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「ロッテ福浦2000本安打達成」の違和感

豊浦彰太郎Baseball Writer
福浦の2000本安打は球団マーケティング戦略に支えられた記録か?(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ロッテの福浦和也が2000本安打を達成した。プロ野球史上52人目の金字塔だ。しかしこの記録達成には、チトすっきりしない部分もある。

福浦は42歳9ケ月での達成で、これは2015年に42歳11ケ月で2000本に到達した和田一浩(中日)に次ぐ2番目の年長達成だ。和田はプロ入りが遅く30代になってからレギュラーの座を掴み、2000本安打の時点でも重要な戦力であった。しかし、福浦の場合は30代後半から衰えが否めず、ここ数年は「2000本安打のために機会を与えられている」印象は拭えなかった。球団側が勝利追求の方針を打ち出していたなら、かなり前に現役を退いていた可能性が高い。

2000本安打のような「積み上げ型」の記録を達成するには、卓越した技術だけでなく、長い現役期間を実現する強靭な肉体とスピリット、そしてその結果としての戦力としての重要度を維持していることが肝要だ。

しかし、福浦の場合は戦力性の維持に関しては大いに疑問だ。もちろん彼の努力には敬意を払いたい。しかし、フランチャイズヒーローである彼をプロモートしたい球団のマーケティング戦略に支えられていた部分は否定できない。正直なところ、今季にしても打率2割、OPS5割という成績は大げさに言えば「投手級」でしかない。球団が福浦に200打席近くも与えながら村田修一の獲得に動かなかったのは不可解としか言いようがない。

今回の福浦の2000本安打は、記録のための出場をずるずると続けた鳥谷敬の連続試合出場ほどではないが、記録の尊厳が損なわれかねない行為だったと言えよう。記録はあくまでガチンコで達成してこそ意義があるのだ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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