香港大学生の死 追悼デモから深夜の攻防 新たに少年が警察官に連行 写真家キセキミチコが迫った
抗議デモが続く香港。8日、警察とデモ隊が衝突した際、香港郊外・新界の住宅街にある駐車場から転落して頭部を負傷した22歳の男子大学生が死亡した。死亡した学生は香港科学技術大二年生の周梓楽(しゅうしらく)さん。昏睡状態が続いていた。
公式の発表では逃亡犯条例の発表以来6月から続く抗議活動で死者が出たのは初めてだ。しかし、実際にはこれまで若者の自殺や不審死も相次ぎ、当局発表への疑心暗鬼が高まり続けている。激しいデモが続く要因の一つだ。
そうした中、8日夜から各地で周さんの死を悼む集会が開かれた。キャンドルを掲げ静かに祈りを捧げる追悼式が終わると、現地では再び警察と若者の激しい衝突が未明まで続けられた。
今年7月から香港に住み込み、最前線で取材を続ける写真家のキセキミチコさんが、8bitNewsに映像を寄せてくれた。武装した警察による催涙弾や胡椒弾などの発射で深夜の街は白煙に包まれたまま混乱が続く。キセキさんの目の前で少年が警察に連行されるなど、緊迫した状況の中、当局と市民との間に軋轢を生む非人道的な行いを目撃している。
キセキさんが撮影したこの12時間の映像と記事をみなさんにも共有しておきたい。
11月4日に催涙弾から逃れる為、デモ隊の大学生が駐車場の三階から二階へ、転落。事故か事件かはわからないまま、8日朝死亡が確認。
その追悼デモが、今日将軍奥で行われました。
夜20時に香港各地で一斉に黙祷。 事故現場では多くの花がたむけられ、彼はクリスチャンだった為、キャンドルに火がつけられていました。
深夜一時を過ぎても若者が、明日、明後日の休日を楽しむ事なく、政府、警察と戦う為に街にでてきます。楽しいはずの青春時代を彼らはこうして香港の未来に捧げてること、そして、多くの命が犠牲になってる事、とても悲しい事だと思いました。
深夜4時過ぎに、駐車場にいた少年が「守護孩子」(子供たちを守れ)」という若者を守るボランティアグループに、帰るように促されていたところ、すれ違った4人程の警官隊が理由なく少年をボランティアグループから引き離した、私とボランティアグループは、この場を離れるように命じられ、上の階へ連れていかれた。そんな光景を目の当たりにした時に、こうして若い子達が、逮捕され、消されていくのだと思うと、やりきれない気持ちで一杯になった。帰り道、幸い彼は逮捕されることなく無事との情報を入手、安堵しました。
警察と若者たちの攻防は、早朝4時を回っても続いた。亡くなった大学生の死亡経緯が隠蔽されるのか、公開されるのか、疑心暗鬼の解消には程遠い状況で香港ではまた週末を迎える。
写真家のキセキミチコさんは、国内外のアーティストや広告写真を専門に手がけるカメラマンだが、今年7月、自身の作品撮影のため訪れた香港で若者たちのデモに遭遇。撮影中、キセキさんの腕を掴んで助けを求めた若者が目の前で警察に逮捕され連行される様子を目の当たりにし、仕事を休み来年まで香港に滞在し、取材を続けることを選択。以来、連日、デモの最前線での撮影を続けている。キセキさんの香港での写真は海外でも評価されフランス・パリで開かれている国際的写真フェア「パリフォト」でも作品の一部が冊子となり販売されている。
キセキさんは、「知って欲しい。香港で何が起きているのかを。若者たちがここまで闘い続ける理由を日本のみなさんにも想像して欲しい。」と語り、いま、SNS上での企画展「#まずは知るだけでいい展」を仲間と共に企画し、写真や映像を使った発信を続けている。
今年9月末、堀は現地でキセキカメラマンを取材した。インタビューや最前線での激しい衝突の様子など、動画を共有しておきたい。
キセキミチコ
1981 ベルギー出身、その後日本、香港、フランスで少女期を過ごす。
日本大学藝術学部写真学科卒業。
2015 3月「theline」個展 開催
2016 APAaward2016 写真作品部門 入選
2017 APAaward2017 広告写真部門 入選
2017 KISEKI inck Ltd,設立
2017 4月 私家版写真集[DRYNESS]出版 DRYNESS 個展開催
9月 梅田 蔦屋書店 にて DRYNESS 写真展第2弾開催
2017 9月 香港 ーエロスとタナトスー 個展開催
2017 EWAAC (LONDON) finalist
2019 APAaward2019 広告写真部門/写真作品部門 入選
2019 7月より、作品制作のため香港にて長期ロケのため半年間の滞在中