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1987年がピーク、2022年では過去最小値を更新…新聞の推定読者数の推移と今後を予想分析

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
新聞の読者の数は。各種公開資料から試算(写真:イメージマート)

日本の新聞業界のすう勢を推し量るため、日本新聞協会の公開資料や厚生労働省の国民生活基礎調査の結果内容などを基に、「新聞の読者数」の推移を試算する。

駅売りやスタンド売り、事業所での購入事例もあるが、新聞発行部数総数の動きは、おおよそ購入世帯数推移と連動・比例していると見て問題はない。

↑ 新聞発行部数(種類別、万部)
↑ 新聞発行部数(種類別、万部)

一方日本新聞協会では「1部の新聞は複数の人に読まれているので、読者数は単純な発行部数よりも多くなる」とし、これを「回読人数」と定義している。要は「回し読みまで含めた総読者数」。

この「回読人数」は調査する新聞社によって違いが生じているが、各新聞社の試算推定を併せ見ると、2.0人から2.5人程度となる。スタンド売りや事業所購入事例も合わせ、厚生労働省の国民生活基礎調査における「平均世帯人員」と同じと試算できる。要は「新聞読者はすべて世帯ベースで、その世帯では構成員全員が新聞を回し読みする」とする仮定である。

世帯構成員で実質的に新聞を読まない人(読む意欲が無い以外に、乳幼児なども含む)がいること、スタンド売りの購入は原則回読人数が1人であることを考えると、やや甘めのカウントとなる。一方で事業所購入やホテル、美容院など商用施設での購入は「平均世帯人員」を超える人が回読人数になると予想されるため、全部の仮説による状況を合わせるとプラスマイナスゼロに近いと考えても違和感はない。

そこで新聞発行部数について朝夕刊を1部と数えるようになった1956年から、直近の「国民生活基礎調査の概況」で平均世帯人員が公開されている2022年分まで、新聞発行部数と平均世帯人員を乗算。その上で、1956年時点の結果を1.00(基準値)とし、その変移を見たのが次のグラフ。

↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)
↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)

あくまでも「試算」前提による結果だが、読者数(回読人数)のピークは新聞発行部数ピークの1997年よりも10年前、1987年に起きていたことになる。世帯構成人数の減少度合いが、新聞発行部数(≒購読世帯数)の増加を上回ったのが主要因だろう。それ以降は何度かの起伏を経ながら、全体的には減少、21世紀に入ってからは下降速度を強めているのが見て取れる。

直近となる2022年は0.65。基準値を下回っている。ピークとなる1987年以降では2017年以降6年連続して基準値割れ。そして過去最低値を更新する形となった。

↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)(多項式近似曲線・次数=5を追加・2028年まで延長)
↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)(多項式近似曲線・次数=5を追加・2028年まで延長)

このグラフから導き出された推定の通りなら、2028年には新聞の読者数はほとんどゼロとなってしまう。さすがにそれはないだろうが、それぐらいの勢いで読者が減っているのに違いはない。

これはあくまでも推論・試算のレベルでしかない。さらにいわゆる「押し紙」は反映されていないため、現状はもっと厳しいものと予想される。直近年の2022年では最低値を更新し、未知なる領域に突入する形となった。今後新聞業界がダイナミックな改革を成し遂げ、カーブを上向きにさせるかじ取りを行わない限り、この推定は当たらずとも遠からずのものになるだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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