誓いも新たな阪神タイガースの新成人・才木浩人投手&浜地真澄投手
阪神タイガースでは毎年、成人の日前後に新成人となった選手へのお祝いで『記念品授与式』が行われます。ことしは10日に、入団3年目の才木浩人投手(20)と浜地真澄投手(20)が球団事務所を訪れ、揚塩健治球団社長から記念品とともに訓辞を受けました。昨年中に誕生日を迎えている2選手ですが、改めて“二十歳”となった感想などを囲み取材で聞いています。なお記念品は吉例の高級ボールペンです。
【才木】開幕から1軍ローテを守って勝つ!
記念品授与の際、揚塩社長からどんな話が?「二十歳になったということで、これからしっかり頑張ってほしいと言われました」。それに対して、才木投手は「もちろん開幕からしっかり1軍にいて、しっかりローテーション守って、しっかり勝っていけるようにしていけたら」という抱負を述べています。揚塩社長の“しっかり”に、才木投手は“しっかり×3”で応えましたね。
1年間、ローテーションを守ることは重要視していくか?との問いに「そうですね、去年は途中からでしたけど。ことしはしっかり1年間ローテーション入りしてイニングもしっかり投げて、試合数等しっかり1軍としてやっていけるようにしていきたい」と才木投手。これまた“しっかりの三乗”です。
ところで、二十歳になったらやってみたいことはありましたか?「特にないですね。これといってないですけど、まあ大人になるので恥ずかしくないようにはしたいと思います」。投球スタイルは大人仕様に?それとも若々しく?「やっぱり、どんどん攻めていくのが自分の今のスタイルだと思っているので、逃げずにどんどん攻めていくピッチングでいきたいなと思っています」
25試合に先発、規定投球回数を超えること
年末のイベントで「目標は13勝」と話していましたね。1年間ローテで回る中、イニング数も気にしていく?「もちろんです。規定投球回数以上は投げたいと思っていますし、試合数も25かな?そのラインをしっかり超えたいです」。昨季は22試合に登板して82イニングを投げ6勝10敗、防御率4.61という成績でした。ことしはそれを上回り、25試合の先発と規定投球回数を超えるという目標を掲げました。
それを達成するために何か変えることはありますか?たとえば新しい球種を取り入れるとか。「うーん、トレーニングはしっかりできていますし。試合の中で、調子が悪い時でも何とか粘り強く抑えられるようなピッチングだったり、そういう工夫などはしっかり(したい)」。そこには反省もあります。「去年は悪かったら悪いで打たれて終わりだったので、ことしはそれがないように。悪いなりにちゃんと粘って抑えられるピッチングをしたいですね。先輩のアドバイスなどもいただきながらやっていけたら」
確かに昨シーズン、いい時と悪い時の差が大きかった気はしますね。調子の悪い日は誰にでもあり、そこをしのげるかどうかがプロとしての力量かもしれません。1軍ではそれが求められます。先輩方からガッツリ吸収してください!
二十歳の誓いは『最強』
体重を増やすということも言っていたけど、お正月に増えました?「ちょっと増えていますし、たぶん筋肉量も。筋肉量が増えての体重増加なので、すごくいいんじゃないかなと思う。体重を上げるだけじゃなくて、実際に野球のパフォーマンスが上がるための体重増加。いい方向に行っているかなと思います」。現時点で3、4キロ増えて87キロだそうです。
マスコミ側からのリクエストで、それぞれ色紙に“二十歳の誓い”をしたためた両選手。浜地投手は『飛躍』と大きな文字で力強く書き、才木投手は『最強!!』と書いています。最強って、ありそうでなかなか珍しいフレーズかと。最後にそれを追加質問された才木投手は笑いながら「やっぱり普通じゃなく自分らしさでいこうかなと」と答えました。
それぐらいのピッチャーになりたいと?「もちろんです!やっぱり一番っていうとこに僕はすごくこだわりがあるので。一番って最強かなと」。自分の名前をかけたのではないですか?“さいき”からの“さいきょう”とか。「あーいや全然!全然違います(笑)」。じゃあ、いつも書いているわけでもない?「いつも書いていないです。きょう初めて書きました!」
1年目、ファームでの初登板を終えた才木投手、浜地投手、そして藤谷洸介投手に当時の久保康生投手コーチが「次は3イニングずつ、3人で1試合を投げるけど、誰が先発する?」と聞いたら、才木投手が「僕やりたいです」と立候補。これもやはり“一番”へのこだわりでした。「その心意気が素晴らしい」と言いながら微笑んでいた久保コーチを思い出します。
【浜地】掲げた目標は1軍での2ケタ勝利!
二十歳になって、気持ちの面でも引き締まるかと最初に聞かれ「二十歳になったからというのは特にないんですけど。僕自身、この3年目(のシーズン)ってのは結果が求められていると思うので、しっかり意識して結果を出さないといけないと思います」と、いつも通り冷静に答える浜地投手でした。
求められている結果について、自分ではどのくらいだと?「現実的に見て、2ケタは求められていないと思うんですけど、だからといって2ケタを目指さないかっていうと自分は違うと思うので。そうですね、小さな目標を立てても仕方ないし、2ケタをことしの目標として掲げたいと思います」
12月半ば過ぎまで台湾のウインターリーグに参加して、そのあと年末年始はどのように?「地元で過ごしました。充実してできたかなと思う」。1人で?「そうですね、トレーナーさんとかと一緒に」。強化してきたポイントはどこですか?「体力を落とさないということですかね。あとは、投げる球数もシーズン中に比べると減るので、そこの筋力が落ちないようにというところもやってきました」
実戦でこそ映えるクレバーな投球
昨シーズンも意識して取り組んできた外のスライダーが、1軍で2ケタ勝つために必要となる?「そうですね、1軍で投げていないから想像でしかわからないですけど、ファームより何倍もレベルが上がると思うので。そのレベルに適応するというか自分でそのレベルを理解して、自分ができることをしっかり試合でやらないといけないと思います」
浜地投手らしい冷静なコメントです。だから「2ケタを目標に」というのは意外な気もしたのですが、そう自ら言ってのけたところにかえって闘志を感じますね。
入団時から、取材で話す内容のみならず実戦のマウンドでも冷静さは同じです。ファームの高橋建投手コーチが「生まれ持った性格もあるけど、ピッチャーらしいピッチャー。十代と思えない修正能力も持っている」と評価したほど。また福原忍投手コーチも「自分で間合いを変えたりできる、実戦向きな子。ゲームになるとボールが変わるからね!」と驚いていました。
1年目の秋にヘルニアと診断されて昨年6月に復帰、昨季のウエスタン公式戦は9試合に投げ(うち先発が2試合)、3勝1敗1分けで防御率1.00という結果でした。シーズン終盤、矢野燿大監督が口にした「ことしのうちに1軍で投げるチャンスがあるかも」という言葉も記憶に新しいところ。今季はきっと現実になるでしょう。
こだわるところは球速よりスピン
まだ18歳だった2017年2月の安芸キャンプ。プルペンでピッチングを見た掛布雅之監督に「スピンがきいている」と言われ、それについて話した浜地投手のコメントは今も忘れられません。
「僕は真っすぐのスピードタイプじゃないので、たとえば140キロでも150キロに感じるのはスピンのきいた球。僕自身、そっちを目指してやってきました。フォーム自体に力を入れるんじゃなく、リリースに力を入れる意識です。僕がバッターだとしたら、めっちゃ力んできたら予測できる。力感のないフォームから思ったより伸びてくれば、多少甘く入っても打てないんじゃないかと思ったので」
クレバーな二十歳の若武者が挑む3年目。『飛躍』のシーズンにするため、まずは才木投手とともに沖縄・宜野座キャンプから始めたいですね。期待しましょう!キャンプメンバーの振り分けは3日に決まります。
<掲載写真は筆者撮影>