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名コンビに出演依頼殺到 夢グループ・石田重廣社長「未来のためにこれからどんな仕掛けができるかが勝負」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/夢グループ

保科有里とのデュエット曲「夢と…未来へ」でCDデビューを果たす

9月23日、東京・かつしかシンフォニーヒルズで『夢スター歌謡祭 「夢スター春・秋」コンサート」が行われ、チェリッシュ、おりも政夫、石井明美ら昭和の歌謡シーンを彩った、往年のスター達が次々と登場し、自身のヒット曲や邦・洋楽のカバー曲を披露。客席を埋めた年配者を中心にしたファンは、手拍子をしながら楽しんでいた。すると突然「テレビショッピングの時間で~す」と聴き覚えのある声が聞こえてきて、夢グループ・石田重廣社長が登場すると歓声があがる。7月6日に、保科有里デビュー30周年記念作品として、デュエット曲「夢と…未来へ」でCDデビューを果たした石田社長は、この曲を保科と披露すると、客席からは大きな拍手が贈られる。そして第一部が終わり休憩時間には石田社長がそのCDを客席を回りながら手売りすると、飛ぶように売れる。「夢と…未来へ」は累計で1万枚を突破している。

「CDデビューする時大口を叩いて周囲から色々なことを言われましたが、言ったことが今どんどん実現しています」

「夢と…未来へ」
「夢と…未来へ」

コンサート終演後、CDデビューという夢を叶えた「64歳の新人」石田社長にインタビューした。「夢を口にすることでどんどん実現していくんです」と現在の充実ぶりを語ってくれた。そして「夢コンサート」のこれからも、熱く語ってくれた。

「CDデビューをする時に、そんなの売れるわけがないと周りから言われました。デビューしてからもテレビの全国放送に出たい、テレビの生放送で歌いたい、大きな舞台で歌いたい、オーケストラをバックに歌いたいと大口を叩きました。夢という言い方もできると思いますが、これも、色々な方にそんなのあり得ない、無理だと言われました。でもいまそれが次々と実現しているんです」。

保科有里とのコンビに各方面から出演依頼が殺到

64歳の新人の言葉に、先輩の歌手達からは現実を見ろという厳しい言葉が返ってきたという。しかし石田社長の言葉通り、今、保科有里とのコンビに出演依頼が殺到している。この夏には「tbc夏祭り2022」(東北放送)、「RABまつり2022」(青森放送)のステージに立ち、8月に『千鳥の相席食堂』(朝日放送テレビ)、9月には『週刊さんまとマツコ』(TBS系)に出演。さらに10月1日はBS朝日の歌番組『人生、歌がある』に出演した。

さらに10月15日にはフジテレビの人気番組『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』にも出演し、そして10月17日にはChageと川島ケイジの『PREMIUM PHILHARMONIC ORCHESTRA CONCERT』(東京芸術劇場)にゲスト出演し、オーケストラをバックに「夢と…未来へ」などを歌う予定だ。11月にも長崎でテレビ局主催のイベントに出演予定と、二人に大きな注目が集まっている。

テレビショッピングでの二人の掛け合いや、独特の語り口が子供や若い世代にウケている

テレビショッピングでの石田社長と保科有里の知名度は抜群だ。神奈月とミラクルひかるによるモノマネはYouTubeでバズり、今年1月には宮藤官九郎率いるバンド・グループ魂の中野サンプラザで行われたライヴで、”会場限定夢グループCM”が流れたり、TiKTokやTwitterでも情報を発信していることもあって、幅広い世代から注目を集めていることを石田社長は実感しているという。

「僕にとっての一番のお客様は60~80代だと思っているので、仙台でのイベントでもそういう方達に向けて感謝の気持ちを伝えたいと思ってステージに立つと、小さいお子さんから学生や若い世代の人まで、みなさんが『社長!』って声を掛けてくれるんです。テレビショッピングに出ているあの社長と保科さんを見たいと思っていただいて、たくさん集まってくれました。ステージが終わって200人位の方達と写真を撮りました。次に青森のイベントに出演した時は、会場がドーム(青森県営スケート場)で、その日は約3000人が来場してくださいました。ここでも年配の方よりも学生とファミリーが多くて、終わった後にサイン(即売)会をやったら、他の芸能人の方もたくさんいらっしゃいましたが、主催者の方が『今日は社長たちが一番人気だった』と言ってくださいました。学生や親子が並んでくれて、そうしたら子供がテレビショッピングでの僕と保科さんのやり取りを真似して『社長CD安くしてね』って言ってくれるんです(笑)」。

テレビショッピングで保科が甘えながら「社長安くしてね」というあのフレーズや、石田社長の福島訛りの親近感を感じるしゃべり方や、シーデー(CD)、デーブイデー(DVD)という独特の語り口が、子供たちや若い人にウケている。

「年配の方をワクワクさせるものを作らなければいけない」

しかし夢グループの軸はやはり往年の名歌手たちによる夢コンサートだ。コロナ禍で大きなダメージを受け、年配の方がメインターゲットということで、まだまだお客さんがコンサートに戻ってこないという現状は続いている。

「コロナを理由にして、お客さんが動員できないというのは大きな間違いであって、魅力がないから来てくれないんです。その現実を自分たちが理解できなければ、未来はありません。お客さんは観たいものは観に行くし、食べたいものは食べに行くし、僕達がみなさんにワクワクするものを作れるかどうかです。年配の方にもっとワクワクして毎日を過ごして欲しい。年配の方をワクワクさせることは、子供をワクワクさせることよりも難しいです。その大変さを僕も含めて出演者がちゃんと理解しながらショーを作っていかなければいけません。こういう状況になる前からお客さんが望んでいるものは、決して古きよきというものばかりではありません。このコンサートには“過去”と“現在”はあるけど、未来を感じることができません。現実から未来へとつながるストーリー性がショーになければ、満足はしてもらえません。だから未来へのメッセージを『ごめんなさい、ありがとう』という曲で伝えたかったんです」。

「夢と…未来へ」のカップリング曲の「ごめんなさい、ありがとう」は、石田社長が作詞作曲を手がけた、<これから始まる時代は みんなでしあわせに>という歌詞に代表されるように、令和という新しい時代を迎えて、共に手を取り頑張っていこうというメッセージが込められている。

芸能界での経験がないからこそできた“改革”

現在ショーに出演する歌手も「年を重ねてくると、やったことがないこと、新しいことにチャレンジすることを怖がっている」と石田社長は語る。芸能界での経験がなかった石田社長だからこそ気づくこと、見えることがたくさんあった。逆に反発もたくさんあったという。しかし慣例や慣習にしばられている状況を打破しながら、自身が色々なことを「経験」し、自分が身をもって示しながら夢グループを作り上げてきた自負がある。想像力と創造力を駆使し、年配のファンをワクワクさせるようなショーを作っていきたいと、その鼻息は荒い。

「今大切なことはこのチームを守ること。このチームで未来を作っていく」

夢グループでは、今後どんどん新しい歌手を迎え入れ、ショーを充実させていくのだろうか。

「以前は新しい歌手にどんどん参加していただきましたが、今大切なのはこのチームを守ることです。守るということは全員が輝くようなショーを作って、誰一人として脱落者が出ないようにしたい。病気と闘っている人もいます。残念ながら葛城ユキさんは亡くなってしまいましたが、もっともっと一緒に音楽活動をしたかったです。何か新しいことをやるために、新しいメンバーを入れて、他のメンバーをふるいにかけるようなことはしたくないし、そこまでして僕はこのビジネスでご飯を食べたくないです。今のメンバーと未来を作ることができなくて諦めるのではなく、未来を作って、それでうまくいかなかったら諦めるしかないという気持ちです。もっと音楽業界を盛り上げたいという気持ちもあるし、これからどんな仕掛けができるかが勝負です」。

夢グループ オフィシャルサイト

BSフジ『石田社長の歌が大好き』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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