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尖閣諸島の認知度は90.0%、しかし問題の中身は?(2019年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 外務省では公式サイト内に専用サイトを設けて情報発信(素材:外務省)。

内閣府は2019年12月、尖閣諸島に関する世論調査(※)の結果概要を発表した。その公開資料から現状の尖閣諸島への認知度などを確認する。

尖閣諸島は行政的には沖縄県石垣市の一部であり、南西諸島西端に位置する魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖ノ北岩、沖ノ南岩、飛瀬などから成る島々の総称。戦後発効したサンフランシスコ講和条約で国際的に日本領帰属として確定しており、歴史的にも国際法上も疑うことなく、日本固有の領土である。ところが1960年代後半に東シナ海で石油埋蔵の可能性があることが指摘されて「以降」、中国や台湾が領有権を主張し始め、外圧や実力行使を繰り返している。

なお現時点ではすべてが無人島で、久場島(および周辺小島)は私有地、その他は国有地となっている。

↑ 尖閣諸島の位置(外務省・日本の領土をめぐる情勢内尖閣諸島の専用ページより)
↑ 尖閣諸島の位置(外務省・日本の領土をめぐる情勢内尖閣諸島の専用ページより)

今回発表された速報内容によれば、「尖閣諸島」そのものの認知度は高く、調査対象母集団全体の90.0%が知っていると答えた。知らなかった人は7.6%に留まっている。

↑ 「尖閣諸島」と総称される島々を知っているか
↑ 「尖閣諸島」と総称される島々を知っているか

諸島そのもの、存在についての認知度は高い。

一方、「尖閣諸島」に係わる諸問題への認知度はそれほど高くないことが、今回の調査で明らかにされている。次に示すのは「尖閣諸島を知っている」人に限定し、具体的な諸問題の認知度を尋ねたものだが、ニュースなどで頻繁に公知されている事象は7割足らず、それ以外は多くて5割台に留まっていた。

↑ 尖閣諸島に関して知っていたこと(尖閣諸島そのものを知っていた人限定、複数回答)
↑ 尖閣諸島に関して知っていたこと(尖閣諸島そのものを知っていた人限定、複数回答)

呈示された選択肢の中でもっとも認知度が高かったのは「最近になって中国政府は、継続して政府の船舶を尖閣諸島周辺海域に派遣し、頻繁に領海侵入するといった行動を繰り返している」で69.1%。今件は尖閣諸島そのものを知っている人に限定しているので、調査対象母集団全体では69.1%×90.0%で62.2%となる。

ある意味一番肝心な「尖閣諸島は日本が有効に支配しており、同諸島をめぐり解決すべき領有権問題が存在しない」との選択肢への認知度は40.6%。全体比では36.5%と4割を切ってしまう。また、中国などの挙動の起因が明確化・理解できる事実「尖閣諸島に関する中国・台湾による独自の主張は、東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘された後の1970年代になって突如として始まった」を知っている人は40.2%(36.2%)で1/3強に留まっている。

前回調査からの変化を見るに、多くの項目で認知度が減っている。まだ記憶に新しい大量の中国籍漁船によるサンゴ盗取問題がよい例となるが、印象的な話は多く伝えられているものの、本質的な面での周知が不足している感は否めない。要は周知効果の高いメディアにおける必要な情報の発信不足によるものと考えられる。メディアにとって消費型コンテンツの一つとしての認識以上のものはないのだろう。

尖閣諸島問題については今まで以上に多様な方面から、竹島問題同様に、積極的な啓蒙活動と事実周知への努力が求められよう。

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※尖閣諸島に関する世論調査

2019年10月19日から30日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人3000人に対し、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1608人。2014年までの調査では20歳以上を対象としていたのに対し、2017年からは18歳以上を対象としているため、2014年分までと2017年分以降との間に厳密な連続性は無いことに注意が必要。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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