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11日にかけて長引く大雨 線状降水帯の発生は8月が最多

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
7月8日7時30分、島根県に発生した線状降水帯:気象庁ホームページより

 8日(土)朝は島根県東部で線状降水帯が発生しました。松江市や出雲市では3時間で100ミリ近い大雨が降り、土砂災害の危険性が非常に高くなっています。

 梅雨前線は今後も、本州付近に停滞し、活動が活発となる見込みです。九州北部地方から東北地方にかけての広い範囲で、11日(火)にかけて、いつ大雨になってもおかしくない状況が続きます。地元気象台が発表する情報に注意し、周囲の人と声を掛け合い、早めに避難するようにしてください。

今年はすでに19回も

 線状降水帯というキーワードを使って、災害発生の危険度の高まりを呼びかける取り組みは2021年から始まり、今年で3年です。

 今年は6月から線状降水帯の発生が相次ぎ、発生回数は(7月8日午後3時までに)19回に上ります。今年から発表基準に予測情報が取り入れられたことから、単純な比較はできませんが、今年6月は台風2号の影響で突出して多くなりました。

月別の線状降水帯の発生回数:筆者作成
月別の線状降水帯の発生回数:筆者作成

 最近は7月上旬に甚大な大雨災害が多く発生しているため、線状降水帯の発生もそのころが多くなりやすいと思いがちですが、実は8月にかけて多くなる傾向があります。梅雨が終わっても安心はできないのです。

北日本に前線、戻り梅雨も

 さらに今年はより一層、注意が必要になる可能性があります。

 こちらは8月の予想天気図です。一年で最も夏空が広がる時季ですが、今年は太平洋高気圧の張り出しが沖縄や西日本で強く、北日本で弱い予想です。そのため、梅雨前線は北日本に留まりやすく、梅雨に戻ったような雨が降りやすくなると考えています。

8月の予想地上天気図:ウェザーマップ作画、筆者加工
8月の予想地上天気図:ウェザーマップ作画、筆者加工

3か月予報(7月~9月)降水量:ウェザーマップ作画
3か月予報(7月~9月)降水量:ウェザーマップ作画

なぜ、大雨になりやすいのか

 先月、4年ぶりに発生したエルニーニョ現象は今後も発達し、日本の天候に影響する可能性が高くなっています。

 8月はチベット高気圧の北への張り出しが弱く、偏西風は平年よりも南を流れる見込みです。

 偏西風と梅雨前線は密接に関係しているため、偏西風がいつもより本州に近い位置を流れることは8月も前線の影響を受けて大雨になりやすいことを示しています。

 今後は暑さも本格化するものとみられ、猛暑と大雨と、しばらく気がかりな天気が続きそうです。

【参考資料】

気象庁:大雨と雷及び突風に関する全般気象情報(第6号)、2023年7月8日午後4時55分発表

気象庁:顕著な大雨に関する全般気象情報(第1号)、2023年7月8日午前7時39分発表

気象庁:3か月予報(7月~9月)、2023年6月20日発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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