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トップリーグプレーオフ決勝進出。パナソニック堀江翔太キャプテン、抱負語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
この日の試合後も、手元に好物の崎陽軒シウマイ弁当。「マイ弁当です」。恒例。(写真:アフロスポーツ)

日本最高峰のトップリーグで2連覇中のパナソニックは、1月16日、東京・秩父宮ラグビー場で今季の同プレーオフトーナメント準決勝で神戸製鋼と対戦。42―10で快勝し、決勝進出を果たした。試合後の公式会見で、堀江翔太キャプテンが談話を発した。

現職3シーズン目の堀江は、身長180センチ、体重104キロのフッカーで29歳。2013年度からは2季連続で南半球最高峰スーパーラグビーのレベルズでプレーした。昨季は日本代表の副将としてワールドカップ・イングランド大会で3勝を挙げた。当時のチームでキャプテンを務めたフランカーのリーチ マイケルに「本当に助けられた」とグラウンド内外での貢献を感謝される。

9日の1回戦(神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場でキヤノンに46―6で勝利)の後は、国内でのレフリングのばらつきについて提言。2回戦後の会見時は、ロビー・ディーンズ監督に「きょうもショータのレフリングの話を聞かせて」と声をかけられていた。24日には秩父宮で、リーチのいる東芝と決勝戦をおこなう。

以下、会見前後の堀江の一問一答。

「お疲れ様です。1週間、いい準備ができて、その通りにできたかなと。前半は自陣でプレーすることが多かったですけど、我慢ができた。自陣にいても、1人ひとりに(相手の攻撃を)止められる自信はあったみたいなので。やっとここまで来れた。出ているメンバー、出ていないメンバーが1つになって、最後も一緒に勝ちたいなと思います」

――前半、我慢の時間帯。

「神戸製鋼は僕らの反則からショットを狙うか、身体の大きく強いフォワードがモールを組むか…。相手のペースにされたらこちらも辛いので、自陣の反則だけは減らそう、と」

――ラインアウトからのモールをよく止めていた。分析の成果ですか。

「それもありますし、(試合の)中での判断もあります。相手のプレッシャーを受けて『こうしたほうがいい』など、グラウンドのなかで変えていこうと話していた。その辺はラインアウトリーダーに任せているので、僕は関与していないです。はは。彼らが責任を持ってやっているので、信頼しています」

――(当方質問)スクラム。相手の強いパックを押し込んでいました。

「キーは…。1番のラッシーさん(左プロップの平島久照)と3番のヤンブー(右プロップの山下裕史)は経験があって強い(いずれも日本代表経験者)。ただ、新しく入った長崎(健太郎)選手(日本代表の木津武士の代役を務めるフッカー)のところを突いていこうと思っていた。長崎選手とヤンブーの間(の繋がり)が空くだろうとは予想していたので、(その区画に頭を入れる)僕がプレッシャーを与えたり与えなかったりというのを、やったりやらなかったりしました」

――(当方質問)「プレッシャーを与えたり与えなかったり」。1本ごとに組み方を変え、入部2年目の若手選手をパニックに追い込む作戦ですね。

「そうですね。そういうものを与えようかなと。うちの1番、3番とも(押し込む感触について)話をしながら。ガッキー(左プロップの稲垣啓太。相手の山下へ左前方への圧力をかけた)も行けていると言っていたので、ガッキーの方からプレッシャーを与えようかなとしましたね」

――冒頭の「止めきれる自信」とは。

「三洋電機時代(名称変更前の2010年度まで)に(堅守速攻の)文化ができていて、僕がど何を言わなくても、どんどんプレッシャーをかけるぞという話が勝手に出てくる。選手1人ひとりが意識しているかなと思います」

――後半、敵陣でラックを連取し、結果、相手が反則。

「そんな無茶苦茶激しい(接点の)練習をしているわけではないですが、ただ入るだけではなく、入る際の判断をしようという話はしている。それが、いいのかなと思っている。うちのノンメンバーの選手が、結構、ブレイクダウン(接点)でプレッシャーをかけてくるんですよね。入るか、入らへんか。姿勢はどんな風にするか…。(プレーで)質問を投げかけてくれる。それには感謝しています。

誰かが判断をすれば、周りもその判断に付いて行けという話もしている。その判断も、いいんじゃないでしょうか。(接点に)相手がたくさん入っていれば、こちらもたくさん入らなくてはならない。ただ、そうでなければこちらも入らなくていい…。プレー1つひとつで判断する…。それは意識していますね」

――ディーンズ監督について。

「話、聞いてくれますよね。例えば、ロビーさんが無茶苦茶考えて持ってきたものを、こちらが『これはいらんやろ』と言っても、それを聞いてくれる。考えたものをリーダー陣が『いらん』と言っても、『いや、これで行く』と返すのが普通の監督だと思うんですけど、ロビーさんは『選手がいらないのなら、いらないのだろう』と考えを変えてくれる。その分、選手たちは責任を持って自分たちで決めたものをやりきろうと思える。考えさせてくれます。

ただそれは、ラグビー以外の話で。ラグビーの戦術略に関してはいったんやってみて、できるかできないかを話していきます。基本、組織は上が方向を示して、僕らがそこを目指していくというもの。選手1人ひとりが組織に一方向を目指させる。そのうえで、意見を言う。選手も大人だなぁと思います」

(以下、会見後)

――試合後の円陣では何と話していましたぁ。

「やっと、ここまで来れたな、と。準備で結果が決まる。いつも通りいい準備をしようと言いました。優勝どうこうやなしに。気持ちは盛り上がり過ぎてもあかん。鎮めるところは鎮めて、落ち着かせたいなと思います」

――テレビ出演も増えました。

「フミさん(田中史朗、スクラムハーフ)、リーチ、五郎丸(歩、フルバック)が有名で、僕はその下でうろちょろしている感じですかね。第2グループですね。第2グループのリーダーは(プロップの畠山)健介じゃないですか。僕と健介、よく似てると言われるので、僕が出ていないのに出てるみたいな雰囲気になって。覚えといてよとも思いますけど、似ているか似てないかは第三者が決めるので」

――昨季終了後に首の手術。当時あった腕のしびれなどは解消されたましたか。

「そうですね。…でも、中へ入らないとわからないもんですよ、コンディションってのは。しびれていても、その時のベストは出そうとしている。気持ちはかわらないです」

――(当方質問)ここ数年で、リーダーシップに関する話をするようになりました。

「代表へ行ってみると、案外、そういうの(周りを引っ張るための考え)を持っていない人が多いんだなと感じて。コーチ陣の言われたままでやっていた雰囲気があった。僕には、できないなりにもその辺に関する軸はあった。で、話すようにしていた。

でも、こっち(パナソニック)へ帰ってきてそれをやっていると、いつもの僕じゃなくなって、皆が戸惑う。その辺を(フランカーの西原)忠佑選手が『パナソニックでは違う感じで行った方がいいですよ』と言われた。非常に助けにはなりますね」

――(当方質問)イングランドから帰国後、そんなことがあったのですね。

「そうですね。(しばし離れていたパナソニックの)チームのことをわかる前に、代表と同じアプローチで(声かけなどを)やってしまったなと。反省する部分はある。戦略術も、試合をするたびにわかってきた」

――稲垣選手曰く、「帰国後、プレーへの要求が高くなった」と。

「ガッキーに対する要求は高くしました。もっとできると思うし。他の選手にはそれほど求めないこともある。人によって違う」

――(当方質問)稲垣選手を、国際基準と見なしている。

「そうですね。(要求した内容を)できると思っています。できない選手にそこまでやれと言っても『無理やろ』となる。その人のモチベーションを下げる」

――(当方質問)相手によって「要望」を出すか出さないかを判断する。見極めが大事。

「その辺は一緒にやっていればわかります。肌感覚ですね。(あるプレーを)できない選手がしようとした時、『チャレンジすることはいい。ただ、止めた方がいい。それをするには必死に練習して、チームへもう一度持ってきてくれ』と言ったりもします」

――先週、レフリングに関して苦言を。

「僕の写真が(新聞やインターネットで)載ってたのがありがたいと思ったのと、(周囲に)『あんなこと言って大丈夫なん?』と言われたくらいですね。立場上、僕しか言えないので」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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