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太陽活動と寒冷化

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
17世紀の「マウンダー極小期」はヨーロッパの寒冷化を引き起こした(写真:アフロ)

 9月6日、大規模な太陽フレアが発生した。太陽フレアは黒点の多少と関係が深く、17世紀には黒点が極端に少なくなる「マウンダー極小期」があった。17世紀はヨーロッパの寒冷化が進んだ時期とも一致するが、未だ答えは見つかっていない。

太陽黒点は地球以上の大きさ

 9月6日、太陽表面で大規模な爆発が起こりました。この爆発は太陽フレアと呼ばれ、太陽からX線や大量の電気を帯びた粒子が飛び出し、通信機器や衛星に深刻な影響を及ぼすことが知られています。

 一方で、オーロラが発生しやすくなり、2003年の最大級フレアのときは北海道でもオーロラが見られたそうです。

太陽の黒点イメージ図(筆者作成)
太陽の黒点イメージ図(筆者作成)

 この大規模な爆発は太陽の黒点群で発生しました。黒点というと、太陽にできたほくろのように見えますが、大きさは直径約1万キロもあり、地球がすっぽりと入ってしまう大きさです。そこで大爆発が起こったと想像すると、今回なぜ、ニュースになったのかわかるような気がします。

17世紀「マウンダー極小期」

 太陽黒点の出現数は約11年の周期で多くなったり、少なくなったりを繰り返し、太陽活動の活発さの指標とされています。今は2008年から始まった第24太陽サイクル期間中です。

 黒点の観測は今から約400年前より続いていて、そのなかでも有名なのが1645年から1715年までの70年間、黒点が極端に少なくなった「マウンダー極小期」です。ヨーロッパでは寒さが厳しく、ロンドンのテムズ川が毎年のように凍結したそうです。

 以来、太陽活動が気候に与える影響が盛んに研究されるようになりました。でも、11年周期に伴う太陽エネルギーの変動幅は0.1%程度にすぎず、黒点の減少と気温の関係について、満足する答えは見つかっていません。ただ、太陽なしに天気が成り立たないように、太陽活動の盛衰が何かの形で現れているのではないかと思う気持ちもあります。

 最近では高気圧や低気圧に密接に関係する対流圏だけでなく、さらにその上の成層圏も含めた気候システム全体としての研究が進んでいます。今回の大規模爆発で、太陽の違った側面を改めて感じました。

【参考資料】

国立研究開発法人情報通信研究機構:通常の1000倍の大型太陽フレアを観測,2017年9月7日

黒田友二,2012:3. 成層圏-対流圏力学結合,天気,59,778-788.

宮原ひろ子,2011:マウンダー極小期,天気,58,81-82.

廣岡俊彦,1994:太陽活動と気候変動,天気,41,798-801.

小倉義光,2002:第10章気候の変動,一般気象学第2版,東京大学出版会.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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