女子マネージャーのボール渡し禁止理由が「危険だから」だとしたら説明がつかない。そろそろ規定の見直しを
今週末に開幕する第98回全国高校野球選手権大会、出場校にはそれぞれ30分間の甲子園練習が与えられている。その中で、大分高校の女子マネージャーがノックのボール渡しをしていると大会関係者に注意される場面があった。
大会規定では参加選手の資格について「その学校に在学する男子生徒で、当該都道府県高等学校野球連盟に登録されている部員のうち、学校長が身体、学業及び人物について選手として適当と認めたもの」とされており、女子部員の出場は認められていない。
その理由は危険防止のため。確かに男子と女子では筋力や体格に差があり、女子プロ野球でも球速は110km/h台が多く、打球が左中間や右中間を抜けた場合、中継プレーにはカット2枚を要する。プロでこうなのだから、もし超高校級の打者を擁するチームと対戦した場合、女子部員がその打球の速さについていけず怪我をしてしまうおそれがある。
今回の注意はそれに準じたものだが、練習補助でも危険だろうか。2年ぶり2度目の甲子園出場となる大分、貴重な練習時間を1分たりとも無駄には出来ないはず。女子マネージャーにボール渡しを任せたのは3年間頑張ったご褒美、という意味合いが全く無いわけではないが、普段からやっているからだろう。
大阪のとある女子部員は、5回終了後のグラウンド整備で男子部員に混じってトンボを手にしたところ、審判から「女子部員は黒土部分に入れないから」と注意され止められたことがある。これに関してはプレー外のことであり、危険は全く無いはずだが。
冒頭の写真は甲子園練習の取材の様子。30分の練習時間が終わると次の高校が練習をしている中、ベンチ前で取材を受ける。一応防球ネットは設置されているものの、見てわかる通り、一枚だけではカバー出来る範囲が限られ、報道陣はグラウンドに対して完全に背を向けている。また、マウンドに上がった投手を撮影する際には本塁後方にカメラマンが密集し、注目投手ともなればその数は何倍にもなる。
”危険度”はボール渡しのマネージャーより遥かに上だろう。実際、関東一の練習中、キャッチャーが逸らしたボールが報道陣のカメラに直撃し破片が飛び散る場面があった。女子が練習補助や整備でさえグラウンドに立てない理由が「危険だから」だとしたらこの状況は説明がつかない。
昨年、和歌山では女子部員が入場行進に加わり、今夏は福井でノックを打つ女子マネージャーの姿が話題となった。何年も前に作られそのままになっている大会規定、見直すきっかけはいくらでも転がっている。