思っている。どうかこの真摯さが伝わり、裁判所がこの度の仮処分申請の棄却という賢明な判断を下してくださることを願っている」
こういった情報が「盛りだくさん」となったこともあり、当日の結論には至らなかった。次のヤマは24日となった。31日の株主会議が近づいていることもあり、この日は確実に結論が下されることとなるだろう。
<再度整理> 本内紛の論点
◆HYBE(パン・シヒョク氏)
- ミン・ヒジン氏側に背任(会社を裏切る動き=HYBEの経営乗っ取り)の動きがあった
- 早々に会社を辞めてほしい
◆ADOR(ミン・ヒジン氏)
- 背任はない(それはILLITのパクりを指摘したことへの嫌がらせ)
- NewJeansと今後も共に活動していきたい=感情的なしこりは致命的だがNewJeansと共にあることを考えればひとまずは解任は避けたい
(了)