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ワールドカップ抽選会に参加の大野均、日本代表100キャップ間近をどう見るか?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
故障療養のため、今季のスーパーラグビーではいまだ出場ゼロ。カムバックが待たれる。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦するサンウルブズが5月15日、都内で合宿を開始した。4月中旬から約4週間あったニュージーランド、アルゼンチン遠征に不参加だった最年長の大野均も合流。充実ぶりを覗かせた。

チームはここまで1勝9敗(試合のないバイウィークを2度消化)。20日には準ホームのシンガポール・ナショナルスタジアムでシャークスとの第13節を迎える。福島県郡山市出身の39歳である大野は、身長192センチ、体重105キロとのロックとして、献身的なプレーで信頼感を獲得。2004年から選出されている日本代表では、歴代最多の98キャップ(テストマッチ出場数)を誇る。

5月10日に京都迎賓館でおこなわれたワールドカップ日本大会(2019年)の予選プール組み合わせ抽選会を経て、日本代表の入ったプールAにはアイルランド代表も参戦。同組の「ヨーロッパ1位」には、ルーマニア代表が躍り出る可能性が高いとされる。

サンウルブズと戦術やプレースタイルを共有する日本代表は6月、国内でルーマニア代表やアイルランド代表とテストマッチ(国際真剣勝負)をおこなう。

4~5月にあったアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)では、若手中心のメンバー編成にあってロック勢の争いが混とん。キャリア豊富な大野も、定位置奪還に名乗りを挙げる。

以下、15日の練習後の一問一答(編集箇所あり)。

――ワールドカップ日本大会の組み合わせが決まりました。大野選手も抽選会に参加されましたね。

「どこが来ても厳しい戦いになるのは間違いないです。ただ今回、いままではアイルランドとイングランドでしかやってこなかった抽選会に居合わせられた。緊張感も独特のものがありました。ホテルから会場へ向かうバスに乗った時、出場12チームの監督、ヘッドコーチ(などの役職者)が全員、いたんです! まじか、と思って、そっと後ろの方に座りました」

――今度の組み合わせ結果を受け、今年6月のアイルランド代表戦の意味合いが変わりそうです。

「そうですね。次(ワールドカップ)も対戦する、ということで。ただ、今度のアイルランド代表はブリティシュ・アイリッシュライオンズ(代表チームと同時並行でツアーをおこなう大英帝国連合軍)にメンバーが行くと聞いています。4年前のウェールズ代表(2013年に来日)と同じような感じです。それでも、テストマッチです。アイルランド代表に勝ったというニュースが世界に流れれば、また日本ラグビーの価値は高まる」

――その「4年前のウェールズ代表」に、日本代表は勝っています。それだけに今度の試合でも、結果が期待されます。

「(相手には)若い選手がメンバーに入ってくる。4年前のウェールズ代表戦の勝ちは、我々が一段階上にいくきっかけになりました。次のアイルランド代表戦も、いまのジャパンにとってのそういう試合にできればいいなと思いますね」

――ご自身も、選出へ向けてアピールをされているところだと思いますが。

「自分の持っているものを、1個1個の練習で出し切りたいです」

――サンウルブズへは久々の合流です。体調はいかがですか。

「問題ないです。皆が遠征に行っている間も、しっかりと走り込んだり、厳しい練習をしてきたつもりなので。サンウルブズからもらったメニューをやってきて、先週の1週間だけ(国内所属先の)東芝に入れてもらって、コンタクトをしました。きょうの練習でも、負けている感じはしなかった。しっかり、負けん気出してやっていきたいです」

――仲間の南半球遠征を見て感じたことは。

「同じチームであることを誇りに思いました。逆に、その場にいられなかったことがふがいない、悔しいな、と思いました。もう一度、あの舞台に立ちたいと強く思わせてくれました」

――日本代表にもリンクするサンウルブズでの定位置争いに向けて。

「ARCなどで鍛えられた若い選手、長くきついツアーを経験してきたメンバーもいるなか、しっかりとチャレンジをしていきたいという思いがあります」

――ARCでは、ワールドカップ経験のない相手にやや苦しんだ印象ですが。

「自分がジャパンとして香港代表や韓国代表とやった時がそうだったんですが、この時期は相手というよりも自分たちのミスが目立つことが多い。今回の試合を観ていてもそういう印象だったのですが、それを経験しながらプレーヤーとして成長できる。ミスができる時はどんどんミスをして、成長して欲しいです」

――負けない、という気持ちは。

「色々なカテゴリーでやっているメンバーがひとつになって、ベスト8に進出できる…そういうチームができればいいなと思います。グラウンドにいる以上は、そこ(代表入り)は目指していきたいですけども」

――気の早い話で恐縮ですが、6月に3つあるテストマッチのうち2試合に出たら、その地点で日本代表初の100キャップに到達しますが。

「(笑みを浮かべ)その場になってみないとわからないので、目の前の1個1個のトレーニングを経て、そこにたどり着きたいなと思います」

ワールドカップには3大会連続で出場中。それこそ、「1個1個のトレーニング」を乗り越えての結果である。現在はイングランド代表を率いるエディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチも、酒豪という個性を踏まえて「すべてのセッションで競る。夜はともかく、昼は彼のような選手が必要です」と讃えていた。

きょうも大野は「負けん気」を示し、掴めるすべてのジャージィを掴みに行く。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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